創作物上の扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 01:31 UTC 版)
史実においては、将軍家兵法指南役(公的な場における武芸の最高権威)にして、当時最大の剣術流派の宗家という立場、使番や惣目付などを歴任し大名にまでなった将軍側近としての立場、個人としての家光や沢庵その他諸大名との交流、十兵衛三厳などの子供達との関係や尾張柳生家との不仲など、同時期の他の武芸者と比較し様々な側面を持つことから、その人物像は作家/作品によって大きく異なる。 山岡荘八は大河ドラマ『春の坂道』のために原作(『柳生宗矩』)を書き下ろしている。山岡は他の小説『徳川家康』、『伊達政宗』、『徳川家光』にも宗矩を登場させ、これらの作品内において宗矩は、一貫して情誼に篤い剣聖であり、家光のよき師として描かれている。また、吉川英治の『宮本武蔵』においても、実直な理性家として描かれている。 一方で五味康祐・荒山徹・宮本昌孝・朝松健らの小説や、映画・ドラマ『柳生一族の陰謀』、大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』などにおいては、幕府安泰のために陰謀や暗殺を遂行する闇の世界の人物として描かれている。また、その中でも、秀忠を悪役とする作品では、宗矩もその配下の悪役として描かれがちである(小説では隆慶一郎の諸作や漫画『あずみ』、ゲーム『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』など)。また惣目付に就任していた影響などから、「裏柳生」と呼ばれる密命を帯び謀反の芽を摘み取ったり、柳生一族の邪魔になるような者を排除を目的とする忍者や武術、暗殺集団の頭領とされることもある。 同様に剣豪小説的な視点(津本陽、戸部新十郎の諸作。また漫画『陸奥圓明流外伝 修羅の刻』など)から描かれた場合、同時代の剣豪(宮本武蔵など)や同じ柳生一族(父・石舟斎、息子・十兵衛、甥・兵庫助利厳)と比較し、隔絶した地位を得た事から、剣ではなく、政治面で立身した「剣士として純粋ではない人物」いう捉え方をされ、この場合、比較的評価を下げた描かれ方をされる傾向がある。 また柳生一族や将軍家剣術指南役の確執の主軸として描かれる場合もあり、天下の剣術指南役の江戸柳生と、「一国一人の印可」を継承した柳生利厳の尾張柳生といった史実から江戸柳生と尾張柳生の対立の軸としてとりあげられる事や、同じ将軍家剣術指南役の小野派一刀流との確執などが描かれる。また逆に江戸、尾張のまとめ役となり一族共闘の下、互いにそれぞれの役割を担い、任に当たる展開になることもある。
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