単独核保有論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 15:29 UTC 版)
日本が独自に核兵器を開発し、運用すべきであるとする考えである。一般に「核武装論」とはこの単独核保有論を指す事が多い。 利点 外交における発言力の大幅な向上。特に射程内の国に対して。また、過去にアメリカが日本に対して行ってきた数々の内政干渉的な改善要求(一般にも知られるのはアメリカが日本に対して行ってきた年次改革要望書が有名。数々にグローバリズム路線政治思想による規制緩和や構造改革によって日本が持つはずの自国内経済主権の崩壊、デフレの長期化、関税自主権を封殺する日米FTA(“自由貿易”を謳いつつも日本が優位な自動車産業については高い関税を掛けようとする動きもある上にさらに日本の食糧安全保障を崩壊させる農薬規制の緩和や防疫規制の撤廃なども含む)を拒否することも可能になる。 発射に関して、米国などの干渉を受けないため、信頼性の高い核抑止力を持つことが出来る。 実際に現状の米国製兵器(戦闘機やミサイル防空システムなど)は米国国防省(ペンタゴン)の軍事衛星からの信号モードに依拠した防空システムであるため信号の変換モードひとつ切り替えるだけで日本の米国製兵器は使用不能になるという説もある。しかし、自国製兵器ならばそのような心配は不要。ただし軍事衛星による高度で正確性の高い弾道誘導システムを自国で開発することも必要になる。 安全保障において日本の自立性が飛躍的に高まる。 NPT改革などと違い時間のかかる多国間交渉が不要である。 米国の核ミサイルをシェアリングした場合、仮に中国が北朝鮮と共謀で日本に核による恫喝を仕掛けてきたと仮定するとアメリカが中国と北朝鮮の米国国土に着弾する飛距離を持つ中国・北朝鮮製の核弾頭に狙い撃ちされるリスクを犯してまで日本を守る覚悟があるのか甚だ疑問である。そして日本の核武装を推奨する論者は『アメリカが日本を守るために本気のリスクを犯す事などあり得ない』という論点から日本の核武装を推奨するものが多い。また、日本が単独で自国製核兵器による核武装をすることで中国や北朝鮮からの『核の脅威』から米国を守ることにもつながる(バランスオブパワーポリティクス)の上でも必要と唱える論者も米国内に存在することも事実である。 問題点 非核三原則をはじめとするこれまでの政策の大幅転換が必要であり、日本が加盟している核拡散防止条約から脱退する必要がある。 外交的には、これ以上核保有国を増やさないとする核拡散防止条約(NPT)加盟約190カ国、および核武装した日本の核兵器射程圏内に入る国々の反発が予想される。大量破壊兵器不拡散を国家基本安全保障政策に掲げる米国にとって、NPT体制こそがパクス・アメリカーナの安定維持装置であり、それに反した政策をとる国(かつてのイラクのフセイン政権・イラン・北朝鮮など)に対して制裁を行う急先鋒となっているため、米国から同意を得るのは非常に困難。 米国の経済・金融制裁に対して日本は脆弱である。また、米中露による海洋封鎖・臨検や、核施設空爆の危険を乗り越える方策が必要。 部分的核実験停止条約を批准している日本では核兵器を開発したとしても核実験を行うのは不可能に近い(下記参照)。
※この「単独核保有論」の解説は、「日本の核武装論」の解説の一部です。
「単独核保有論」を含む「日本の核武装論」の記事については、「日本の核武装論」の概要を参照ください。
- 単独核保有論のページへのリンク