史実において
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 04:27 UTC 版)
巴御前が登場するのは軍記物語の『平家物語』および『源平盛衰記』のみであり、当時の一次史料や鎌倉幕府編纂書の『吾妻鏡』には、その存在は確認されない。女武将であるという物語の記述は史実としては疑問があり、文学的脚色である可能性も高い。『平家物語』における巴御前の記述は至って簡略で義仲との関係も書かれていないが、より後の時代に書かれた『源平盛衰記』において大きく人物像が書き加えられている。 だが『吾妻鏡』に越後の城氏の一族である坂額御前の健闘により討伐軍に大被害が生じたとの記事があり、当時の甲信越地方の武士の家庭では女性も第一線級として通用する戦闘訓練を受けている例は存在する。鎌倉時代にあっては、女性も男性と平等に財産分与がなされていたことからも、合戦に参加することは女性であれ認められていた。 また神話においては神功皇后、崇神天皇の御代に反乱を起こした武埴安彦命とその妻・吾田媛、日本武尊の東征に同行した弟橘媛など、女性が合戦に参加することは決して珍しいことではない。巴御前の場合も『源平盛衰記』では「額ニ天冠ヲ当テ」と描写されるなど、多分に宗教性を帯びた存在であるとの指摘もある。また『源平盛衰記』では巴は義仲の乳母子であるとされており、この場合は柳田國男が述べた「妹の力」との関係も注目される。
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