事件を受けての対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 08:13 UTC 版)
「事故米不正転売事件」の記事における「事件を受けての対応」の解説
この事件以降、日本国政府は世界から購入した米に規定以上の残留農薬があり、事故米穀とされるものを輸出元の国家に返却する検討を始めた。 2008年10月3日から、農林水産省は政府が保管する事故米穀を、三笠フーズなどの不正転売をうけ、焼却処分を順次行っていく。10月3日には北海道、茨城県、山口県の各農政事務所によって処分が開始された。約2か月後の11月末までに全国で同様の処分を計238トン行うとしている。さらに、重金属のカドミウムを含む米(カドミウム米)について、食品衛生法の残留基準値1ppm未満のものについては、2003年度までは政府が、2004年度以降は国の補助金で社団法人全国米麦改良協会が買取り、粉にしたうえで赤く着色し食用にできないようにして工業用原料(合板用・敷石用)として、年間約2400トン(2007年度)販売していたが、農林水産省は、10月14日に、カドミウム米についても事故米穀と同様に焼却処分にすることにした。 2008年10月10日には、農林水産省は、事故米穀の販売を、販売ルートが確立されていて不正転売されにくい飼料用としての販売に限ること、輸入米に関する情報をウェブ上で公開すること、販売先の検査について、新しい検査マニュアルを作成したことをそれぞれ発表した。 民間では、2008年9月29日までに、事故米穀が混入していると知らされずに三笠フーズから米を購入した西酒造が、自主回収費用および風評被害による売り上げ減などの損害賠償として、三笠フーズに対して19億6847万円の支払を求めて、東京地方裁判所に訴えを提起した。2008年10月16日には、島田化学工業からでんぷんを購入したすぐる食品が、風評被害による売り上げ減で損害を被ったとして、島田化学工業と社長の島田清之助を相手方として7億6400万円の損害賠償を求めて、東京地方裁判所に訴えを提起した。これらの件を受ける形で、農水省は、「業者名公表による風評被害などで損失を被った」と主張する業者に対し、補償金を支払うことになった。2009年8月までに、補償金の総額は27億円を超えることが明らかになったが、業者名を公表することと、訴訟を経ないで補償を行うことの双方について、賛否両論の議論となっている。 また、農林水産省は、事件の影響を受けて2008年10月3日に、国民の不信を払拭する目的で、政府米を保管する倉庫業者との契約を代行する業務について、それまで独占してきた天下り団体の公益法人全国食糧保管協会と今後契約しない方針を示した。 2008年11月28日には、農林水産省は職員の懲戒を行ない、25名が処分され、7名が給与等の自主返納を行なった。内訳は以下の通り。 農林水産大臣、農林水産副大臣2名、大臣政務官2名、元総合食糧局長ら退職者2名が、給与ないし退職金の自主返納。 農林水産省事務次官、総合食料局長等の関係役職経験者6名の計7名が減給。 総合食料局長等の関係役職経験者について、1名が戒告、9名が訓告、1名が厳重注意、7名が口頭注意となった。 厚生労働省への出向中の1名については厚生労働省での処分が、独立行政法人等へ出向中の3名については、農林水産省復帰後に処分が、それぞれ行なわれる。 2009年2月26日、農林水産省は、不正転売をしていた4社に対し、工業用に限定した契約に違反したとして、2007年5月22日販売分までは売渡額の0.3倍、翌23日販売分以降は転売額との差額の1.3倍の額の違約金を請求した。具体的な額は、三笠フーズに約652万円、島田化学工業に約124万円、浅井に約7344万円、太田産業に約1億3689万円である。 事件を受けて、米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律が制定された。
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