アパルトヘイトと人種問題について
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「曽野綾子」の記事における「アパルトヘイトと人種問題について」の解説
2015年2月11日 - 産経新聞掲載のコラム「透明な歳月の光」で、移民の人種を基準として居住区を分離した方が好ましいと発言して問題となった。曽野はこのコラムで、「労働力不足と移民「適度な距離」保ち受け入れを」と題し、「南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。」「人間は事業も建築も研究も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」と主張した。さらに、「高齢者の面倒を見るのに、ある程度の日本語ができなければならないとか、衛生上の知識がなければならないとかいうことは全くない」「『おばあちゃん、これ食べるか?』という程度の日本語なら、語学の訓練など全く受けていない外国人の娘さんでも、2、3日で覚えられる。日本に出稼ぎに来たい、という近隣国の若い女性たちに来てもらって、介護の分野の困難を緩和することだ」などと発言した。 曽野のコラムに対し、モハウ・ペコ南アフリカ駐日大使およびNPO法人アフリカ日本協議会は、アパルトヘイト政策を容認する内容だとして、曽野および産経新聞社常務取締役へ抗議文を送った。さらに、日本国内のアフリカ研究者の学会である日本アフリカ学会の歴代会長ら約80人も、コラムの撤回や関係者への謝罪などを求め、連名の要望書を同紙に送った。「ロイター」や「ウォール・ストリート・ジャーナル」も批判的に報じた。 しかし、こうした抗議に対し曽野は「差別ではなく区別」「撤回するつもりない」という姿勢を見せた。また、介護の現場が3Kで低賃金な労働環境であるのに、人手不足を経済連携協定や技能実習制度といった外国人労働者で埋めようとする考え方、日本がこれから先も出稼ぎ先として魅力的な国であるという認識、介護職は2、3日で覚えられる語学力で問題ないとする認識(実際には技能実習制度見直しに関する法務省・厚生労働省合同有識者懇談会、外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会の報告書で、日本語能力試験で入国時点でN4、実習2年目に移る際に課す試験でN3程度を目指すとされた)、専門知識の無い低熟練状態でも問題ないとする認識の低さについての指摘もされた。その後の言説としては、曽野がブログで「もし記事に誤りがあるなら、私はそれを正します。私も人間ですから、過ちを犯します。しかしこの記事について、誤りがあるとは私は思いません」と書いたことがウォール・ストリート・ジャーナルで報じられた。 曽野は『新潮45』2015年4月号の連載コラムで「第四十七回 『たかが』の精神」の題で、たかが一作家の自分の考えに対して「肩書一つ正確には書けなかった新聞や通信社が、こうやってヘイト・スピーチを繰り返し、そこに覆面のツイッターが群衆として加わって圧力をかけ、どれだけの人数か知らないが、無記名という卑怯さを利用して、自分たちは人道主義者、曽野綾子は人種差別主義者、というレッテルを貼ることに無駄な時間を費やしている、その仕組みを今度初めて見せてもらって大変ためになった。私は覆面でものを言う人とは無関係でいるくらいの自由はあるだろう。」と述べている。
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