元社員による提訴 青林堂事件
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「青林堂」の記事における「元社員による提訴 青林堂事件」の解説
男性社員へのパワハラ行為や東京管理職ユニオンの脱退の強要、労働契約書の一方的な調印、他社員との隔離的待遇や嫌がらせがあったとして、東京都労働委員会によって不当労働行為だとして訴えられており、2017年2月には社員が会社を相手取り、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提起している。東京都労働委員会は2017年3月28日、青林堂に対し、社員の組合活動に対する介入をしない、文書掲示の命令書を出した。これは社員の主張が全て救済された事を意味する。 元男性社員は2017年末日に青林堂を退社、労働委員会及びユニオンとの訴訟は2019年現在まだ終わっていない。 社長の蟹江幹彦は従業員に対し12月3日、会社内において従業員らが同席する中、「全ての元凶はユニオンなわけよ。君がユニオン辞めれば、普通にみんな付き合う。」、「まあ、こういうこと言うと、支配介入って言われるけどな。」、「何でも言うよ。君が嫌いじゃなくて、ユニオンが嫌いなんだから。」などの発言を行った。労働委員会での話し合いで蟹江はこの発言は精神衰弱状態の物であり責任能力がないと主張、しかし医師の診断書には記述がなく労働委員会は一連の発言を支配介入であると判断した。 原告側弁護士の佐々木亮は「青林堂は、これは左翼の陰謀であるなどと言っているようであるが、最初に言っておきたいことは『パワハラに右翼も左翼も関係ない』ということである」「もちろん、青林堂からみた『左翼団体』においてもパワハラは存在する。私はその場合でも、特に躊躇することなく、被害者となった労働者の権利擁護をしたいと考えているし、実際にしてきた実績がある」「なお、対話者に無断で録音することが違法であるかのような誤解があるが、そんなことはない。職場におけるトラブルがある場合に、証拠保全の意味で録音することは問題ない。むしろ、労働者が取りうる唯一の証拠収集における対抗手段といっても過言ではない」「青林堂社長の主張内容が、事実に反していたり、社員や所属労組の名誉を傷つけたりしている場合は、別のところで反論をさせていただくし、裁判における請求の拡張に利用させていただくこともある」「青林堂事件は、ハラスメントの陰湿さと、それを支える証拠が多くあることでたくさんの注目を集めた。しかし、俯瞰的に見れば、これはわが国にはびこるパワハラ事件の一つに過ぎないのである。もっとも、一つに過ぎないとしても、これだけ注目が集まった事件である。青林堂には、パワハラを行ったことについて、しっかり責任を取っていただきたい」と反論している。 2019年7月、東京地裁で青林堂が男性に謝罪するという形で和解が成立した。しかし、会社のホームページ上には「素行不良の半年勤務の契約社員」「(ユニオンの街宣では)何故かハングル語が飛び交い」など男性や男性の所属する労働組合を中傷するような内容(いずれも裁判では否定されている)が継続して掲載されていることから、男性は8月6日に会見を開き「やっと終われるかなと思ったのに残念です」と述べ、法的措置も検討するとしている。また東京管理職ユニオンは青林堂が2016年に出版した書籍『中小企業がユニオンに潰される日』について男性と組合を中傷する内容を掲載したとして名誉毀損の訴訟を起こしており、男性とユニオン側は「和解したのに反省の色がない」と憤りをあらわにしている。なお、青林堂の蟹江幹彦はこの裁判について「書籍の表現の自由に関する件での裁判」と説明している。
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