九州 経済

九州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/13 09:49 UTC 版)

経済

第一次産業

第一次産業では、農業漁業林業 がバランスよく九州各県に広く分布しており、出荷額も多い。温暖な気候を利用して筑紫平野ではオオムギ小麦二毛作が展開される。宮崎平野ではビニールハウスを利用した野菜の促成栽培が行われている。加えて熱帯亜熱帯地域が原産のサツマイモマンゴーザボン(ブンタン)、バナナなどの生産も行われている。鹿児島県や宮崎県南西部には稲作には不向きなシラス台地が広がり、畜産が盛んである。

第二次産業

第二次産業では、北九州工業地帯を中心に、歴史的に鉄鋼石炭などの素材産業やエネルギー産業が盛んであった。また、三菱重工業佐世保重工業(長崎県)などの造船業に代表される重工業も盛んであるほか、久留米市ではブリヂストンといったゴム工業、大牟田市三池炭鉱の石炭を中心とした化学工業延岡市では旭化成が石油化学を中心とした化学工業が発展してきた。また、1980年代には、IT産業の進出により、半導体分野での世界シェアは1割を占めるまでになり、「シリコンアイランド」と呼ばれた。さらに1990年代からは、トヨタ自動車日産自動車ダイハツ工業ホンダなど自動車メーカーの工場の立地が進み、濃尾地方に次ぐ国内の自動車製造拠点となり、先に「シリコンアイランド」と呼ばれていた経緯から「カーアイランド」と呼ばれる事もあった(一時期の台数ベース世界シェアは1.9%)。

唐津焼有田焼伊万里焼などに代表される陶磁器生産が17世紀から伝わっていることから窯業も盛んである。北九州市に本社を置くTOTOはトイレ等衛生機器のトップ企業である。

第三次産業

九州の産業生産額に占める第三次産業の割合が高く、九州全域を市場として発展している。

九州での卸売業は福岡県が中心となっており、九州全体の卸売業年間販売額の62.5 %は福岡県内である[21]小売業では全般的に零細店舗や百貨店が低迷する一方、大型店の増加がみられる[22]。また、九州ではドラッグストアの売上高、店舗数の増加が日本全国的にみても大きい特徴がある[23]

金融の分野では、都市銀行の店舗は少なく、各県に地方銀行の本店があり、地域に根ざした営業網を展開している。また、不良債権を抱え、経営困難に陥った地方銀行の救済を目的に、資金力のある地銀による吸収合併が進んでおり、九州管内での業界再編が行われている。ふくおかフィナンシャルグループ親和銀行[注 10]熊本ファミリー銀行[注 11] を傘下に入れ、西日本シティ銀行長崎銀行を傘下に入れた。また山口県に地盤がある山口フィナンシャルグループ傘下の山口銀行が北九州地方に攻勢をかけており、2011年平成23年)10月には北九州銀行が山口銀行の北九州地区部門から分割・設立するなど北九州地方の動きが活発である。

情報通信業では、ITソフトウェア関連のサービス業が伸びており[要出典]、その多くが福岡市内に集積している。

域内総生産

[24]

  • 平成19年度の九州の域内総生産は48兆6825億円である[25]。これはG20参加国のサウジアラビアアルゼンチンよりも大きく、世界で25位以内の「国」に相当する経済規模を有している[26]
  • 都道府県
    • 福岡県 18兆840億円
    • 佐賀県 2兆935億円
    • 長崎県 4兆379億円
    • 熊本県 5兆708億円
    • 大分県 4兆473億円
    • 宮崎県 3兆560億円
    • 鹿児島県5兆357億円
  • 政令指定都市
    • 福岡市7兆197億円、北九州市 3兆523億円、熊本市 2兆1507億円

交易

位置的に朝鮮半島中国東南アジアなどに近く、特にアジアとの貿易や輸送が盛んである。


注釈

  1. ^ a b 島国領土がすべてから成る国)である日本を構成する14,125のに対する『国土交通省』による区分け ⇒ 14,125島(本土5島・離島14,120島)[4][5][6]
    ただし、について地理学上はこのような分類・区分けはない。
  2. ^ 平成25年10月1日時点の島面積より 国土地理院 (注:表中の「沖縄島 おきなわじま」は、通称名「沖縄本島」の正式名称)
  3. ^ 【参考】 日本のの面積順上位10島 ⇒ 本州北海道九州四国択捉島国後島沖縄本島佐渡島奄美大島対馬
    [出典] 国立天文台 (編)理科年表 平成19年版 P565、ISBN 4621077635
  4. ^ 世界のの面積順位より抜粋、出典 List of islands by area (オーストラリア大陸の面積未満で、四方を水域に囲まれる陸地)
    第1位 グリーンランド

