アドレノクロムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ビジネス > 新語時事用語辞典 > アドレノクロムの意味・解説 

アドレノクロム

英語:adrenochrome

アドレノクロムとは

アドレノクロムとは、副腎から分泌されるアドレナリンをカテコール酸化酵素または酸化銀酸化し化合物のこと。化学式C9H9NO3。アドレノクロムは不安定な化合物で、pH7.3、37℃という人体組成極めて近い状況下では顕著な分解見られる乾燥した結晶状態では赤色赤紫色をしている。アドレノクロムの誘導体であるアドレノクロムモノアミノグアニジン血管強化薬などに用いられている。

アドレノクロムとアドレナリン

アドレノクロムの前駆体であるアドレナリンは、緊急時など交感神経興奮した状態において副腎髄質副腎一部)から分泌されるホルモンで、気管支の拡張皮膚粘膜といった末梢血管収縮血圧の上昇、心拍数増加などの作用がある。アドレナリンは1895年ポーランド生理学者であるナポレオン・サイブルスキーによって発見された。さらに1900年には、日本人科学者である高峰譲吉と、助手の上中啓三が牛の副腎からアドレナリンの抽出結晶化成功しその後、アドレナリンの製造開発本格的に進められた。

アドレノクロムには出血時間を短縮させる効果がある

アドレナリンの酸化化合物であるアドレノクロムに注目集まったのは、アドレノクロムに出血時間短縮させる効果認められたためである。もともと医療用局所麻酔薬には、血管収縮剤としてアドレナリンが添加されている。これは、アドレナリンの末梢血管収縮させる作用応用したもので、局所麻酔薬投与した部分血管収縮させて麻酔薬持続させる効果がある。その際に、局所的な止血作用起こっているのが確認されたのだが、これはアドレナリンが体内酸化してできたアドレノクロムに止血効果があるためではないかといわれた。研究の結果、アドレノクロムには止血効果認められ血管強化薬として使用されるようになった

アドレノクロムモノアミノグアニジンの開発

アドレノクロムに止血効果があることが認められたものの、アドレノクロムは自然状態では極めて不安定な化合物だったため、血管強化薬としての応用難しかった。そこで、より安定性の高いアドレノクロムモノアミノグアニジン開発され血管強化薬として使用されるようになったアドレノクロムモノアミノグアニジン作用機序については不明な点が多いものの、ヒト由来液状フィブリン接着剤といった血液製剤のように血液凝固させるではなく血管透過性抑制して止血作用を示すものと考えられている。またアドレノクロムと同様の効果を持つものとしてカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムがあり、こちらも血管強化薬として用いられている。

一方、アドレノクロムは、19501960年代カナダ生化学者であるエイブラハム・ホッファーが統合失調症の原因であると主張したため、世間注目集めたこともある。この説は「アドレノクロム仮説」といわれ、ビタミンミネラルの不足によりアドレノクロムが正常に代謝されなくなった結果体内のアドレノクロムが過剰になり統合失調症発症する可能性がある、とされた。このため統合失調症患者にメガビタミン療法という、ビタミンCナイアシンビタミンB3一種)の大量療法が行われたこともある。しかし、この治療その後追加研究によって効果確認できず、それによりアドレノクロム仮説徐々に衰退していった。

また、このアドレノクロム仮説では、過剰になったアドレノクロムが幻覚作用思考障害引き起こす原因であるとされた。このため映画やテレビでは、強い幻覚作用があるドラッグのように扱われたこともある。インターネットにおいても、アドレノクロムが若返りのように書かれ記事散見されるが、そのような効果があることは確認されていない。なお、アドレノクロムはさまざまな実験用いられることもあり、日本では富士フィルム和光株式会社研究用試薬として販売している。


アドレノクロム

分子式C9H9NO3
その他の名称アドレノクロム、AdrenochromeUSAF UCTL-7、Adraxone、アドラキソン、3-Hydroxy-1-methyl-5,6-indolinedione、5,6-Dihydro-3-hydroxy-1-methyl-5,6-indolinedione、アドレノクローム、1-Methyl-3-hydroxyindoline-5,6-dione
体系名:1-メチル-2,3-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-1H-インドール-5,6-ジオン、3-ヒドロキシ-1-メチル-5,6-インドリンジオン、5,6-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-1-メチル-5,6-インドリンジオン、1-メチル-3-ヒドロキシインドリン-5,6-ジオン


アドレノクロム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 23:08 UTC 版)

アドレノクロム英語: Adrenochrome)は、アドレナリン(エピネフリン)酸化によって生成される分子式C9H9NO3化合物誘導体のカルバゾクロムは止血薬として用いられる。化学名は類似しているがクロムとは無関係である。


