《時化》の正しい読み方
「時化」の正しい読み方
「時化」という単語は1つ1つの漢字は簡単ではあるものの、正しい読み方ができる人は少ないだろう。「時」という字は「じ」と読むことが多く、「化」という字も「か・け」と読まれることが多いため、「じか」や「じけ」などと読んでしまいがちである。しかし、正しい読み方は「しけ」である。「時化」の意味解説
「時化」には、風雨によって海が荒れる、海が荒れて魚が不漁である、金回りが悪く不景気である、気分が落ち込むなどの意味がある。もともとは「風雨によって海が荒れる」という意味であったが、海が荒れると魚が獲れないため、不景気や気分が落ち込むという意味合いにも用いられるようになったといわれている。なぜ「時化」と読むのか・理由
「時化」は「時(じ・とき)」と「化(か・け・ば-ける)」という漢字から構成されている。漢字の読み方どおりだと「じけ」や「じか」という読み方になる。そのため、「時化(しけ)」という読み方は当て字であるとされており、「湿気る(しける)」から転じたという説が濃厚である。「時化」の類語・用例・例文
「時化」の用例・例文・時化のため連絡船の運航が休止になった。
・彼はいつも時化た顔をしている。
・駅前の店は新装開店した後も時化ている。
「時化」の類語
・荒天(こうてん)
・冴えない(さえない)
・不景気(ふけいき)
「荒天」の用例・例文:風雨が激しく天候が悪いこと
・せっかく富士山に登頂したのに荒天で景色を楽しめなかった。
・荒天のため交通機関のダイヤが乱れている。
「冴えない」の用例・例文:面白みに欠ける・気が滅入ること
・気分が冴えないので学校を休んだ。
・冴えない顔つきの男性が、実は世界有数の資産家であることを知った。
「不景気」の用例・例文:商売が繁盛していない・経済に活気がないこと
・不景気のため人々の暮らしは困窮した。
・日本は20年もの間不景気な状況が続いている。
これらの類語は「時化」と類似する意味ではあるものの、全く同じ意味で用いることはできない。
「時化」の英語用例・例文
「時化」は英語で「stormy(時化・悪天候)」や「depressed(時化・冴えない)」、「recession(時化・不景気)」と表現される。「stormy(時化・悪天候)」の用例・例文
・The weather was cold and stormy.(天候は寒く時化ていた)
・Their relationship was very stormy.(彼らの関係は時化ていた)
「depressed(時化・冴えない)」の用例・例文
・ The rainy weather had her feeling lonely and depressed.(雨天は彼女を寂しく時化た気分にした)
・He was depressed about having to return to school.(学校に戻ることは彼の気分を時化させた)
「recession(時化・不景気)」の用例・例文
・Japanese economy is falling back into a recession. (日本の経済は再び時化ている)
《時化》の正しい読み方
「時化」の正しい読み方
「時化」の正しい読み方は「しけ」である。「時化」を「じか」とは読まない。
「時化」の意味解説
「時化」とは、暴風雨が続いて海が荒れることである。対義語は「凪(なぎ)」。時化により波が高くなり、雷や雪を伴うこともある。見通しが悪く船が転覆する恐れがあるため、船は航行することができなくなる。波の高さが4m以上あることが「時化」の判断基準とされる。
「時化」は暴風雨のため海が荒れて魚類がとれなくなること、不漁であることを意味する言葉でもある。不漁から転じて、興行などで客の入りが悪くなること、不景気を意味する言葉にもなっている。
さらに不景気で金回りが悪くなると人の気持ちが落ち込むため、しょげること、ふさぎこむことを意味する言葉にもなっている。
なぜ「時化」と読むのか・理由
「時化」は動詞「時化る(しける)」の連用形を名詞にしたものであるといわれている。「時化」の漢字は当て字である。「時化る」は湿気を帯びるという意味をもつ「湿気る」と同語源である。湿気を帯びた状態が悪天候に結びついて生まれた言葉であると考えられる。「日葡辞書」によると、「時化る」は天気が曇ることであると書かれている。「時化る」は昔は空が曇るという意味で使われていたが、海が荒れるという意味に変化していったようである。
「時化」の類語・用例・例文
海が荒れる意味で使われる「時化」の類語としては、「荒れ」「大荒れ」「荒れ模様」「悪天候」「嵐」などが挙げられる。・「海が時化る」
・「今日は時化で出港できない」
・「この男ときてはどんなにひどい時化のときでも歌ばかりうたっていた」(ドーデ/大久保和郎訳「風車小屋だより」)
・「実際、本多家の船に乗って時化の怖おそしさを体験している三帆でもあった」(平岩弓枝「千姫様」)
海が荒れて魚がとれないという意味で使われる「時化」の類語としては、「凶作」「不漁」などが挙げられる。
・「時化のため、さんまの入荷が少ない」
・「しらすが有名なあの店は時化で休みである」
・「時化で損したからって、そりゃおれたちの知ったことじゃねえからな」(島木健作「鰊漁場」)」
興行などで客の入りが悪いという意味で使われる「時化」の類語としては、「不景気」「不況」「不入り」などが挙げられる。
・「街自体はごくありふれたベッドタウンで、駅前にできた大型スーパーマーケットのせいで商店街はシケていた」(山本文緒「プラナリア」)
・「でなきゃ、いい歳をして、こんなシケた店で仙人みたいな暮しは、してねえよな」そうつづけてコーヒーを口に運んだ」(辻内智貴「セイジ」)
気持ちが落ち込む意味で使われる「時化る」の類語としては、「しょげる」「ふさぎこむ」などが挙げられる。
・「時化た顔をしている」
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