古典的シャープペンシル
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「シャープペンシル」の記事における「古典的シャープペンシル」の解説
確認される最古のシャープペンシルは、1791年に沈没したHMSパンドラから見つかった。実際の発明はこれより前に遡ると考えられる。 1822年、イギリスのジョン・アイザック・ホーキンスとサンプソン・モーダン(英語版)が繰出式のシャープペンシルを発明し、特許を出願した。サンプソン・モーダン社のシャープペンシルは純銀や金によって作られ軸の後端には宝石や貴石が嵌め込まれそこに封蝋に印をつける為の家紋やイニシャルを彫り込むことができた。 1837年または1838年にアメリカ合衆国のキーランが繰出式のシャープペンシルをエバーシャープの名で発売したといわれている。エバーシャープ(英語版)を作ったキーランと呼ばれる著名なアメリカの発明家は後年にもおり、チャールズ・ルード・キーラン(英語版)が1910年代に同名のブランドでシャープペンシルを発売、0.046in径(約1.17mm)芯のものを開発している。 ユダヤ系クロアチア人のスラボリューブ・ペンカーラ(英語版)は、1906年にオートマチックペンシルと名づけたシャープペンシルを発明し、1907年には世界初の固体インクの万年筆を発明したことにより、シャープペンシルの父の一人と考えられている。 日本では、1870年代後半にアメリカ製やドイツ製のシャープペンシルが輸入されるようになり、これを手本としたものが東京の錺(金属細工)職人らによって手工業で作られ始める。1900年代初めには機械が導入され、1920年代には軸が樹脂で作られるようになり、外国にも輸出された。早くは1886年に2件の特許が出願され(特許第299号、特許第433号)、その後数多くの特許が出願されている。当時使われていた機構はドロップ式(芯ホルダー)や押出式、繰出式(スクリュー式)であった。 1915年、錺職人であった早川徳次(のちのシャープ創業者)が、繰出鉛筆の金具を受注したことに始まり、自ら金属製繰出式シャープペンシルを発明、「早川式繰出鉛筆」として実用新案を取得した。これ以前の繰出鉛筆はセルロイド製であり、壊れやすく実用的ではなかったが、早川式繰出鉛筆は美しく丈夫な金属軸であり、やがて輸出用にも人気を得た。翌1916年には更に細い芯を使用可能に改良し、福井商店(現ライオン事務器)の福井庄次郎の助言により「エバー・レディ・シャープ・ペンシル」と命名された。早川式繰出鉛筆は1.15mm径の芯が使用できたほか、1920年登録の実用新案(登録実用新案第54357号)では、従来根元まで摩耗した残芯の除去が困難であったのを、道具を使わず容易に取り出せるよう改良した点を新規性としている。早川は試作品を含め様々な多機能のものも製作しており、体温計、カレンダー、鋏、方位磁石、時計、ライターなどを組み込んだ。早川式繰出鉛筆を製造していた早川兄弟商会は1923年の関東大震災で工場を焼失し、借金弁済のため筆記具事業を取引先に譲渡して解散、早川は翌1924年に早川金属工業研究所(現シャープ)を開業して家電事業へ参入したが、筆記具にちなんだ「シャープ」の名は同社のブランド名や社名として使われるようになった。
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