古典的テキスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 00:16 UTC 版)
バルテルは、本物と認められる24点の文字板をアルファベット1文字で識別し、その後、これらにもう2点の文字板が追加された。文字板の面は、テキストがどこから始まるのかが判明しているものについては、それぞれ r (recto の略、表面)、または v (verso の略、裏面)の記号で区別され、例えば Pr2 は「文字板 P」(サンクトペテルブルク大文字板)の表面、2行目を指す。しかし、テキストの始まりが判明していないものについては、面はそれぞれ a および b の記号で区別され、例えば、 Ab1 は「文字板 A」(タフア文字板)の b の面、1行目を表す。かぎ煙草入れの箱の文字板は6面体であるため、それぞれの面が a から f までの記号で区別されている。 バルテルによる符号フィッシャーによる符号その他通称 / 異 名所蔵場所備考ARR1 タフア(Tahua) (the Oar = 櫂) ローマイエズス・マリアの聖心会修道院 長さ91 cmのヨーロッパ、またはアメリカの船の櫂(オール)の先端部に、1,825の絵文字が刻まれている。セイヨウトネリコ 製。 BRR4 アルク・クレンガ(Aruku kurenga) 長さ41 cmのサキシマハマボウ (Pacific rosewood, Thespesia populnea)の板。浅い溝(行)があり、その中に1,135の絵文字が刻まれている。 CRR2 ママリ(Mamari) 長さ29 cm。「B」と同じ材質だが、浅い溝(行)はない。1,000の絵文字が刻まれており、内容は暦に関するもので、他の文字板に比べ、絵文字が絵画的である。 DRR3 Echancrée(刻まれたもの) パペーテ 長さ30 cmの、浅い溝(行)のない文字板。270の絵文字が刻まれている。釣り糸のリールとして使われていた。表と裏で、筆跡が異なる。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}南アフリカ原産の、South African Yellowwood (Podocarpus latifolius)製か?[独自研究?] ERR6 ケイティ(Keiti) (ルーヴェン) 822 の絵文字が刻まれた39 cmの文字板。浅い溝(行)がある。第一次世界大戦で失われたが、原物から取られた鋳型がワシントンとパリに現存している。 FRR7 Chauvet fragment ニューヨーク 51の絵文字が荒く刻まれている、12 cmの文字板。ヤシの木製か?[独自研究?] GRR8 サンティアゴ小文字板(Small Santiago) サンティアゴ チリ国立自然史博物館 720の絵文字が刻まれた32 cmの紫檀製の文字板。浅い溝(行)がある。裏面のテキストには何かの系図が含まれていると思われ、他のテキストとパターンが異なっている。 HRR9 サンティアゴ大文字板(Large Santiago) 1,580の絵文字が刻まれた44 cmの紫檀製の文字板。テキストが「P」および「Q」とほとんど同一である。 IRR10 サンティアゴ杖(Santiago staff) 2,920の絵文字が首長の杖に刻まれている。現存するテキストでは最長のもので、このテキストに似たパターンのものは、「Gv」と「Ta」にしか見られない。句読点らしきものが使われている唯一の文字板。 JRR20 大レイミロ(Large reimiro) ロンドン 絵文字2つが刻まれた長さ73 cmの胸飾り。非常に古いものである可能性がある。 KRR19 ロンドン(London) 荒く刻まれた163の絵文字のある、22 cmの紫檀製文字板。テキストが「Gr」とよく似ている。 LRR21 小レイミロ(Small reimiro) 44の絵文字が刻まれた長さ41 cmの胸飾り。非常に古いものである可能性がある。紫檀製。 MRR24 ウィーン大文字板(Large Vienna) ウィーンウィーン民族学博物館 長さ28 cmの紫檀製の文字板。保存状態が悪く、面 b は破壊されているが、面 a に54の絵文字が見える。