主題・構成とは? わかりやすく解説

主題・構成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 08:49 UTC 版)

真夏の死」の記事における「主題・構成」の解説

真夏の海』は、伊豆今井浜で実際に起こった水死事故下敷きにして組み立てた小説であるが、三島由紀夫作品の〈眼目〉を〈最後一行にある〉として、この最後の〈一点頂点とした円錐体をわざと逆様に立てたやうな、普通の小説の逆構成〉を方法論として考えたとしている。そして、〈通常の意味での破局カタストロフ)が冒頭にあり、しかもその破局には何の必然性〉もなく、〈その必然性としての宿命暗示されるのは最後一行〉であるとしながら通常のギリシャ悲劇であれば、この最後一行から始まり、〈冒頭破局結果とすべき〉ところを、『真夏の死』では、それをあえて〈逆様〉に構成した自作解説している。 通常の小説ならラスト来るべき悲劇がはじめて極限的な形で示され生き残つた女主人公朝子が、この全く理不尽な悲劇からいかなる衝撃を受け、しかも徐々たる時の経過恵みによつていかにこれから癒え癒えきつたのちのおそるべき空虚から、いかにしてふたたび宿命到来要請するか、といふのが一編主題である。或る苛酷な怖ろしい宿命を、永い時間をかけて、やうやく日常生活のこまかい網目の中へ融解し去ることに成功したとき、人間は再び宿命飢ゑはじめる。このプロセスが、どうして読者できるだけ退屈を与へずに描き出せるか、といふ点に私の腕だめしがあつた。小説はじめに最も刺戟的な場面を使つてしまへば、そのあと読者何ら刺戟を受けなくなつてしまふ惧れがあるからである。 — 三島由紀夫解説」(『真夏の死――自選短編集』)

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主題・構成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/01 06:07 UTC 版)

愛の渇き」の記事における「主題・構成」の解説

愛の渇き』は、劇的な性格鮮明さ持たせるために、仏蘭西古典劇倣い、王、王妃王子王女、コンフィダン、コンフィダント、という人物配置にしている。三島は、〈弥吉は王である。悦子王妃である。三郎王子である。美代女中だが、いはば王女該当する。謙輔夫婦は、コンフィダンとコンフィダントである〉と説明している。 主題については、〈救済〉を欲せず己の幸福を自称するヒロインの、反ボヴァリー夫人、反テレーズ・デスケイルゥ(Thérèse Desqueyroux)的主題で、〈唯一神なき人間の幸福といふ観念〉を追求するために、〈希臘神話女性似たものを、現代日本風土置いてみようと試みたもの〉としている。また、自身の〈気質〉と折れ合うことを試み、〈気質小説技術とを、十分意識的に結合しよう〉とした作品だとしている。文体は、〈モーリヤック一時的な影響下に生れ文体〉と説明している。 三島は、それ以前短編獅子』において、エウリピデスの『メディア』を典拠に、メディアのように嫉妬に狂うヒロイン・繁子を描きギリシア悲劇拠りながら、そこをより突き抜けたヒロインの完全な勝利破滅結末としたが、『愛の渇き』のヒロイン悦子また、繁子同様に激し嫉妬苦しみ、その嫉妬究極在り方作品主題としていると松本徹説明している。

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