九条袈裟とは? わかりやすく解説

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九条袈裟〈田相黄地鳥丸格子文綾/条葉白地牡丹文顕紋紗〉

主名称: 九条袈裟〈田相黄地鳥格子文綾/条白地牡丹顕紋紗
指定番号 2532
枝番 00
指定年月日 1990.06.29(平成2.06.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 工芸品
ト書
員数 1領
時代区分 南宋
年代
検索年代
解説文: 正伝寺は、中国南宋兀庵普寧【ごつたんふねい】(一一九七-一二七八)の法を嗣いだ東巖慧安とうがんえあん】(一二五-七七)を開山として、文永五年(一二六八)に創建された臨済宗の寺院である。
 二領の九条袈裟は、ともに当寺相伝された伝法衣で、袈裟箱の裏に貼付され天保四年(一八三三)入記によれば前者の九条袈裟は兀庵普寧の師である無準師範【ぶじゆんしはん】(一一七八-一四九)、後者開山東巖慧安所用という。しかし、後者所用者については、袈裟環座に「宗覺」と墨書した絹片が後世縫い付けられており、宗覚禅師すなわち兀庵普寧所用ともされたようで、いずれの所伝正しいかは明確ではない。
 前者の九条袈裟は田相に表現したとみられる丸文黄色の綾と、太細数本の筋を重ねた格子文の黄色の綾を縫いあわせ、条牡丹山茶花さざんか】などの花卉織りだした白地顕紋紗けんもんしや】を用いる。
 後者の九条袈裟は田相が牡丹芙蓉山茶花文をそえた白地顕紋紗、条牡丹芙蓉唐草文風にあらわした紺地顕紋紗である。
 顕紋紗は地の部分透け薄手絹織物一種。二領の袈裟用いられ顕紋紗組織は、いずれも部分経糸たていと】が三本一組となってもじれ、文様部分は緯三枚綾【ぬきさんまいあや】であらわした綾絽【あやろ】風の古様な織技を示している。文様顕紋紗それぞれに異なるが、牡丹芙蓉山茶花など花卉モチーフ主として、花文は写実的で、文様構成唐草文風にのびやか展開し部分的に二重表現したり、のなかに小花文をあしらったり、瓔珞を結ぶなどの特色うかがえる
 これに類似する文様、あるいは同一組織顕紋紗淳祐三年一二四三)銘の墓誌を伴う福建省福州黄昇墓や十三世中葉江蘇省金壜周〓墓などの副葬品みられることから、正伝寺袈裟十三世紀南宋の絹織物認められる。これら二領の袈裟は、わが国伝存する稀少南宋時代遺品であり、洗練された写実性意匠化をみせる南宋絹織物特色をよく具えた遺例である。
 また、袈裟包【けさづつみ】は一枚が表に幸菱文【さいわいびしもん】の浮織物うきおりもの】と固地綾【かたじあや】を縫い合わせ、他の一枚が表に花唐草文風通倭錦ふうつうようやまとにしき】、裏に牡丹鳳凰文固地綾を用いている。綾や風通倭錦の織技、文様から袈裟請来されてほどなく鎌倉時代わが国縫製されたものと推されわが国中世期染織遺品として見逃せない

九条袈裟〈田相白地牡丹文顕紋紗/条葉紺地牡丹文顕紋紗〉

主名称: 九条袈裟〈田相白地牡丹顕紋紗/条紺地牡丹顕紋紗
指定番号 2533
枝番 00
指定年月日 1990.06.29(平成2.06.29)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 工芸品
ト書
員数 1領
時代区分 南宋
年代
検索年代
解説文: 正伝寺は、中国南宋兀庵普寧【ごつたんふねい】(一一九七-一二七八)の法を嗣いだ東巖慧安とうがんえあん】(一二五-七七)を開山として、文永五年(一二六八)に創建された臨済宗の寺院である。
 二領の九条袈裟は、ともに当寺相伝された伝法衣で、袈裟箱の裏に貼付され天保四年(一八三三)入記によれば前者の九条袈裟は兀庵普寧の師である無準師範【ぶじゆんしはん】(一一七八-一四九)、後者開山東巖慧安所用という。しかし、後者所用者については、袈裟環座に「宗覺」と墨書した絹片が後世縫い付けられており、宗覚禅師すなわち兀庵普寧所用ともされたようで、いずれの所伝正しいかは明確ではない。
 前者の九条袈裟は田相に表現したとみられる丸文黄色の綾と、太細数本の筋を重ねた格子文の黄色の綾を縫いあわせ、条牡丹山茶花さざんか】などの花卉織りだした白地顕紋紗けんもんしや】を用いる。
 後者の九条袈裟は田相が牡丹芙蓉山茶花文をそえた白地顕紋紗、条牡丹芙蓉唐草文風にあらわした紺地顕紋紗である。
 顕紋紗は地の部分透け薄手絹織物一種。二領の袈裟用いられ顕紋紗組織は、いずれも部分経糸たていと】が三本一組となってもじれ、文様部分は緯三枚綾【ぬきさんまいあや】であらわした綾絽【あやろ】風の古様な織技を示している。文様顕紋紗それぞれに異なるが、牡丹芙蓉山茶花など花卉モチーフ主として、花文は写実的で、文様構成唐草文風にのびやか展開し部分的に二重表現したり、のなかに小花文をあしらったり、瓔珞を結ぶなどの特色うかがえる
 これに類似する文様、あるいは同一組織顕紋紗淳祐三年一二四三)銘の墓誌を伴う福建省福州黄昇墓や十三世中葉江蘇省金壜周〓墓などの副葬品みられることから、正伝寺袈裟十三世紀南宋の絹織物認められる。これら二領の袈裟は、わが国伝存する稀少南宋時代遺品であり、洗練された写実性意匠化をみせる南宋絹織物特色をよく具えた遺例である。
 また、袈裟包【けさづつみ】は一枚が表に幸菱文【さいわいびしもん】の浮織物うきおりもの】と固地綾【かたじあや】を縫い合わせ、他の一枚が表に花唐草文風通倭錦ふうつうようやまとにしき】、裏に牡丹鳳凰文固地綾を用いている。綾や風通倭錦の織技、文様から袈裟請来されてほどなく鎌倉時代わが国縫製されたものと推されわが国中世期染織遺品として見逃せない
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工芸品:  両部大壇具  丸壺茶入  九条袈裟  九条袈裟  亀甲地螺鈿鞍  亀甲繋散蒔絵手巾掛  亀甲花菱文繡箔打掛



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