初期に作成された鋳型に、もっと多くのテキストが残っている。 NRR23 ウィーン小文字板(Small Vienna) 172の絵文字の刻まれた、26 cmのユクノキ製文字板。テキストは「Ev」にやや似ている。 ORR22 ベルリン(Berlin) ベルリン民族学博物館 103 cmの流木。面 a に90の絵文字がはっきりと刻まれている。保存状態が悪いため、面 b にある絵文字は視認できない。 PRR18 サンクトペテルブルク大文字板(Large St. Petersburg サンクトペテルブルクピョートル大帝人類学・民族学博物館 長さ63 cmのヨーロッパ、またはアメリカの船の櫂(オール)の先端部に、1,163の絵文字が刻まれている。ユクノキ製でカヌーの床板になっていた。テキストは「H」および「Q」とほぼ同じである。 QRR17 サンクトペテルブルク小文字板(Small St. Petersburg 44 cmの紫檀の幹に718の絵文字が刻まれており、浅い溝(行)がある。テキストは「H」および「P」とほぼ同じである。 RRR15 ワシントン小文字板(Small Washington) ワシントン 357の絵文字が刻まれており、ほとんどすべての句が他の文字板のテキストにも見られるものである。長さ24 cm。 SRR16 ワシントン大文字板(Large Washington) 長さ63 cm紫檀の木板に、600の絵文字が刻まれている。カヌーの床板になっていた。 TRR11 ホノルル溝付文字板(Fluted Honolulu) ホノルル 浅い溝(行)が彫られた31 cmの木板上に、120の絵文字がはっきりと刻まれている。保存状態が悪いため、面 b にある絵文字は視認できない。 URR12 ホノルルの横げた(Honolulu beam) 長さ70 cmのヨーロッパ、またはアメリカの船の横げたに、27の絵文字がはっきりと刻まれている。保存状態は悪く、表と裏で、筆跡が異なる。 VRR13 ホノルルの櫂(Honolulu oar) 長さ72 cmのヨーロッパ、またはアメリカの船の櫂(オール)の先端部に、22の絵文字がはっきり刻まれている。保存状態が悪く、面 a にテキストが1行と、2つの対になった絵文字が2組刻まれているほか、面 b にもかつてテキストが刻まれていた痕跡がある。 WRR14 ホノルルの断片(Honolulu fragment) 片側の面に絵文字8つが刻まれた7 cmの木片。 XRR25 タンガタ・マヌ(Tangata manu)ニューヨーク鳥人文字板(New York birdman) ニューヨーク 高さ33 cmの「タンガタ・マヌ」の小像。7つのテキスト(合計37の絵文字)が浅く刻まれている。 YRR5 パリのかぎ煙草入れ(Paris snuffbox) パリ 3つの別々の文字板の部分から成る7 cmの箱。箱の外側にのみ85の絵文字が荒く刻まれている。流木か?[独自研究?] ZT4 ポイケ重ね書き文字板(Poike palimpsest) サンティアゴチリ国立自然史博物館 11 cmの木片。流木か?[独自研究?]本来のテキストの上に、新たに絵文字を刻みなおしたものらしく、本当に古くから伝わるテキストであるか疑問が投げかけられている[誰?]。 その他にも、荒いタッチの絵文字が刻まれている石や木製の品が存在するが、ほとんどはロンゴロンゴが発見されてから間もない頃に、観光目的で作られた偽物であると考えられている。26の文字板の中にも信憑性が疑われているものもある。例えば、出所の由来がはっきりしない「文字板 X」、「Y」、「Z」、絵文字が拙い「文字板 F」、「K」、「V」、「W」、「Y」、「Z」、金属製の刃物で刻まれたと思われる「文字板 K」、「V」、「Y」である。そのため、たとえこれらの文字板が本物であることが証明されても、解読作業で信頼できる資料とはならない。「文字板 Z」は、初期に作られた多数の偽物に似ている点が多いばかりか、絵文字も牛耕式で刻まれていない(後述書記方向参照)。しかし、これは見えづらくなった本物のテキストの上に、新たなテキストを刻み直した結果であるかもしれない。
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