「体質改善」から「減量」へ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 02:19 UTC 版)
「合成洗剤」の記事における「「体質改善」から「減量」へ」の解説
1980年(昭和55年)、ロンドン海洋投棄条約批准に伴う水質汚濁防止法改正により、事実上、家庭用有リン洗剤は販売できなくなり、「洗浄能力を保ったまま洗剤の環境負荷を下げる」という方向での改善の試みは一段落した。一方、「洗剤の使用量を減じて洗濯排水中の洗剤成分量を減らす」という試みも進められていたが、1975年(昭和50年)にライオンから、使用量を従来の標準的な水30 Lあたり40 gから25 gに減じた「スパーク25」が発売され、競合他社も同等品を発売した。しかし、当時の技術では完全無リン化と並行してのコンパクト化には限界があり、少量ながらリン系化合物を助剤として使っていたため、無リン合成洗剤のブーム下で主流とはならなかった。 コンパクト洗剤は今のエコロジーブームの傾向が現れ始めた1980年代後半に主流となる。この時期、従来の脱水機能を持たない単機能洗濯機や二槽式洗濯機に代わり、全自動洗濯機が急速に台頭し始めた。しかし、全自動洗濯機は基本的に洗濯中の洗濯槽が不透過の蓋で隠れており、さらに単機能洗濯機や二槽式と異なり、見えている洗濯槽の外側が実際の水槽となるため、溶け残りの洗剤カスによる不衛生が二槽式洗濯機よりも深刻となった。また、パルセーター(撹拌翼)駆動用と脱水用に同一のモーターを使い、ギアとクラッチで回転数を変える都合上、高回転化に限界があり、脱水能力が二槽式よりも落ちたため、特に部屋干しなどをした際に洗剤の除去が不充分な際に出る悪臭も問題となるようになった。使用水量が二槽式よりも多いこともこれに拍車をかけた。 これら全自動洗濯機の特徴から、「使用量が少なく、溶け残りの心配がなく、かつ洗浄力は従来通り」というコンパクト洗剤の需要が高まっていった。 花王「アタック」(第2期) 1987年発売。助剤を改良してその分量を減らすことで、使用量を同社の従来である「ザブ」「ニュービーズ」に比べて1/4に減量。「無リントップ」以降停滞が続いていた衣料用合成洗剤のブレイクスルーとなり、合成洗剤では真っ先に商品化に成功していながら技術改良でライオンの後塵を拝していた花王がシェアトップに返り咲くきっかけとなった。これ以降、コンパクト洗剤が日本における衣料用合成洗剤の主流となる。 ライオン「全自動用ダッシュ」(第2期) 1989年(平成元年)発売。「アタック」の翌年にコンパクト化した「Hiトップ」を発売したライオンだったが、後発の不利を覆すには至らなかった。そこで、より水への溶解性を重視し、「すすぎは1回、節約コースで」をキャッチコピーに、かつて低公害型合成洗剤のはしりとなった「ダッシュ」の商標名で発売した。以降、市販の合成洗剤は市場の9割を占めるまでになった全自動洗濯機に特化していく。
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