古典的な起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 15:47 UTC 版)
ラテン語のcōnātusは、通常「努力する、~しようとする」と訳される動詞cōnorに由来する。しかし、「コナトゥス」という概念は最初紀元前にストア派及び逍遥学派によって発展させられた。それらの学派はὁρμή (hormê、インペトゥスとラテン語訳される)という言葉を使って、魂が物体に向かう動きや、それによる物理的な運動の結果を表した。古典的な思想家のマルクス・トゥッリウス・キケロ(紀元前106年 - 紀元前43年)やディオゲネス・ラエルティオス(紀元前235年ごろ)は、この原理を拡張して破壊に対する嫌悪を含意するようにさせたが、その適用範囲はヒト以外の動物の動因に限定され続けた。例えば、ディオゲネス・ラエルティオスは、特に植物に対してこの術語を適用することを否定している。ルネッサンス以前に、トマス・アクィナス(1225年 - 1274年)、ヨハネス・ドゥンス・スコトゥス(1266年 - 1308年)、そしてダンテ・アリギエーリ(1265年 - 1321年)が「コナトゥス」の同意語としてラテン語「ウルト vult」「ウェッレ velle」「アッペティト appetit」を使って同様の感情を表した。実際、これら4つの単語は全て元々のギリシア語ὁρμήの訳語として使われる。後に、ベルナルディーノ・テレシオとトンマーゾ・カンパネッラが古代ギリシアの概念を拡張し、生物無生物にかかわらずすべての物体に適用した。 最初にアリストテレスが、後にキケローとラエルティオスがそれぞれ、「コナトゥス」と別の感情との連結を暗に示した。彼らの考えでは、コナトゥスが他の感情を引き起こす。人が何かをしたいと思うのはそれをよいことだと思っているからではなく、むしろ人はやりたいと思ったことをよいことだと思うのだと彼らは主張した。言い換えれば、人の欲望の動因は「コナトゥス」の原理に従って肉体が自らを増大させようとする本性的な傾向だということである。
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