クラブの売却と新時代へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 05:03 UTC 版)
「ASローマ」の記事における「クラブの売却と新時代へ」の解説
ローマのオーナーであるセンシ家は長年資金難に悩まされており、2010年7月には経営権がイタリア最大の銀行グループウニクレーディトの管理下におかれるほどであった。2011年3月、米国大リーグ、ボストン・レッドソックスのパートナーであるイタリア系アメリカ人、トーマス・R・ディベネデト(英語版)がオーナーの地位に就いた。パレルモでディレクターを務めたワルテル・サバティーニをスポーツディレクターとして招聘し、FCバルセロナB監督であったルイス・エンリケを招聘した。そして、2011年の夏の市場では大量補強を行い、ボージャン・クルキッチやミラレム・ピャニッチ、ホセ・アンヘル、フェルナンド・ガゴ、エリク・ラメラ、パブロ・オズヴァルドといった若手選手を中心としつつ、マールテン・ステケレンブルフやガブリエル・エインセといった選手を獲得した。しかし、結果は7位という欧州カップ戦に出られない成績に終わり、2012年5月、ルイス・エンリケ監督、オーナーのディベネデト氏は辞意を表明した。 後任にオーナーは前任者と同じイタリア系アメリカ人のジェームズ・パロッタに、監督はズデネク・ゼーマンの就任を発表。しかしリーグ戦での不振が要因でゼーマンは2013年2月2日に解任された。後任には長くローマでテクニカルスタッフを担当しているアウレリオ・アンドレアッツォーリが暫定的に指揮を執ることになった。2013年6月12日、リールからリュディ・ガルシアの招聘。夏の移籍市場では、マイコン、アデム・リャイッチ、ジェルヴィーニョ、ラジャ・ナインゴラン、ケヴィン・ストロートマン、メディ・ベナティアなど実力者を多数獲得。2013-14シーズンは、セリエA記録となる開幕10連勝を達成、その後もインテルなどのライバルチームに勝利を収め、17節カターニャ戦まで無敗を維持した。 2014-15シーズンは、ベナティアがバイエルン・ミュンヘンに移籍したものの、コスタス・マノラス、アシュリー・コール、ウルビー・エマヌエルソン、フアン・マヌエル・イトゥルベ、セイドゥ・ケイタ、ダヴィデ・アストーリらを獲得し冬の移籍市場では、ビクトル・イバルボ、セイドゥ・ドゥンビア、ニコラス・スポッリを獲得。UEFAチャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティに勝ちきれずグループステージ敗退となった。UEFAヨーロッパリーグではベスト16でACFフィオレンティーナに敗れた。リーグ戦ではSSラツィオ相手にトッティが2ゴールを挙げる活躍を見せた。 2015-16シーズンはエディン・ジェコ、モハメド・サラー、ヴォイチェフ・シュチェスニー、アントニオ・リュディガー、イアゴ・ファルケ、リュカ・ディニュらを獲得し、冬の移籍市場では、ディエゴ・ペロッティ、ステファン・エル・シャーラウィらを獲得した。チャンピオンズリーグでは、決勝トーナメントに進んだものの、ベスト16でレアル・マドリードに2戦合計0-4で敗れた。リーグ戦では3位に終わった。 2016-17シーズンはミラレム・ピャニッチがライバルであるユヴェントスに移籍し他にもアントニオ・サナブリアやリャイッチ、ファルケらも売却した。一方でエル・シャーラウィ、リュディガー、サラーを完全移籍で獲得し、トーマス・フェルマーレン、フアン、ブルーノ・ペレス、フェデリコ・ファシオらも獲得し、冬にもクレマン・グルニエを獲得。チャンピオンズリーグではプレーオフでFCポルトに敗れ、ヨーロッパリーグではオリンピック・リヨンに敗れた。リーグ戦では、優勝したユヴェントスFCと勝ち点差4の勝ち点87で2位となり、クラブ史上最高の勝ち点を記録した。シーズン終了後、ルチアーノ・スパレッティ監督が退任した。さらに、クラブのキャプテンを長年務めてきたフランチェスコ・トッティが現役引退した。 エウゼビオ・ディ・フランチェスコが新監督に就任した2017-18シーズンはFFPの規制もあり、資金捻出のためリュディガーをチェルシーFCに、サラーをリヴァプールFCに、レアンドロ・パレデスをゼニト・サンクトペテルブルクに売却した。