効果的なグラフィック表示の特性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 23:35 UTC 版)
「データ可視化」の記事における「効果的なグラフィック表示の特性」の解説
絵の最も偉大な価値とは、見るのは無理だと諦めていたものを否応なしに我々に示してくれることだ。 ジョン・テューキー エドワード・タフテは、情報表示を扱う者は比較など特定の解析法を実行していると説明した。インフォグラフィックの設計原則はこの解析法に基づくべきである。クリーブランドとマギルが示すように、異なるグラフィック要素がこれを多かれ少なかれ効果的に成し遂げている。例えば、点プロット図や棒グラフは円グラフよりも有用性が高い。 タフテは1983年の著書『The Visual Display of Quantitative Information(定量情報の可視表示)』にて「グラフィック表示」とその効率に関する原則を次のように定義している。「統計グラフの優れている点は、明確性・正確性・効率性を共に伝達するという複雑な思想で成り立っていることである。グラフィック表示は以下のようにすべきである。 データを表示する 方法論、グラフィックデザイン、グラフィック制作技術といった他の事柄ではなく、主題内容について考えるよう閲覧者を誘導する データの言わんとする内容を歪めたりしない 小さなスペースに大量のものを提示する 大がかりなデータ群を理路整然とさせる 異なるデータとの比較へと目を向けさせる 広範な概要から詳細構造まで、幾つかの詳細段階でデータを明示する 説明、探索、集計、装飾が合理的に明確な目的を果たしている データ群の統計と言語記述とが密接に統合されている グラフィックはデータを明快にする。実際、グラフィックは従来の統計コンピュータ処理よりも正確にかつ明示させることが可能である。」 例えば、ミナールのダイアグラム図(右上を参照)は1812-1813年にナポレオン軍が負った損失被害を示している。描かれた6つの変数は、軍の規模、2次元平面上の位置(xとy)、時間、移動方向、温度である。線の幅は比較(各地点での軍の規模)を示し、温度軸は軍の規模変化の原因を示唆している。2次元平面におけるこの多変数表示は、直ちに把握できるように物語を伝えながら、一方で信頼性を構築するソース情報も明らかにしている。タフテは「これまでに描かれた最高の統計グラフィックかもしれない」と1983年に記した。 これらの原則を適用しないと、メッセージを歪めたり誤った結論を支持してしまう誤解を与える統計グラフになる可能性がある。タフテによると、屑グラフ (chartjunk) とはメッセージを強調しない無関係の装飾グラフィックがあったり不必要な3次元表示(奥行表示など)があるものを指す。要点説明を画像自体から不必要に離したり、画像から要点へと視線を何度も往復させる必要があるものは「管理破綻」の一形態である。「インクに対するデータ(data to ink)」の比率を最大化し、可能であればデータ以外の印刷部分は削除すべきである。 米議会予算局は、2014年6月にグラフィック表示の最も良い実践法を幾つか要約して公表した。具体的にはa) 自分の視聴者を知る事。b) 報告書の文脈外側に、グラフィックが単独で収まるよう設計する事。c) 報告書の要点となるメッセージを伝えるグラフィックを設計する事。などが挙げられている。
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