その後の施設の動向
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返上された市側には運営の余力はなかったため三施設とも直ちに閉鎖となった。2009年4月1日から三施設について貸与・譲渡を希望する民間事業者の募集が行われ、「夕張鹿鳴館」については同月末に小樽市の廃棄物処理業者「テクノ」に無償譲渡されることが決まった。同年6月から補修工事を行い、2011年5月27日、宿泊施設・レストランなどを備えた新施設として再開業。2011年10月には国の登録有形文化財となった。 1983年に開館した「知られざる世界の動物館」については、市が大分市高崎山世界鳥獣館「フォーナランド」(大分市営。1982年閉館)に展示されていたものや、市に寄贈した元の所蔵者が各地から買い集めたらしい哺乳類・鳥類・両生類の剥製が多数あったが、その多くは高額のものでも1体数千円程度の価値しかなかった(市は開館時にこれらを大分市などから総額約9600万円で購入した)。一方希少種のアジアゾウ・クロサイ・クロヒョウ・ベンガルトラ・ホッキョクグマなど「種の保存法」により一般への売買・譲渡が禁止されており値段自体が付かない動物の剥製も約70体あったため、民間事業者との取引は不可能となっていた。市は対応に苦慮、交流のある東京都に相談していたが、学術研究機関として法令でそれら剥製の譲渡が認められている国立科学博物館が夕張市側の苦境を知り受け入れを申し出たため、剥製641体については同館に無償譲渡された。これらは同館の剥製標本コレクションの一部となり、展示・研究・教育用の資料として活用されている。2013年には特別展「グレートジャーニー人類の旅」にてホッキョクグマやワモンアザラシの剥製などが公開された。その後もたびたび展示されており、2019年の特別展「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」でもホッキョクグマの剥製など多数が公開されている。「知られざる世界の動物館」には夕張周辺に生息しているものを中心とした昆虫標本も多数あったが、これについては1万円を超える値段が付いたものもあり、ネットオークションにかけられ売却された。「知られざる世界の動物館」の建物は夕張市武徳殿として建てられたものを改造したもので、炭鉱全盛時代の建築物の一つであったが、「知られざる世界の動物館」閉館後は廃墟同然の状態となり、屋根等の傷みが激しかったことから、2013年6月、解体された。 開館当初娯楽・観光施設扱いであった「SL館」については、閉館とはなったものの鉄道遺産保存活動団体「三菱大夕張鉄道保存会」の運営により、2009年以降数度にわたって特別無料公開されるなどしており、廃墟化は免れている。保存されている夕張鉄道や三菱大夕張鉄道の蒸気機関車や客車、その他鉄道関連資史料について郷土史における学術的価値が認められることから、2013年に「郷土文化施設」となり、観光施設から文化施設に行政上の扱いを変更、夕張市石炭博物館の付属施設として存続させる方向となった。博物館扱いとなり国からの補助金が得られる見通しとなり、市が改修し再開館する方針とされていたが、その後も再開は行われておらず一般公開は三菱大夕張鉄道保存会が毎年2月に行う「雪下ろしツアー」参加者のみに限られる。
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