「侵入」に関する問題とは? わかりやすく解説

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「侵入」に関する問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/07 15:44 UTC 版)

ヒクソス」の記事における「「侵入」に関する問題」の解説

古代エジプト伝統的な歴史認識において、ヒクソス野蛮な侵略者と見なされていた。プトレマイオス朝時代に『アイギュプティカエジプト史)』を著したマネト記録では、ヒクソス(第15王朝)による支配エジプト襲った災厄異民族支配として描いている。 「トゥティマイオスの代に、原因不明であるが、疾風の神がわれわれを打ちのめした。そして、不意に東方から、正体不明闖入者威風堂々わが国土に進行して来た。彼らは、圧倒的な勢力を以て、それを簒奪し、国土首長たちを征服し、町々を無残に焼き払い神々神殿大地倒壊したまた、同胞対す扱いは、ことごとく残忍をきわめ、殺されたり、妻子奴隷されたりした。最後に彼等は、サリティスという名の王を1人指名した。彼は、メンフィス拠って上下エジプト貢納課し最重要地点には守備隊常駐させた。」マネトエジプト史(AIGUPTIAKA)』より また、ヒクソスによる支配からエジプトを「解放」したテーベ古代エジプト語:ネウト 現在のルクソール政権(第17第18王朝)が残した記録にはヒクソス支配をして「アジア人恐怖」と呼ぶものもある。 「(中略)「人みな、アジア人奴役のために衰え息い知らず。余は彼と戦い彼の腹を引き裂かんとす。それすなわち、エジプト救出アジア人殲滅を余の願いとすればなり。」かくて、最高会議侍る高官たちの応えて曰く、「照覧あれ、アジア人恐怖クサエにまで(及ぶ)」と。彼ら、一様に(=異口同音に)応えて、その舌ひきつりぬ。(後略カーメス第3年日付をもつテキストより。 ヒクソスとは軍事力でもってエジプト征服した異民族政権であるという見解は、このような古代エジプト人の記録加えて戦車複合弓といった「新兵器」の使用、そして上記のようなシリア・パレスチナ地方起源を持つと考えられる習俗人名など存在によっている。 これに対して異なヒクソス観を打ち立てる説が古くから出されている。まず多くエジプト学者言及しているように、ヒクソスに関する古代エジプト人の記録は、ヒクソスからエジプトを「解放」した政権による政治宣伝や、「アジア人」に対すエジプト人の蔑視偏見強く介在しており、信憑性問題がある物が極めて多い。また、ヒクソスに関する同時代史料後世エジプト人による破壊のためにほとんど残されていない。そして数々文献史料考古学的発見によって「アジア人」のエジプト移住が、第1中間期から継続的に行われていたことが判明しているのである学者中にはヒクソスによるエジプト支配外部からの侵入によるのではなくエジプト内部での単なる政権交代に過ぎないとする説を唱える者もあり、広い支持得ている。 実際に当時僅かな記録からは、ヒクソス(第15王朝)に仕えたエジプト官僚存在が明らかとなっており、またヒクソスエジプト文化を特に排斥し形跡も見つかっていない。むしろ逆にエジプト伝統数多く導入しており、王名エジプト式にカルトゥーシュ囲んで表記された。ヒクソス同時代に彼らの支配地に生きたエジプト人の多くは、それほど強く異民族支配」を意識することは無かったとも言われている。

※この「「侵入」に関する問題」の解説は、「ヒクソス」の解説の一部です。
「「侵入」に関する問題」を含む「ヒクソス」の記事については、「ヒクソス」の概要を参照ください。

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