棚からぼたもち
別表記:棚から牡丹餅、棚からぼた餅、棚からボタモチ
「棚からぼたもち」とは、「思いがけず幸運に恵まれること」「予期しなかった嬉しい状況が舞い込むこと」を意味する慣用表現である。特に「そうなるよう努力していたわけでもなく(嬉しい誤算として)利益や恩恵が得られる」というニュアンスを含む表現である。
「棚からぼたもち」は、「棚ぼた」ともいう略されることも多い。
「棚からぼたもち」の語源・由来
「棚からぼたもち」とは、「棚の下で口を開けていたらたまたま、棚の上に置いてあったボタモチが落ちてきて、まんまと頂戴した」という筋書きを念頭に置いた慣用表現である。ぼたもち(牡丹餅)は、かつての日本の大衆文化における代表的な高級スイーツのひとつである。砂糖にモチ米といった高級な食材が使われ、春彼岸や忌明けなどの特別な機会に作られた。
ぼたもちが大衆文化に浸透したのは江戸時代頃と考えられており(→ 参照)、ということは「棚からぼたもち」という表現もその頃に成立したと考えられる。
「棚からぼたもち」の類語・類似表現
「棚からぼたもち」に類似した慣用表現としては「もっけの幸い」「鴨葱」「瓢箪から駒」などが挙げられる。いずれも「思いがけない幸運」を意味する言い回しである。もっけの幸い
「もっけの幸い」の「もっけ(勿怪 / 物怪)」とは、「不思議なこと、思いがけないこと」という意味の言葉である。「もっけ」は「もののけ(物の怪)」が変化して定着した言葉とされる。「不思議なこと」の他に「不吉なこと」という意味もある。「もっけの幸い」は、どちらかといえば「思いがけない幸運で不都合を避れた」という状況を指す表現として用いられやすい。「棚ぼた」は「思いがけない幸運で利益を得た」というニュアンスの方が色濃い。
鴨葱
「鴨葱(かもねぎ)」は「鴨が葱を背負って来る」の略であり、「たいへん好都合」で「お誂え向き」な状況のたとえである。鴨肉とネギは非常に相性が良く、いっしょに鴨鍋にすると非常にうまい。あるいは、鴨肉とネギさえあれば鴨鍋ができる。普通「鴨が葱を背負って来る」ような状況は普通は期待しない。「鴨葱」は、どちらかといえば「行動する前にお膳立てがうまく整った」という状況を指す表現として用いられやすい。「棚ぼた」は(特に行動したわけではないが)「すでに結果が出ている」状況を指す意味合いが強い。
瓢箪から駒
「瓢箪から駒」は「瓢箪から駒が出る」の略であり、「思いもよらない所から意外なものが現れる」「冗談のつもりで言ったことが実現してしまう」という状況のたとえである。駒は小馬のことであり、いくら小さいとはいえ、瓢箪に収まるわけがない。そんな荒唐無稽と思えることが実現したと驚嘆を込めて表現する言い回しである。「瓢箪から駒」は、どちらかといえば「非現実的すぎて期待すらしなかった」「とうてい信じがたい」というニュアンスが強い。「意外性」の表現である。
「瓢箪から駒」も嬉しいことが実現した状況を指す表現であり、ネガティブな事が起きたという意味では基本的に使われない。
「棚からぼたもち」の対義語
「棚からぼたもち」の対義語は、対比する部分によって違ってくる。骨折り損のくたびれもうけ
「棚からぼたもち」を「何もしなかったがおいしい思いをした」と捉えるならば、その反対の「行動を起こしたのに何も得られなかった」という意味の表現としては「骨折り損のくたびれもうけ」が挙げられる。「こちらから連絡を試みても相手から何の反応も返ってこない」という意味では「梨の礫(なしのつぶて)」という言い方が挙げられる。
虎穴に入らずんば虎子を得ず
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は、「おいしい思いをするには相応の危険をおかさなければならない」という意味の故事成語である。何もせずに得をしたという意味の「棚ぼた」と対比できる。「相応の苦労や善行を行えば相応の報いが得られる」という意味では「善因善果」という仏語も挙げられる。
青天の霹靂
「青天の霹靂」は「突然に生じた予想外の衝撃的なできごと」を意味する故事成語である。好ましくない事柄について用いることが多い。その意味で、予想外に好ましいことが生じる状況を指す「棚ぼた」の対極に位置づけられる。「棚からぼたもち(舞祭組の楽曲)」とは
曲名としての「棚からぼたもち」は、男性アイドルグループ・Kis-My-Ft2(通称キスマイ)から派生したユニット「舞祭組(ブサイク)」が2013年に発表したデビュー曲のタイトルである。同事務所の先輩アイドルであったSMAPの中居正広がプロデューサーを努め、作詞・作曲も手掛けたことでも話題を呼んだ。「棚からぼたもち」のシングルCDはオリコン週間ランキングで最高2位につける売上を記録した。棚(たな)から牡丹餅(ぼたもち)
たなからぼたもち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 01:10 UTC 版)
「けん玉の技の一覧」の記事における「たなからぼたもち」の解説
机の端などに玉を置く。けんを持ち、糸で引いて落下してきた玉を大皿で受ける。
※この「たなからぼたもち」の解説は、「けん玉の技の一覧」の解説の一部です。
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