モノコックシャーシ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 22:32 UTC 版)
「ロータス・25」の記事における「モノコックシャーシ」の解説
25のシャーシは従来の鋼管スペースフレーム構造に代わり、アルミボディを応力外皮とするモノコック構造を採用した。 航空機のモノコック構造をレーシングカーに応用した先例は、1915年のインディ500に出場したコーネリアン (Cornelian) や、1923年のヴォワザン (Voisin) などがある。1954年のジャガー・Dタイプはセンターモノコックをマグネシウムで製作し、1955年にはF1マシンのBRM・P25がセミモノコック構造を採用していた。しかし、いずれも主流となるほどの影響力を持たなかった。 25のモノコックはアルミシートを折り曲げて成型したD字断面の中空構造(チューブ)を左右に並べ、床板や前後の隔壁(バルクヘッド)と組み合わせてU字型のシャーシを構成する「ツインチューブ」方式だった。これを車体の下半分として、上半分にはアッパーカウルを被せた。シャーシは前面投影面積を減らすために細く低く設計され、ドライバーが浴槽につかるような姿勢で乗ることから、バスタブ式モノコックと呼ばれた。 コーリン・チャップマンは燃料消費によるマシンバランスの変化を嫌い、車体重心近くに燃料タンクを設置する方法を模索していた。コクピットの両脇に燃料タンクを置きたかったが、パイプフレームを避けるとタンクの構造が複雑になるという問題があった。そこで閃いたのが、スポーツカーのロータス・エランで成功したバックボーンフレームの応用だった。2本の中空構造(チューブ)を車体の梁にすれば、その内部にゴム製の燃料バッグを収納することができた。チャップマンはロータスの工場近くのレストランで昼食をとっている時にこのアイデアを思いつき、紙ナプキンにスケッチを描いて持ち帰り、その晩から製図にとりかかったという。 モノコックシャーシはシンプルな構造で軽量化することができ、なおかつ、荷重を面全体で受けとめるため捻れ剛性が高まるというメリットがあった。旧モデル21のスペースフレームは重量が37.3kg、捻れ剛性が97kg・m/度だったのに対し、25のモノコックの重量は29.5kg、捻れ剛性は138kg・m/度となった。エンジンを搭載した状態で計測すると、捻れ剛性は332kg・m/度という、当時としては驚くべき数値となった。堅牢なシャーシによってサスペンションを柔らかくすることができ、コーナリング時のロードホールディング能力が向上した。 クーパー式のミッドシップ・エンジンマウントとロータス式のバスタブモノコックの組み合わせはレーシングカーの設計に革命を起こし、その後のスタンダードとなった。ロータスはさらに43(1967年)において、エンジンをモノコックにボルト留めし、強度部材(ストレスメンバー)とする手法を導入した。
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