創作理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 14:37 UTC 版)
「エドガー・アラン・ポー」の記事における「創作理論」の解説
『サザン・リテラリー・メッセンジャー』誌時代より、ポーは短編作品とともに多数のエッセイや書評を自分の勤める雑誌に寄稿しており、存命中は歯に衣着せぬ批評家としてよく知られていた。1830年代から40年代のアメリカ合衆国の文壇はヘンリー・ワーズワース・ロングフェローを中心としたニューイングランド出身の作家たちが中心となっており、その書評・批評は身内びいきのいい加減なものが多かった。このような現状に業を煮やしたポーは文芸批評に「原理」という基準を持ち込み、文学に必要な要素を明らかにしようとしたのである。 例えばポーは詩に関しては、その唯一正当な領域が「美」にあるとし、「美」は「義務や真実」とは依存関係を持たないという考えから、詩における教訓主義を正当な文学から排除している。また詩におけるリズムは「真実」を追究する表現のためには障害となるが、他方物語においては「真実」はしばしば極めて重大な目的となるとしている。そしてポーはこれらの創作における「効果の統一性」や「印象の統一性」を強調しており、その統一性をもたらすために作品の長さが「一気に読めるようなもの」でなくてはならないとして、詩については長大な叙事詩を時代遅れのものとして退け、小説については1、2時間で読める短編小説(物語)を長編小説よりも優位においている。初期の書評で展開されたポーの批評原理は晩年に「詩作の哲学」「詩の原理」という講演で纏められており、「詩作の哲学」では自作「大鴉」の各詩行がどのような意図で語を選択しているのかを逐次的に明らかにしていき、「詩の原理」では前述したような詩の本質を説きながらポーの愛読するさまざまな詩を解説している。
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