『日本誌』とは? わかりやすく解説

『日本誌』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 04:38 UTC 版)

エンゲルベルト・ケンペル」の記事における「『日本誌』」の解説

詳細は「日本誌」を参照 ケンペル遺品多く遺族により、3代イギリス国王アンからジョージ2世)に仕えた侍医で熱心な収集家だったハンス・スローン売られた。1727年遺稿を英語に訳させたスローンによりロンドン出版された『日本誌』(The History of Japan)は、フランス語オランダ語にも訳された。ドイツでは啓蒙思想家ドーム英語版)が甥ヨハン・ヘルマンによって書かれ草稿を見つけ、1777‐79年ドイツ語版Geschichte und Beschreibung von Japan)を出版した。『日本誌』は、特にフランス語版Histoire naturelle, civile, et ecclestiastique de I'empire du Japon)が出版されたことと、ディドロの『百科全書』の日本関連項目の記述が、ほぼ全て『日本誌』を典拠としたことが原動力となって知識人の間で一世を風靡しゲーテカントヴォルテールモンテスキューらも愛読し19世紀ジャポニスム繋がってゆく。学問的にも、既に絶滅した考えられていたイチョウ日本生えていることは「生きている化石」発見受け取られケンペルに遅れること約140年後に日本渡ったフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトにも大きな影響与えたシーボルトはその著書で、この同国先人顕彰している。 ケンペル著書の中で、日本には、聖職的皇帝(=天皇)と世俗的皇帝(=将軍)の「二人支配者」がいると紹介した。その『日本誌』の中に付録として収録され日本対外関係に関する論文は、徳川綱吉治政時の日本の対外政策肯定したもので、『日本誌』出版後ヨーロッパのみならず日本にも影響与えることとなったまた、『日本誌』のオランダ語第二版De Beschryving Van Japan 1733年)を底本として、志筑忠雄享和元年1801年)にこの付録論文訳出し、題名あまりに長いことから文中適当な言葉探し、「鎖国論」と名付けた日本語における「鎖国」という言葉は、ここに誕生したまた、1727年英訳所収された「シャム王国誌」(A Description of The Kingdom of Siam)は、同時代タイに関する記録として珍しく「非カトリック・非フランス的」な視点から描かれており、タイの歴史に関する貴重な情報源となっている。 スローン購入したケンペル収集品大部分大英博物館所蔵されている。一方ドイツ残っていた膨大な蔵書類は差し押さえにあい、散逸してしまった。ただし彼のメモ書類デトモルト現存する。その原稿校訂最近行われており、『日本誌』は彼の遺稿と英語の初版とではかなりの違いがあることが分かっている。ヴォルフガング・ミヒェル (Wolfgang MICHEL)が中心となって2001年原典批判版「今日の日本」(Heutiges Japan)が初め発表された。この原典批判版を皮切りとしたケンペル全集は全6巻(7冊)刊行された。 今井正による日本語訳ドーム版を底本としており、ケンペル草稿とは所々でかなり異なっている。よって現在のケンペル研究は、原典批判版をはじめとするケンペル全集や、大英図書館所蔵され各種ケンペル史料に基づくのが、世界的なスタンダードとなっている。

※この「『日本誌』」の解説は、「エンゲルベルト・ケンペル」の解説の一部です。
「『日本誌』」を含む「エンゲルベルト・ケンペル」の記事については、「エンゲルベルト・ケンペル」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「『日本誌』」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「『日本誌』」の関連用語


2
Engelbert Kampfer デジタル大辞泉
32% |||||

3
今日の日本 デジタル大辞泉
32% |||||



6
14% |||||

7
江戸参府紀行 デジタル大辞泉
14% |||||

8
14% |||||


10
12% |||||

『日本誌』のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



『日本誌』のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのエンゲルベルト・ケンペル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS