キリストに代わるXの用例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 03:22 UTC 版)
「Xmas」の記事における「キリストに代わるXの用例」の解説
クリスマスをXmasと略すことは、この祭日を祝うキリスト教徒にとっては不満の種であった。1937年にジョージ・ワシントン・ロブネットが共同創設した保守的なキリスト教団体であるアメリカ教会同盟は、1957年12月、会報であるニューズ&ビューズに「X=未知量」と題した記事を掲載し、Xmasの使用を攻撃した。後にこの論難を聖職者であり右派の政治家でもあったジェラルド・スミスが取り上げ、1966年12月に、Xmasは「キリストの名を省略する冒涜的な綴りで、Xは未知量の象徴である」と主張した。さらにスミスは、サンタクロースは新約聖書におけるイエスの記述を隠匿するためにユダヤ人が持ち出したものであり、国連が「キリストの名を追放した」のも「世界中のユダヤ民族」の依頼によるものだという主張をおこなった。とはいえ、X(実際にはギリシア文字のキー)がキリストの略記であり、おそらくは十字架の象徴でもあるということは、歴史的にも十分に証明されている。この略記は正教会の宗教画であるイコンにもよくみられる。 デニス・ブラッハーは、キリスト教徒向けのウエブサイトに「いつの時代にも、キリストやキリスト教をある意味で冒涜するものだという理由で、Xmasという略記することを声を大にしてとがめる人々たちがいる」という文章を投稿した。例えばその代表的な例として、伝道師のフランクリン・グラハムやCNNのジャーナリスト、ローランド・マーティンなどが挙げられる。グラハムは、インタビューで次のような発言をしている。 "我々クリスチャンにとって、救世主イエスの誕生日は最も神聖な祭日です。クリスマスからキリストを除こうとする人にとってもそれは変わらないらしい。そういう人たちはおめでたくも、メリー・Xマスなどといっている。イエスをなくしてしまおう、ということです。実際問題これは、イエス・キリストの名をめぐる戦争だと私は思いますよ" 同じように、ローランド・マーティンもキリスト教徒にとっての祝祭が商業化・世俗化していくことへの懸念とXmasという略記の広がりを重ねあわせている。ブラッハーは、クリスマスをXmasと略すことを嫌う人間は、さまざまな理由から「キリスト」の代わりにXを用いてきた長いキリスト教の歴史にうといのだろうと断じている。 キリストという言葉やその複合語であるクリスマスは、英語圏においては少なくとも1000年以上ものあいだ適宜省略して綴られており、現代においてXmasが一般的な表記になる以前から長い歴史がある。キリストが XρあるいはXtと書かれることもふつうのことで、アングロサクソン年代記にあたればその用例は1021年まで遡る。この場合のXとPは、ギリシャ文字のキーとローを大文字にした形が、ギリシャ語でキリストを意味するΧριστοςの略記として使われていたことに由来する。☧と描かれる、ギリシア文字2つを組み合わせたラバルム(紋章)は、カトリックにおいてもプロテスタントにおいても、正教会においてもキリストを表現するシンボルとして一般的に用いられている。 オックスフォード英語辞典とその補遺によれば、キリストを意味するXやXρの最初期の例として1485年の文章が引用されている。Xtian、あるいは数は少ないがXpiannなどもキリスト教徒を表わす表現である。オックスフォード英語辞典は、キリスト教(Christianity)を意味するXtianityについても1634年を初出としている。メリアム=ウェブスター英語辞典によれば、こうした用法が最もよくみつかるのは「ギリシャ語の知識を持った教養あるイギリス人」からである。 古代のキリスト教美術においては、XやXρは、キリストの名の略記であった。新約聖書の写本やイコン画においても、XはΧριστοςの略として用いられている(ギリシア文字における最初と最後の配列をあわせたXCも同様であり、この場合のCは三日月形のシグマである)。
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