ホッジャの著書『中欧連邦:省察と回想』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/29 08:57 UTC 版)
「ドナウ連邦構想」の記事における「ホッジャの著書『中欧連邦:省察と回想』」の解説
四つのスラヴ諸国(ポーランド、チェコスロヴァキア、ブルガリア、ユーゴスラヴィア)および四つの非スラヴ諸国(オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、ギリシア)の計八カ国、総人口1億1千万の地域を想定する、非常に大規模な連邦構想であった。この構成は必ずしも固定的なものではなく、場合によってはアルバニアやトルコを含む可能性も示唆されていた。ヨーロッパ全体の連邦化に向けた第一歩になるとホッジャは述べており、ヨーロッパ統合のようなさらに大きな枠組みと両立するものと見なした。以下は、ホッジャの「中欧連邦」構想の概観である。 中欧連邦の元首は大統領であり、各国首相から構成される協議会(conference)および連邦議会において一年任期で選出される。連邦大統領は連邦首相および各大臣を任命するほか、連邦議会の決定に対して連邦政府あるいは各国議会より異議が出された場合には、最終決定を下す権限を有する。連邦政府には、財務・対外貿易・外務・国防・通信・交通・法務といった省庁や連邦最高裁判所が設置されるほか、構成国間の利害調整を行う機関として連邦協力省(Federal Ministry of Co-operation)が置かれ、各国民の利益を代弁する無任所大臣が任命される。連邦政府の職員については、各国が定められた割合の人数を提供する。連邦予算は各国政府によって徴収された連邦税によって賄われる。 連邦議会議員は各国議会より選出される。人口比で言えば、百万人あたり一名の議員となるが、一国あたりの議員が10名以上、15名以下となるよう調整される。連邦議会議員は各国議会の議員から構成され、各議員の任期は所属する各国議会の任期と同一とされる。連邦議会の公式言語は3分の2以上の多数決で決定されるが、各議員は15分間に限り、同時通訳付きで自らの言語を使って演説することができる。連邦政府内の公式言語も議会と同一とされるが、案件が個々の政府内で処理される場合には、当該国の公用語を使っても構わない。直接選挙で連邦議会議員を選出しない理由としては、各国の選挙制度が異なっており、八カ国同時に選挙を実施するのが事実上困難なこと、「民意」の急激な変化を防ぎつつ各国政府の政策との連続性を確保すること、といった点が挙げられる。 財務大臣に責任を有する機関として連邦中央銀行が設置され、各国郵貯銀行の五割がその傘下に置かれる。連邦構成国では単一通貨が導入され、関税同盟を基礎とする経済共同体が形成される。加盟国間の関税については遅くとも五年以内に順次撤廃されるが、農業など特定の分野については供給過剰を防止するために一定程度の計画経済が導入される。計画そのものについては加盟国間の合意を前提に実施されるが、連邦外部との貿易については連邦経済省の専権事項となる。
※この「ホッジャの著書『中欧連邦:省察と回想』」の解説は、「ドナウ連邦構想」の解説の一部です。
「ホッジャの著書『中欧連邦:省察と回想』」を含む「ドナウ連邦構想」の記事については、「ドナウ連邦構想」の概要を参照ください。
- ホッジャの著書『中欧連邦:省察と回想』のページへのリンク