グィネヴィアの誘拐とは? わかりやすく解説

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グィネヴィアの誘拐

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:57 UTC 版)

グィネヴィア」の記事における「グィネヴィアの誘拐」の解説

グィネヴィアについて言及した最初のものは(おそらく11世紀作られた)『クルフッフとオルウェン』 (en:Culhwch and Olwen) というウェールズの話で、グィネヴィアアーサー王の妻として登場はするものの、それ以上のことは何も触れられていない1136年以前書かれカラドック・オヴ・ランカルヴァンの『ギルダス伝』では、グィネヴィアいかにして「夏の国 Aestiva Regio」(おそらくサマセットのことと思われる)の王メルワス (en:Maleagant) に誘拐されたか、さらに、グラストンベリー (英語: Glastonbury) でどのような囚われの生活を送ったかを描いている。この後物語は、1年かけてアーサー王グィネヴィア捜し出したこと、メルワスの要塞攻撃したこと、聖ギルダス調停平和的解決迎え夫婦再会できたことを語っている。これが「グィネヴィアの誘拐」を描いた最初のものであり、以降、この主題初期アーサー王伝説で最も一般的なエピソードとなったイタリアモデナ大聖堂のアーキボールト(飾り迫縁)のレリーフはこの話に関係したもののようで、その制作時期カラドックより前の時代思われる。そこには、Artus de Bretania(ブリタニアのアルテュス)とIsdernusが、MardocがWinlogeeを閉じこめた塔に近づく絵と、Carrado(おそらくカラドス)がGalvagin(ガウェイン)と戦っている絵、GalvaginやCheケイ)たち騎士が近づいている絵がある。Isdernusとは『クルフッフとオルウェン』にその名前が出てくるケルト英雄イデール(Yder)の化身で、ベルール は『トリスタン』の中で、忘れ去られそうになっていた伝説の中で、Isdernusはグィネヴィア恋人だったと言及し後の時代の『Roman de Yder(イデール物語)』では、その場面が再現されている。ウェールズ詩人ダヴィッズ・アプ・グィリム (en:Dafydd ap Gwilym) も、2つの詩の中で、グィネヴィアの誘拐のことをほのめかしている。さらに中世研究家ロジャー・シャーマン・ルーミス (en:Roger Sherman Loomis) は、この話は「彼女はケルトペルセポネー役割受け継いでいた」ことを表していると言っている。 ジェフリー・オヴ・モンマスの語る「グィネヴィアの誘拐」はこうである。グィネヴィアローマ帝国貴族血筋引いていて、誘拐したのは、コーンウォール公カドール (en:Cador) になっているアーサーグィネヴィアを 甥 のモルドレッド預けた目的も、(架空の)ローマ帝国皇帝代官ルキウス・ティベリウスと戦うべくヨーロッパに渡るためだったということになっている以後アーサー留守中にモルドレッドグィネヴィア誘惑し結婚し、王を宣言アーサーブリテン帰国モルドレッドとの宿命カムランの戦い、と続く。 クレティアン・ド・トロワが『荷車の騎士ランスロ』の中で語る、「グィネヴィアの誘拐」の首謀者はマリアガンス(Maleagant。おそらくメルワスからの派生語だと思われる)で、誘拐場面のほとんどはカラドック焼き直しである。しかし、グィネヴィア救出するのはアーサーではなくランスロット変わっている2人不倫扱ったのは、この作品(詩)が最初で、クレティアン・ド・トロワがそれを創造したのは、グィネヴィアに夫以外の騎士の愛(貴婦人崇拝)を与えたかったからだと思われるモルドレッドでは救出劇上の出番があるのでその役は務まらなかった。イデールは完全に忘れ去られてしまった。 ドイツの『Diu Crône』での誘拐者は、グィネヴィア兄弟のGotegrimである。正当な夫と主張するGasozeinとの結婚拒んだことで妹を殺害しようとした。ウルリッヒ・フォン・ツァツィクホーフェン (en:Ulrich von Zatzikhoven) の『ランツェレット』 (en:Lanzelet) では、Tangled Woodの王Valerinが、学者たちがグィネヴィア後々ブリテン繁栄支配約束していると気付いたことに起因する権力闘争結果グィネヴィア結婚する権利主張し、彼女を誘拐して自分の城に連れて行く。アーサーたちはいったんグィネヴィア救出するが、Valerinは再びグィネヴィア誘拐したくさんの取り囲まれ別の城で彼女を魔法眠らせる。その城からグィネヴィア救い出すことが出来るのは、凄腕魔法使いMalducだけだった求婚者は違えど、これらと類似の物語のすべては、「ハーデースによるペルセポネー誘拐以降何度も物語現れるモチーフ1つ見られ、たとえば、(アイルランド神話の)冥界の王メディール (en:Midir) に地上から誘拐され過去失った冥界花嫁エーディン (英語: Étaín) に、グィネヴィアはよく似ている。(ちなみに、この寓意は、不倫の罪で火あぶりにされかかったグィネヴィア救出するランスロット場面にもあてはまる)。

※この「グィネヴィアの誘拐」の解説は、「グィネヴィア」の解説の一部です。
「グィネヴィアの誘拐」を含む「グィネヴィア」の記事については、「グィネヴィア」の概要を参照ください。

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