サケ科魚類の伝染性膵臓壊死症ウイルスとは? わかりやすく解説

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サケ科魚類の伝染性膵臓壊死症ウイルス [Infectious pancreatic necrosis virus (IPNV) of salmonids]

 このウイルス病最初アメリカで発見されその後アメリカ、カナダヨーロッパ(フランスデンマークその他)と日本広く分布していることが判り伝染性造血器壊死症同様にサケ科魚類特有の伝染病である。日本では1964年頃から長野静岡両県のニジマス養殖場発生しその後全国広がった考えられサケ・マス類かなりの被害もたらしてきた。日本ではニジマスがこの病気にかかりやすいが、アマゴヒメマスカワマスサケなど多くサケ科魚類感染する。この魚病発生1970年代入ってからやや停滞しているが、最近韓国でもサケ検出されているので、重要な魚病一つとして今後充分な注意促されている。
この魚病は親から伝染する場合が多いが、病からも伝染し(えら)や口から感染して、おもに稚魚(8週齢体重1g以下)が冒される成長につれて潜伏期長くなるが、稚魚では約1週間潜伏期のあとに特徴的な症状現れる急速に死亡する死亡率はしばし80%を超えることもあり、飼育一斉に斃死(へいし)することもあるという。急性では目立った症状はなく、回転して池に沈み、ときどき狂ったように動いて1-2時以内死亡するまた、病状がやや遅いでは体が黒くなり、眼球飛びだして腹が膨れたり腹部発赤がでたり、肛門から粘液状の便をたらすこともある。肝臓膵臓貧血し、消化管にはミルクのような粘液がでる。膵臓の細胞壊死(えし)して崩れ、その細胞中にウイルスによる封入体ができる。その他、肝臓胃腸腎臓各組織壊死などがみられる場合もある。
原因ウイルスビルナウイルス科属し大きさが約60nmの正二十面体で、2本鎖のRNAをもっている。15-25でよく増殖するが、20付近最適温である。ウイルス粒子有機溶媒では変性せず、ほとんどのウイルス株はpH4-10の範囲冷凍(-20)でも安定である。また、淡水海水中でもかなり長期間安定であるという。血清型多くあり、それによる魚類感受性耐性病原性あるいは増殖温度などがある程度違っている。
現在、有効な治療法はないので、汚染防止するなどの予防第一である。魚類伝染性造血器壊死症ウイルス(IHNV)の場合同様にウイルスをもっている親検定飼育施設用水器具など徹底的な消毒がとられている。ワクチンについては研究されているが、まだ実用化されていない。なお、このウイルスサケ科魚類以外にヨーロッパ・ウナギシラスからも分離されたが、分離されウイルスニジマス発病しウナギには発病しなかったという。また、静岡県下でヨーロッパから輸入して飼育されていたヨーロッパ・ウナギ別の日本ウナギからもこのウイルスとほとんど一致するウイルス分離された。このウイルスのウナギ対す病原性はかなり弱いという。




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