国際養子
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国際養子(こくさいようし)は、国籍の異なる養親と養子の間で養子縁組を行うことをいう。当事者の一方の国における手続き上の面からは、渉外養子(しょうがいようし)とも呼ばれる。
国際養子が発生するケース
グローバルな児童福祉
戦災孤児や、家庭問題(家庭崩壊、ドメスティック・バイオレンス等)が深刻・経済的困窮などの理由で子供の養育が充分に出来ない家族から、国境を越えて、未成年者を養子として迎える場合。送り出す側は、おおむね開発途上国、迎え入れる側は、おおむね先進国であることが多い。
1989年採択の子どもの権利条約では、養子縁組は可能な限り国内委託を優先することを定めており、国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保するよう定めている。やむなく海外に送り出す場合も児童の利益最善化に最大限の配慮がなされるべきことを求め、不当な金銭授受を禁じている。また、1993年の国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約により、手続きの初めから終わりまで、両国の法務当局が責任を負うよう定められている。人身売買ではないとの証明から始まり、法務当局間での養親と養子についてのプロフィール交換、送り出す側は子供の出国までを見届け、迎える側は子供の入国を確認する義務があるとされる。政府報告では、国際養子縁組に関係した児童に関する統計で2000年現在、全家裁総数が養子縁組500件、特別養子縁組34件となっている(国際養子縁組とは、申立人、相手方、事件本人、参加人などの全部又は一部が外国人である養子縁組事件をいう)。なお、2001年以降の数値については把握していないとされる[1]。
国外居住者が現地で養子縁組
前述のような、異居住地間における国際貢献や格差是正の観点を含む国際養子ではなく、自分の国籍とは異なる地域に居住する者が、同国人間の養子縁組と同様の趣旨で行う場合。
国際結婚に伴う連れ子
異なる国籍の者同士で国際結婚を行い、配偶者の子供を養子にする場合。ただし、後述のとおり、養子縁組をしたからといって、必ずしも帰化要件の緩和や在留資格が与えられるとは限らない。
成年同士の養子縁組
それぞれの法律によって、養子は未成年者や一定の年齢以下のみに対象が限られている国と、日本のように成年者が養子となることも可能な国とがあり、後者で当事者の合意により養子縁組が行われる場合。なお、後述のとおり、養子縁組によって相続等における法律上の親子関係が発生することと、帰化や在留資格の取得の可否とは、また別問題である。
各国の法規
日本
日本において、養子縁組に関する担当官庁は法務省民事局(及び法務局・地方法務局)、外国籍の養子の日本在留に関する許認可官庁は法務省入国管理局(及び地方入国管理局)になるが、国際養子に関する直接的な法律はない。6歳未満に関しては民法に特別養子縁組の詳細な規定があり、特に実親とは別れた乳幼児を他国から引き取る場合などは、特別養子縁組によることが想定される。
法の適用に関する通則法により、準拠法は、養親の本国法によるものと定められている。養子の本国法に、縁組の承諾や許可に関する保護要件が設定されている場合は、それも満たすことが求められる。
帰化に際して、縁組当時 本国法において未成年で、1年以上日本に住んでいる外国人養子は、簡易帰化の適用が可能となる。
- 一般の未成年養子に関する注意点
- 特別養子には、日本人の配偶者等の在留資格が与えられる。
- 6歳未満の普通養子には、定住者の在留資格が与えられる。
- それ以上の年齢では、人道上配慮すべき特段の事情がある場合は法務大臣から個別に定住者の在留資格が与えられる可能性もあるが、そうでなければ、通常の外国人と同様に何らかの在留資格が別途必要になる。
- 連れ子に関する注意点
- 日本人が、外国人配偶者の外国籍の子供と養子縁組する場合(養子縁組しない場合でも)、その外国人配偶者に扶養されている未成年の未婚の実子は、原則として定住者の在留資格が与えられる。成年後や独立生計の養子が日本に居住するには、通常の外国人と同様、何らかの在留資格が別途必要になる。
- 外国人が、日本人配偶者の日本国籍の子供と養子縁組する場合は、養親の本国法に基づく。
- 成年養子に関する注意点
- 留学生や技術研修などで来日した外国人が、日本での在留期間の延長や事業承継者となることを目的として、日本人の養子となることを希望する例が見られる。しかし、成年養子には帰化や在留資格に関する特段の優遇措置は与えられておらず、滞在の便法としての利用は無意味である。
- このことは、養子縁組を脱法手段とした不法入国や違法滞在の防止とも関連している。
中国
中国の国際養子は、中華人民共和国収養法(1991年)により規定されている。規模は、1992年から2005年までの累計で5万人以上となっている[2]。性別では、95%が女児となっている。これは、孤児となる原因が戦災や、親の問題(アルコール中毒、麻薬等)よりも、一人っ子政策による第2子が制限されている中で、男尊女卑を背景に女児を遺棄することが原因となるケースが多いため、健康状態などが良好なためである[2]。
その後、2006年12月に、「孤児が少なくなった」として、養父母となるための資格が厳しくなっている[2]。
問題点
日本では、養子縁組の斡旋業者は罰則のない届出制であり、無届けの業者による人身売買の危険性が指摘されている[3]。
脚注
- ^ 外務省 第二回政府報告H.養子縁組(第21条) 2015年11月12日閲覧
- ^ a b c 遠藤誉「第6回 欧米人夫妻にもらわれていく中国の女児たち <A女>の出現が女児遺棄を防ぐという皮肉」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月25日付配信
- ^ 養子輸出国ニッポン:研究:Chuo Online(読売新聞)
関連項目
国際養子縁組
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 03:08 UTC 版)
国際養子縁組とは、国籍の異なる養親と養子との間で成立する養子縁組を指す。 国際養子縁組の総成立件数は把握されていないものの、日本国内の法律がないため養子縁組にかかる手続きが比較的容易である等の理由から、養子縁組大国である米国での受け入れも多い。米国国務省によると、1999年から2012年の13年間で日本から米国に養子に出された事例は483件、2012年度は21人であった。国際養子縁組は、多くの先進国が養子を受け入れる中で、このように日本が養子送り出し国となっていることについては一部の有識者から批判がある。国連が1989年に採択した『子どもの権利条約』においても、国内養子縁組ができない場合の次善の手段として位置づけられている。 韓国では1970年代から1990年代にかけては海外養子縁組が拡充した。産業化、都市化の進展において、未婚の母が急増。未婚の母から生まれ子供たちは、海外養子縁組に出された子供たちの大部分にあたる が、国連子どもの権利条約に批准した1990年以降、施設収容より家庭的養護が重視され始め、養子縁組は里親制度と並ぶ要保護児童対策として重要な役割を占めていると認識されるようになった。その結果、海外養子ゼロを目標に、国内養子縁組を優先させる方策が次々と打ち出された。要保護児童を家庭で育てる政策として、斡旋にかかる手数料の支払いや、子供が13歳になるまでの養育費の補助などが行われる他、心理治療についても支援がある。また、2008年には、日本の特別養子縁組制度に類似した、新しい親養子制度が施行されている。 一方で、海外では日本に比べ障害児の養子受け入れが進んでいる等、国際養子縁組が養子の最善の利益になる場合もあるため、一概には否定されるべきではないという意見もある。これらの状況を受け、近年、国内では国際養子縁組が多い背景の一つとされている、国内の制度基盤の未整備に立法化の動きもでてきている。
※この「国際養子縁組」の解説は、「特別養子縁組」の解説の一部です。
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