イスラム法の重視・実行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 00:00 UTC 版)
バグダーディーはカリフ就任演説で「私はあなた方から支配権を担った。私はあなた方の中で最も優れているわけではない。私が正しい時には私を支援してくれ。私が悪かったなら私を正してくれ。」「あなた方がアッラーとアッラーの使徒に従順であったように、私に従順であれ。私がアッラーとアッラーの使徒に逆らうような行為や態度を示すのなら、あなた方が私に従順である必要はない。」と述べ、バグダーディーがシャリーアにしたがって行動する限り、支持してくれるように呼びかけており、シャリーア(イスラム法)の重視を明言している。 ISIL側の主張によると、シャリーアの下に活動をしているとしている。『週刊新潮』によると、ISILは自らに都合よく解釈したシャリーア(イスラム法)を住人にのみ厳格に適用しており、イスラム教を悪用した恐怖政治で支配地域の住民らを支配している。なお、自分たちでは、イスラムの教えに反する行為(焼殺)などを行っており、自分たちに対しては厳格に運用しておらず、どちらかと言えば住民を抑圧・弾圧したり虐殺行為を正当化する為にシャリーアの文言を利用している。イランの主要紙『ジャーメ・ジャム』によると、住民に対する厳格な戒律の強要は自らの道徳的逸脱の隠蔽のために行われているものであるという。同紙はISILが「国民」に戒律に従った服装をさせるために女性に衣類の無償配布を開始したことも報じている。2015年8月27日までには、若者を中心に広まっている男性の細身の服装を「敵の慣習」として禁止した。また、同性愛はシャリーアに反することから、同性愛者を少なくとも30人以上処刑したとされている。ISILは、実効支配地域において、従来の教育制度を大きく改めることを表明している。歴史や哲学、公民、体育、音楽、図工などの世俗的な学校教育を全面的に禁止し、シャリーアの極端な解釈に基づく過激な思想教育を児童に教えている。教師にも、シャリーアの講座を受けることを義務づけている。また、学費を無償としていたアサド政権と異なり、学費として1000シリア・ポンドを徴収する。 2014年、ISILはコーランに従って、奴隷制度の復活・運用を国際社会に公表した。ISILは、奴隷の取引額のガイドラインを発表しており、これに違反した者は処刑される。ガイドラインによれば、外国の出身でない限り、購入できる奴隷の数は3人までで、40歳から50歳のヤジディ教徒かキリスト教徒の女性は27ポンド(約5千円)、10歳から20歳の少女は80ポンド(約1万4千円)、1歳から9歳の女児は100ポンド(約1万8千円)以上で売られ、年齢が若くなるにつれ奴隷の価格も増すようになっている。 イラク北部モースルの住民によると、ISIL統治期では、飲酒・喫煙、音楽・絵画・映画、カメラと携帯電話の所持、結婚披露宴と葬儀、同性愛、華美な服の展示が禁止されていた。学校は男女別で、女性はニカブ(目出しベール)着用と外出時の近親男性同伴が義務付けられ、美容院は閉鎖された。
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