ディスプレイ・システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 21:12 UTC 版)
「エバンス・アンド・サザランド」の記事における「ディスプレイ・システム」の解説
E&Sが最初に完成させた製品が、高級型ディスプレイ・システムLDS-1である。LDSは、“Line Drawing System”の頭文字を表している。LDS-1は、世界初の商用3DCGシステムとされる。LDS-1は白黒で、物体を線のみで表現し、物体の形状に沿ってCRT上に線を直接光らせて表示するランダム・スキャン方式のシステムだった。ユタ大学の研究成果をとり入れ、視点からみえない面や他の物体に隠された部分を消去する隠面消去法などを実装。多段階の輝度制御機能を備え、ランダム・スキャンでありながら擬似的に面を表現することもできた。更に完全版では、物体の回転、平行移動、拡大・縮小といった動きの処理をハードウェア上で高速に演算できる行列乗算器、表示の任意の部分を切り出して拡大するクリッピング・ディバイダーも備え、当時のCG水準におけるディスプレイ・システムの理想形と考えられるものであった。 LDS-1の3年後には、LDS-2が登場した。両者に本質的な違いはないが、LDS-1はメインフレーム(DEC PDP-10)で運用するシステムであったのに対し、LDS-2はミニコンピュータ(DEC PDP-11)で運用できるものになった。また、LDS-2では、画面全体に走査線を敷き詰めて、画面を小さな画素に分割し、各画素の光で画像を表現するラスター・スキャン方式を採用した。 LDS-1、LDS-2に続き、E&Sは高性能ディスプレイ・システムのPS(Picture System)シリーズを開発した。PSシリーズがLDSと異なる点は、画像処理装置から画像表示装置への転送に緩衝記憶装置(バッファ)を設けることで、高い更新レートを実現したところにある。PS-1は、これを初めて実用化したディスプレイ・システムであった。また、ホストコンピュータへの依存度を下げ、分業を容易にしたこともLDSより優位な点であった。 PSシリーズは、1973年のPS-1に始まりPS-2、更に1981年のPS 300へと発展する。PS 300は、最初期のCG用ワークステーションとも言えるもので、その後もPS 300番台で改良が続いた。 1990年代には、新たにCG用ワークステーションのESVシリーズを展開したが、ワークステーション市場においては後発で、にもかかわらず大型システムのような強みはない、と競争相手からは評された。
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