  1. ^ a b c 扶桑薬品工業株式会社(2011). 『医薬品インタビューフォーム カルバゾクロムスルホン酸Na静注25mg、50mg、100mg「フソー」』(pdf版
  2. ^ MacCarthy, Chim, Ind. Paris 55,435(1946)
  3. ^ a b TERADA, Akira (1960). “Styrene Derivatives. VI-VII. VI. Adrenochrome by the Oxidation of α-Hydroxy-β-methylamino-p-hydroxy-ethylbenzene with Tyrosinase”. Nippon kagaku zassi 81 (5): 757–759. doi:10.1246/nikkashi1948.81.5_757. ISSN 0369-5387. https://doi.org/10.1246/nikkashi1948.81.5_757. 
  4. ^ オーソモレキュラー医学会|医学ニュース”. isom-japan.org. 2020年11月22日閲覧。
  5. ^ “The adrenochrome hypothesis of schizophrenia revisited”. Neurotoxicity Research 4 (2): 147–50. (March 2002). doi:10.1080/10298420290015827. PMID 12829415. 
  6. ^ “Schizophrenia; a new approach. II. Result of a year's research”. The Journal of Mental Science 100 (418): 29–45. (January 1954). doi:10.1192/bjp.100.418.29. PMID 13152519. 
  7. ^ “The Adrenochrome Hypothesis and Psychiatry”. The Journal of Orthomolecular Medicine 14 (1): 49–62. (1999). http://www.orthomolecular.org/library/jom/1999/articles/1999-v14n01-p049.shtml. 
  8. ^ The Hallucinogens. Academic Press. (1967). ISBN 978-1-4832-6169-0 
  9. ^ “Schizophrenia: An Evolutionary Defense Against Severe Stress”. Journal of Orthomolecular Medicine 9 (4): 205–221. (1994). http://orthomolecular.org/library/jom/1994/pdf/1994-v09n04-p205.pdf. 
  10. ^ Lipton M (1973). Task Force Report on Megavitamin and Orthomolecular Therapy in Psychiatry. American Psychiatric Association. 
  11. ^ “Niacin in the Long-Term Treatment of Schizophrenia”. Archives of General Psychiatry 28 (3): 308–15. (1973). doi:10.1001/archpsyc.1973.01750330010002. PMID 4569673. http://archpsyc.ama-assn.org/cgi/content/abstract/28/3/308. 
  12. ^ “Nicotinic Acid in the Treatment of Schizophrenia: A Summary Report”. Schizophrenia Bulletin 1 (3): 5–7. (1970). doi:10.1093/schbul/1.3.5. http://schizophreniabulletin.oxfordjournals.org/content/1/3/5.full.pdf+html. 
  13. ^ “Megavitamin and dietary treatment in schizophrenia: a randomised, controlled trial”. Australian and New Zealand Journal of Psychiatry 33 (1): 84–8. (1999). doi:10.1046/j.1440-1614.1999.00527.x. PMID 10197889. 
  14. ^ John Smythies (2004). Smythies, John. ed. Disorders of Synaptic Plasticity and Schizophrenia (1st ed.). Elsevier Academic Press. pp. xv. ISBN 9780123668608 
  15. ^ 石山芳夫, 深田良雄 (9 1956). “新止血剤アドレノクロムモノセミカルバゾン(アドナ)による機能性出血の治験”. 臨床婦人科産科 (医学書院) 10 (9): 641-642. 
  16. ^ 54-06-8・D,L-アドレノクロム・D,L-Adrenochrome【詳細情報】|試薬ホームページ|試薬-富士フイルム和光純薬”. 試薬ホームページ|試薬-富士フイルム和光純薬. 2020年5月25日閲覧。
  17. ^ Compound summary for adrenochrome”. National Center for Biotechnology Information, PubChem Database.. 2020年1月22日閲覧。
  18. ^ GROOVIE GHOULIES - Appetite For Adrenochrome (US Ltd. RE Pink Vinyl LP+Poster)”. Time Bomb Records. 2021年1月10日閲覧。
  19. ^ Inspector Lewis Series Synopsis”. 2008年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月25日閲覧。
  20. ^ Trevor Simms (2016年8月14日). “Adrenochrome movie trailer”. Youtube. 2020年5月25日閲覧。 Retrieved 26 March 2020.
  21. ^ Fear and adrenochrome” (英語). Spectator USA (2020年5月4日). 2020年5月23日閲覧。
  22. ^ How Facebook connects ‘pizzagate’ conspiracy theorists” (英語). NBC News. 2020年5月23日閲覧。


「アドレノクロム」の続きの解説一覧

「アドレノクロム」の例文・使い方・用例・文例

  • アドレノクロムという薬剤
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アドレノクロム」の関連用語

アドレノクロムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アドレノクロムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2024 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアドレノクロム (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS