ローマ暦に由来する名称と日数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 04:41 UTC 版)
「月 (暦)」の記事における「ローマ暦に由来する名称と日数」の解説
英語やフランス語などの各月の呼称も、古代ローマで制定されたローマ暦の名称を引き継いでいる。ローマ建国の初代王ロームルスによって定められた最初の暦は紀元前735年に始まったロームルス暦であり、一年を人間の妊娠期間から決められたと言われる304日とし、それを10か月に分けて各月を決めた。最初の4か月にギリシア神話やローマ神話の神々の名を当て、続けて「5番目の月」「6番目の月」(以下同)という番号を振った。 しかしこの暦では季節とのずれが激しく、特に農業従事者からは不満が多かった。そのため2代目の王ヌマ・ポンピリウスは2か月を追加し、太陰暦の354日を基準としながら偶数を嫌う当時の迷信からこれに1日を加えた355日を一年とするヌマ暦を紀元前700年ごろに導入した。だがこれでも年間10日程度のずれが残った。閏月 (Merdedonius) や閏日を挿入して対応したが、やがて貴族や神官らが勝手に置閏を行うようになり、暦は不統一でばらばらな状態に陥った。 ガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)はローマ内戦で逃れたグナエウス・ポンペイウスを追ってエジプトに遠征し、クレオパトラ7世と協調して勝利を収めた。この際、彼はソシゲネスから暦を学びローマに持ち帰った。これを基礎に紀元前47年に制定された、一年を太陽暦365日(閏年は366日)とし、新年を冬至に近いJanuarius の初日からとした暦がユリウス暦である。1か月は30日または31日が交互になるよう定め、超過分はヌマ暦で最終月だったFebruarius(2月)を29日(閏年は30日)と少なくして調整した。この際、元老院はシーザーを称え「第5の月」(Quintilis) の呼称を「ユリウス」 (Julius)へ改訂する決議をした。 その後、ローマ帝国初代皇帝となったアウグストゥスは支配下の元老院を操作して、誕生月であった「第6の月」 (Sextilis) を自らの名 (Augustus) に改称させた。この際、Julius より日数が少ないことを嫌って Februarius から1日を移して31日とし、以後の各月を30日と31日が交互に来るよう変更を施した。このような流れから、7月と8月に「大の月」が続くこと、「8」の接頭辞OCTを持つ月が10月という様に意味が2か月ずれた4つの月(9・10・11・12月)、そして2月の日数が少なく閏の調整に使われるという現在に通じるそれぞれの「月」が定まった。 月ロームルス暦由来(日数)ヌマ暦由来(日数)ユリウス暦(日数)アウグストゥス改訂 (日数)英語フランス語スペイン語イタリア語ドイツ語1月 Januarius ヤーヌス(29) ←(31) ←(31) January (Jan.) janvier enero gennaio Januar 2月 Februarius フェブルウス(28) ←(29/閏30) ←(28/閏29) February (Feb.) février febrero febbraio Februar 3月 Martius マルス(31) ←(31) ←(31) ←(31) March (Mar.) mars marzo marzo März 4月 Aprilis アプリリス(30) ←(29) ←(30) ←(30) April (Apr.) avril abril aprile April 5月 Maius マイア(31) ←(31) ←(31) ←(31) May mai mayo maggio Mai 6月 Junius ユーノー(30) ←(29) ←(30) ←(30) June (Jun.) juin junio giugno Juni 7月 Quintilis 第5の月(31) ←(31) Julius(31) ←(31) July (Jul.) juillet julio luglio Juli 8月 Sextilis 第6の月(30) ←(29) ←(30) Augustus(31) August (Aug.) août agosto agosto August 9月 September 第7の月(30) ←(29) ←(31) ←(30) September (Sep.) septembre septiembre settembre September 10月 October 第8の月(31) ←(31) ←(30) ←(31) October (Oct.) octobre octubre ottobre Oktober 11月 November 第9の月(30) ←(29) ←(31) ←(30) November (Nov.) novembre noviembre novembre November 12月 December 第10の月(30) ←(29) ←(30) ←(31) December (Dec.) décembre diciembre dicembre Dezember なお、皇帝の名前を「月」の名称とする慣例はその後も行われ、皇帝ネロがAprilis(4月)を「ネロネウス」へ、皇帝ドミティアヌスが September (9月)を「ゲルマニクス」(カリグラとして有名な皇帝)、October(10月)を自らの名とする変名が行われた。しかしこれらは皇帝の死後元に戻された。一方、2代皇帝ティベリウスはSeptember(9月)をその名に変えようとする元老院の決定を「皇帝が13人になったらどうする」と覆したことが知られる。
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