シノワズリと中国像の変容とは? わかりやすく解説

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シノワズリと中国像の変容

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 08:28 UTC 版)

中国学」の記事における「シノワズリと中国像の変容」の解説

17世紀から18世紀にかけて中国でのカトリック布教大きな役割果たしていたのはフランス出身イエズス会士であり、中国学中心最初に中国進出したポルトガル・スペイン・イタリアから次第フランスへ移りつつあった。彼らはルイ14世後援により中国(清)に派遣され清朝宮廷ではその高い学識技能により皇帝高官信任得て活躍した当時フランスではブーヴェ康煕帝伝』など、彼らの見聞報告をもとにした中国に関する出版物多数刊行され、この時期西欧におけるシノワズリ中国趣味)の流行一翼担った。また海外活動する修道士報告書集成した『イエズス会士書簡集』の編集者である修道士デュ・アルドは1735年4巻よりなる浩瀚な『シナ帝国全誌』を公刊した。当時西欧流布していた中国イメージは、実態からかなりかけ離れた開明的理想王国として描き出すものであった。このことはヨーロッパ絶対王政強く結びついていたカトリック宣教師たちが、専制君主たる中国皇帝西欧絶対君主なぞらえ理想化していた(例え康煕帝ルイ14世)ことと深く関係している。 以上のような中国理想化は、啓蒙思想期に継承された。この時期啓蒙思想的なシノローグ(シノロジスト / 中国学者)は、中国哲学倫理法制美学西洋紹介することを開始した。その仕事はしばしば非系統的かつ不完全なものであったにもかかわらずシノワズリ流行貢献し中国文化西洋文化比較する一連の論争刺激与えた。すなわち彼らはイエズス会士たちとは逆に自分たちの言論抑圧する絶対君主批判するため、中国の文化制度理想化したのである。この時期中国対し好意的な関心持っていたヨーロッパ知識人なかには元曲趙氏孤児』に影響を受け戯曲シナ孤児』を書いたヴォルテール有名なシナ事情』(Novissima Sinica)を書いたライプニッツもおり、彼らは中国における儒教科挙合理的あるいは反専制的なものとして評価していた。特にフランスではこの時期以降中国思想教育制度影響強く受け、教育において科挙に範をとってバカロレア大学入学資格試験)が制定され思想面では農家諸子百家の一学派)の思想ケネー重農主義インスピレーション与えたまた、清代における考証学文献批判方法ヨーロッパフィロロジー多大な影響与え19世紀以後フランスでは考証学取り入れた新たな文献批判方法を、他ならぬ古典学シノロジーへと適用していった。 しかし、18世紀後半になると、例えモンテスキュースミスのように、中国文明単なる理想化から脱し中国社会を「停滞専制」の社会として批判的にとらえる思想家出現した。彼らは中国社会について、停滞した共同体という基盤の上皇帝による専制政治がそびえ立ち、市民社会=資本主義経済へと発展していく内発的可能性欠いた社会であると考え、この傾向時代が下るにしたがってますます強くなった。以上のような「停滞論」的中国像は、西洋社会科学において古典派政治経済学経由してマルクスヴェーバーへと継承された。社会内部市民社会への発展していく可能性がない以上、中国資本主義化の契機もたらすのは外部からの衝撃西洋諸国による開国近代化)しかなく、停滞論は中国対す侵略戦争植民地支配正当化づける理論になっていく。こうした考え方は、20世紀至ってヴィットフォーゲルのように、反共産主義と結びついた極端な停滞論(オリエンタル・デスポティズム論)を生んでいる。

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