土井の左足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 09:53 UTC 版)
岡田を名審判として世に知らしめたこととして、1969年の日本シリーズ第4戦(10月30日後楽園球場)での判定がある。 4回表、無死一・三塁で読売ジャイアンツは、一塁走者の王貞治が二塁に向け、続いて三塁走者・土井正三が本塁に向けてスタートをきる、いわゆるディレードダブルスチール(重盗)を仕掛けた。ボールは、捕手・岡村浩二 - 二塁手・山口富士雄 - 岡村と転送され、土井は捕手・岡村に跳ね飛ばされた形となったことから、このプレイはアウトと思われた。しかし、この試合で球審を務めていた岡田は「セーフ」の宣告をした。この判定に、完璧に土井をブロックしていたと確信していた岡村は激高し岡田を殴打し、岡田は、岡村に日本シリーズ初の退場事件となる処分を下した。なお、日本野球機構においては、本塁でのクロスプレイそのものについてはコリジョンルールが2016年から、判定への不服についてはリクエスト制度が2018年から導入され、関係する状況等は大きく変化している。 岡村退場後に捕手の守備についた岡田幸喜が、投球をわざと捕球せずに球審・岡田を投球の的にするという報復に出たのに対して、岡田はボールを直接投手に送球して渡さずに三塁に転がした。 試合終了後、岡田はこの試合を観戦していたコミッショナー委員や両リーグ会長、および両球団の代表らがいた貴賓席に呼び出され、ボールを三塁側に転がした行為に対して厳重注意処分を受けた。後年、岡田は「前代未聞の誤審と言われ、四面楚歌の状態だった」と述べている。 厳重注意処分を受けた後、記者に囲まれた岡田は「どうみてもアウトではないのか?」「モニターでは土井の足はホームに達していないぞ!」と詰め寄られた(岡田は後に「確かにモニターを見る限り、土井の足はホームに達していなかった」と述懐している)。帰宅後、ミスジャッジをしてしまったかもしれないと考えた岡田は辞表を提出しようと考えていたところ、報知新聞記者近藤唯之から電話が入り、「あなたのジャッジのとおりの写真が出た」と知らされた。そして、翌朝の各新聞に問題となった本塁でのクロスプレイの写真が大きく引き伸ばされて掲載された。そこには、土井が跳ね飛ばされる直前に彼の左足が岡村の両足の間をかいくぐり、しっかりと本塁を踏んでいる瞬間が見事に写し出されていた。これにより、問題のジャッジは正しかったことが証明され、周囲からの非難は一気に沈静化。逆に「鋭い部分を見ていた」との称賛の声も出た。 岡田自身がフジテレビ739で語ったところによれば、第6戦で岡田が右翼外審として出場したときは、(ジャッジの正当性が証明されたにもかかわらず)真上にいる阪急ファンから大ブーイングを受けたという。また、阪急監督の西本幸雄は、新聞に写真が掲載された後も、「写真がどうした?アウトはアウトだ」「アウトかセーフかが、いつの間にか足が入っていたかどうかの話に摩り替えられた。巨人の選手が見逃せば全部ボールか、巨人の選手がベースに近ければ全部セーフなのか」と、岡田の判定を批判し、自らの正当性を主張した。 この岡田のジャッジや審判としての葛藤についてはアニメ「巨人の星」第148話「グラウンドの孤独者」の中で描かれた。なお、この話の中には岡田の妻と「かおり」という娘が登場する。また、舞台は日米野球のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦で、退場者もジャイアンツの捕手という設定だった。 「日本シリーズ初の退場事件」も参照
※この「土井の左足」の解説は、「岡田功」の解説の一部です。
「土井の左足」を含む「岡田功」の記事については、「岡田功」の概要を参照ください。
土井の左足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 05:34 UTC 版)
「日本シリーズ初の退場事件」も参照 1969年10月30日に後楽園球場で行われた日本シリーズ、読売ジャイアンツ対阪急ブレーブスの第4戦で、4回表、無死一・三塁の場面。巨人はディレードダブルスチールを仕掛け、一塁走者王貞治が二塁へ、次いで三塁走者土井正三が本塁へスタートした。阪急の捕手岡村浩二は、投球を捕ると一度二塁へ送球した。二塁手山口富士雄がこれを受けて再び岡村へ転送、本塁で土井と岡村のクロスプレイとなった。 岡村は送球を捕って本塁に突入してきた土井を跳ね飛ばしたので、このプレイはアウトと思われた。しかし、球審岡田功はこれをセーフと判定した。この判定に、完璧に土井の走塁を防いだと確信していた岡村は激高し、岡田を殴打、岡田は岡村に退場を宣告した。これは、日本シリーズの歴史の中で初の退場処分である。 試合後に記者に「アウトだったのではないか?」と詰め寄られた岡田は、帰宅後「ミスジャッジをしてしまったかもしれない」と悩み、辞表を提出しようと考えていた。しかし翌朝、新聞に問題となった本塁でのクロスプレイの写真が大きく掲載された。そこには、跳ね飛ばされる直前に土井の左足が岡村の両足の間をかいくぐり、本塁を踏んでいる瞬間が写し出されていた。これにより、岡田の的確な判定と土井の走塁技術の高さが賞賛された。一方、阪急監督・西本幸雄は「どう見てもあれは“ジャンパイア”だ」と批判している(日本シリーズ初の退場事件#コメントを参照)。
※この「土井の左足」の解説は、「クロスプレイ」の解説の一部です。
「土井の左足」を含む「クロスプレイ」の記事については、「クロスプレイ」の概要を参照ください。
- 土井の左足のページへのリンク