地球攻略戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/10 01:18 UTC 版)
ヴェガ星域会戦の後、西暦2704年に戦勝を重ねるBFFは、その勢いを駆って地球へと進撃する。地球は既に食料・工業製品の原料・エネルギー資源の補給源を失っており、軍部が民間の食糧を徴発している有様で、アステロイドベルトを最終防衛線としながらも地球政府の敗北は決定的だった。この時、BFF司令官フランクールは地球全域に対する全面的な無差別攻撃を主張し、反対に政治委員のチャオは地球を完全に包囲しての持久戦により地球政府に降伏を促す事を提案した。パルムグレンは折衷案として二ヶ月間の持久戦の後、地球全土に全面攻撃を実施。地球が餓死寸前まで追い込まれた上での全面的な大量殺戮であったため、地球にとって最も残酷な結果になったとされている。 無差別攻撃の直前には地球統一政府代表が和解の為にBFF総司令官フランクールの元を訪れているが、フランクールは「滅亡するか、滅亡させられるか、好きな方を選べ」と聞く耳を持たなかった(代表はこれから起きる惨劇を直視できず、統一政府本部への帰還途中に自殺)。他の地球統一政府の首脳陣はヒマラヤ山脈に建設された巨大地下シェルターに大量の物資と共に避難しており、しかも地上の地獄絵図を肴にして享楽に耽る有様だった。これに激怒したフランクールは地球上に降下し、灌漑用水路を爆破して数億トンの水をシェルターに注水し内部にいた人間を皆殺しにする。その後、焼け残った都市部では三日間にも及ぶBFFによる徹底的な略奪と殺戮が行われ、後世「ラグラン市事件が100倍の規模で再現された」と評される。地球の総人口も十億人程度まで激減(ラグラン事件と違い犠牲者の総数は不明。作中の地球最盛期とされた人口から計算すると少なくとも数十億、最大値で90億近い犠牲者が出ていると推測される)。大部分の市民は不毛の地と化した地球を見捨てて、他の惑星へ移っていったが、残留した地球市民の間では生存を掛けた紛争と内戦が地球各地で発生したとされ、時期は不明だが、地球統一政府残党勢力による地球教設立の際にも反対派への弾圧が行われたため、作中時間軸では地球の総人口は約一千万人まで激減した。 この戦いの結果、地球統一政府は事実上消滅し、地球は人類の盟主の座を失った。しかし、シリウス政府側も直後に起きた内紛でラグラン・グループが全員死亡し後継者をめぐる抗争が勃発し、銀河全体を統括できる影響力を持った政体が消滅。BFFがいくつもの勢力に分裂し、戦乱はさらに銀河連邦が西暦2801年に成立するまで一世紀近くも続くことになる。 そして地球は「過去の存在」として人々の記憶から忘れ去られ、後に成立した銀河連邦やゴールデンバウム朝銀河帝国も地球に対する施政を実質的に放棄し、地球教による地球自治を事実上黙認する事となった。なお、ヒマラヤ山脈は地形が変わるほど爆撃されたが、旧地球政府の地下シェルターは健在で、後に地球教の総本部として使用されている。これらは約900年後、ローエングラム朝銀河帝国による地球教討伐作戦で破壊される。
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