《昨日》の敬語
「昨日」の敬語表現
「昨日」は読み方と文脈によって、そこに込められる敬意が変わる言葉です。一般的には「きのう」と読まれるものの、敬語表現では「さくじつ」となります。「昨日(さくじつ)は~でした」「昨日(さくじつ)に~しました」などの形が、丁寧な「昨日」の使い方だといえるでしょう。「さくじつ」への言い換えが敬意の表現になるのは、日本語の風習によります。日本語では、普段使いしない言葉遣いをすることで、相手への特別感を示す文脈があります。「昨日」という漢字の読みは、「きのう」の方が広く使われてきました。そこで、あえて「さくじつ」と読むことにより、相手や状況の特別感を強調できるのです。「昨日」の敬語の最上級の表現
「昨日」には「さくじつ」と読む以上の丁寧な表現がありません。そのため、最上級の敬意を示したいなら「昨日(さくじつ)~でございました」「昨日(さくじつ)は~していただきました」など、一緒に使う語句を工夫しましょう。「昨日」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「昨日(さくじつ)」という言葉の読みは、文章だとはっきり伝わるわけではありません。ビジネスシーンでは、平易な「昨日(きのう)」と読まれてしまうような文章の書き方をしないように心がけましょう。以下、「昨日」の敬語を含む、メールや手紙の例文です。「昨日(さくじつ)はご訪問いただき、まことにありがとうございました。弊社の社長も喜んでおりました」
「私の意見を以下に述べさせていただきます。まず、昨日(さくじつ)に拝見した、御社のメールサーバーについてです」
「かしこまりました。それでは、昨日(さくじつ)のヒアリングを踏まえ、おおまかな見積書を作成いたします」
「昨日(さくじつ)お会いしたとき、お体が優れないようにお見受けいたしました。その後、お変わりはないでしょうか」
「お客様が昨日(さくじつ)お問い合わせいただいた商品ですが、現在は品切れとなっております」
「昨日(さくじつ)のプレゼンテーションはおかげさまで無事終了しました。先方からのご意見は今週中に送られてくる予定です」
「お褒めいただき、まことに光栄です。また、昨日(さくじつ)、御社の部長様にもお会いできました。改めて、お礼を申し上げます」
「昨日(さくじつ)いただいた資料をもとに、マーケティング戦略を少々軌道修正しています。ご確認いただけないでしょうか」
「昨日」を上司に伝える際の敬語表現
上司と大切な会話をする際には、「昨日(きのう)」ではなく「昨日(さくじつ)」を使う方が無難です。「きのう」は話し言葉であり、少し軽く聞こえてしまう表現です。「さくじつ」は形式的で、ビジネスシーンに合った言葉だといえます。ただし、会議や打ち合わせではない、日常的なやりとりまで気にする必要はありません。特別な場面でなければ、上司相手に「きのう」という表現を使っても問題にはならないでしょう。「昨日」の敬語での誤用表現・注意事項
初歩的な間違いとして、「お昨日」「ご昨日」のような言葉遣いが挙げられます。「昨日」という言葉には接頭語がつきません。丁寧な言い方をしたいなら「さくじつ」と読むだけで十分です。ただし、「さくじつ」という読み方は丁寧になっているだけであって、それ自体が敬語表現ではないことを意識しましょう。すなわち、いくら「昨日」という言葉を使っていても、ほかの言葉遣いが雑なままだと、相手を不快にしかねないからです。あえて「さくじつ」という表現をする以上は、その後に続く敬語も正しく使い、相手への敬意を示すことが大事だといえます。なお、「さくじつ」という表現は、状況に応じて使い分けたいところです。なぜなら、「さくじつ」よりも「きのう」のほうが耳になじみのある言葉だからです。「さくじつ」を連発していると、周囲からかえって違和感を抱かれるかもしれません。基準としては、社外の人との会話や、役職の離れた上司とのやりとりでは「さくじつ」を使うのが適切です。対等な立場の同僚、気心の知れた上司との会話では「きのう」を使う方が通用しやすいでしょう。ただ、「さくじつ」は堅苦しい言葉遣いなので、ビジネスシーン以外で使うのは強くおすすめできません。上司が相手でも、プライベートや休憩中なら「きのう」を使うことが可能です。
「昨日」の敬語での言い換え表現
「昨日」の類語には「前日」があります。「前日に~いたします」「前日は~でした」などの形で、敬語表現にも登場してくる単語です。場合によっては「昨日」の言い換えにも使えるでしょう。ただし、「昨日」とは「今日から見て前の日」という意味です。それに対し、「前日」は「話題になっている時点から見て前の日」です。いうなれば、「前日」が「昨日」と同じ日になるとは限りません。文脈を考えながら、「昨日」と「前日」を使い分けることが大事です。ちなみにビジネスシーンでは、「昨日」よりも遠く、それでもかなり前にはなっていない日については「先日」という表現をします。目安としては、2日前なら「一昨日(いっさくじつ)」、3日以上前なら「先日」を使います。「先日は~でした」「先日は~しました」など、「先日」を含めた敬語表現を作ることも可能です。
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