一方でフェイエノールトからリック・カルスドルプ、USサッスオーロ・カルチョからロレンツォ・ペレグリーニとグレゴワール・デフレルを、PSVアイントホーフェンからエクトル・モレノを、オリンピック・リヨンからマキシム・ゴナロン、マンチェスター・シティからアレクサンダル・コラロヴ、イスタンブール・バシャクシェヒルFKからジェンギズ・ウンデルらを獲得した。2018年4月23日、カタール航空とメインスポンサー契約を締結した。リーグ戦では、インテルやラツィオとの激しい3位争いを制し、来季のチャンピオンズリーグ出場権を獲得した。チャンピオンズリーグでは、チェルシーFCやアトレティコ・マドリードと同じグループとなったが、グループ首位で突破した。FCバルセロナとの準々決勝では、1stレグは2つのオウンゴールを献上し1-4で敗れたが、ホームでの2ndレグでは3-0で勝利し、逆転で突破し34年ぶりに準決勝進出した。この逆転劇はオリンピコの奇跡と呼ばれている。準決勝ではリヴァプール相手に2戦合計スコアで僅かに及ばず決勝進出はならなかった。 2018-19シーズンは、アリソン・ベッカーをゴールキーパーとしては史上最高額(当時)でリヴァプールFCに売却したほか、ラジャ・ナインゴランをインテル・ミラノに、ケヴィン・ストロートマンをオリンピック・マルセイユに売却した。一方でパリ・サンジェルマンFCからハビエル・パストーレ、セビージャFCからスティーヴン・エンゾンジ、アヤックス・アムステルダムからジャスティン・クライファート、アタランタBCからブライアン・クリスタンテ、FCコペンハーゲンからロビン・オルセン、インテル・ミラノからニコロ・ザニオーロらを獲得した。主力選手が退団し、新加入の選手も期待に応えられず、不安定なシーズンとなり、3月7日にディ・フランチェスコ監督が解任され、同時にモンチSDとも契約を解除した。クラウディオ・ラニエリが後任の監督としてシーズン終了まで指揮を執った。リーグ戦では6位となり、来季のチャンピオンズリーグ出場権を逃した。シーズン終了後、ラニエリが退任し、FCシャフタール・ドネツクよりパウロ・フォンセカを招聘した。また、ローマで18年間プレーしてきたダニエレ・デ・ロッシが退団した。 2019-20シーズンは、コスタス・マノラスをSSCナポリに、エル・シャーラウィを上海申花に、ルカ・ペッレグリーニをユヴェントスに、パトリック・シックをRBライプツィヒに、スティーヴン・エンゾンジをガラタサライに、ロビン・オルセンをカリアリに放出した。一方で、SSCナポリからアマドゥ・ディアワラ、ユヴェントスからレオナルド・スピナッツォーラ、レアル・ベティスからパウ・ロペス、アタランタBCからジャンルカ・マンチーニ、フィオレンティーナからジョルダン・ヴェレトゥ、マンチェスター・ユナイテッドからクリス・スモーリング、アーセナルからヘンリク・ムヒタリアンらを獲得した。リーグ戦は5位で、チャンピオンズリーグの出場権を逃したものの、ヨーロッパリーグの出場権は獲得した。コッパ・イタリアでは準々決勝でユヴェントスに敗れた。UEFAヨーロッパリーグでは、グループステージを突破し決勝トーナメントに進出。ラウンド32でKAAヘントを2戦合計2-1で破ったが、新型コロナウイルスの影響で一発勝負となったラウンド16のセビージャFC戦に敗れて敗退した。 2019年秋ごろから、アメリカでトヨタ自動車の販売代理店を経営するダン・フリードキン(英語版)へのクラブの売却交渉が行われ、セリエA史上最高額となる7億8000万ユーロでの売却されるとも報じられたが、2020年に入り新型コロナウイルスの世界的流行もあり、交渉は難航した。しかし、8月6日に総額5億9000万ユーロで売却され、2020年8月末までに取引が完了することが発表された。 2021年10月7日、ルノー・日産・三菱アライアンス全部品担当RVPやピレリ北米部門CEOなどを歴任したピエトロ・ベラルディがクラブのCEOに就任した。2021-22シーズン、ジョゼ・モウリーニョが監督に就任、タミー・アブラハムを獲得した 。UEFAヨーロッパカンファレンスリーグでは決勝でフェイエノールトを破り優勝を果たし、この大会の初代王者となった。
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