    第6位 スマトラ島インドネシア共和国
    第7位 本州
    第8位 ビクトリア島カナダ) * 人口1,707人(2001年)
    第9位 グレートブリテン島イギリスイングランドスコットランドウェールズ))

    第20位 アイルランド島アイルランド共和国およびイギリス北アイルランド))
    第21位 北海道
    第27位 デヴォン島カナダ) * 世界最大の無人島

    第36位 スピッツベルゲン島ノルウェー
    第37位 九州

    第49位 バナナル島ブラジル) * 世界最大の川の中の
    第50位 四国
  5. ^ 佐賀・宮崎の両県が再置または分立され現在の状態になったのは、1883年(明治16年)以降である。
  6. ^ 「九州地方」『コンサイス日本地名事典』三省堂、第4版、1998年、396頁。本来の範囲は「九州」と同じく7県としているが、現在は実質的に沖縄県を含めた8県が「九州地方」の範囲である、と解説している。
  7. ^ 産経新聞西部本部では「九州・山口特別版」を発行している。朝日新聞西部本社毎日新聞西部本社読売新聞西部本社発行の新聞記事中でも「九州・山口」は用いられる。テレビ番組としてはブロックネット番組「アサデス。7」がある。
  8. ^ 古事記・国産み神話においては、隠岐の次、壱岐の前に筑紫島(九州)は、四面をもって生まれたとされる。
    次生、筑紫島。此島亦、身一而、有面四。面毎有名。故、筑紫国謂、白日別。豊国、言、豊日別。肥国、言、建日向日豊久士比泥別。熊曾国、言、建日別。
  9. ^ a b この時期の南西諸島は未開の先史時代であるうえ、朝廷や周辺のヤマト(大和)諸国からの認識も疎かであったと考えられ、特定の島に比定することは困難を伴う。(「阿古奈波」は沖縄本島に比定)
  10. ^ 2022年10月1日に十八銀行と統合し十八親和銀行となった。
  11. ^ 2013年4月1日に熊本銀行へ改称
  12. ^ マスターズ大会は熊本県と鹿児島県でも行われた。

出典

  1. ^ 平成28年全国都道府県市区町村別面積調 島面積” (PDF). 国土地理院 (2016年10月1日). 2017年2月27日閲覧。
  2. ^ 『日本統計年鑑 平成26年』(2013年)p.17 - 1986年昭和61年)、海上保安庁による計測。
  3. ^ a b 平成27年全国都道府県市区町村別面積調 都道府県別面積” (PDF). 国土地理院. p. 5 (2015年10月1日). 2016年2月29日閲覧。
  4. ^ 日本の島の数”. 国土地理院. 2024年1月5日閲覧。
  5. ^ 日本の島嶼の構成” (PDF). 国土交通省. 2024年1月5日閲覧。
  6. ^ 知る-基本情報-”. しましまネット. 公益財団法人日本離島センター. 2024年1月5日閲覧。
  7. ^ 【参考】 島国一覧領土がすべてで構成される国)
  8. ^ 地球ダイナミクス講座”. 竹内 章 富山大学理学部教授. 2009年4月閲覧。
  9. ^ 本州島東北部の弥生社会誌. 六一書房. (2004年6月). ISBN 978-4947743220 
  10. ^ 高速バス路線・時刻検索(福岡県内・下関/九州島内)|高速バス情報|バス情報|西鉄グループ”. 西鉄グループ. 2023年8月17日閲覧。
  11. ^ 伊東ひとみ『地名の謎を解く』新潮社、2017年、10頁
  12. ^ 古田武彦著『失われた九州王朝』朝日新聞 (1993/01)ISBN 4022607505 p330
  13. ^ a b 「九州地方」『日本地名大百科』小学館、1996年、380-381頁。
  14. ^ 『世界大百科事典 7』、188-189頁。
  15. ^ 「九州」『コンサイス日本地名事典』三省堂、第4版、1998年、396頁
  16. ^ a b c 『世界大百科事典 7』、189頁。
  17. ^ 都城に縄文時代早期の集落跡 「南九州で貴重な遺跡」:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年11月11日閲覧。
  18. ^ a b 蟹江征治著、宇野俊一、小林達雄、竹内誠、大石学、佐藤和彦、鈴木靖民、濱田隆士、三宅明正編『日本全史(ジャパン・クロニック)』(講談社1990年)109頁参照。
  19. ^ 『続日本紀』巻第2、大宝2年8月丙申(1日)条、10月丁酉(3日)条。新日本古典文学大系『続日本紀』一の58-61頁。
  20. ^ 「九州」今年行くべき場所ベスト10に、米紙が日本で唯一選出…高級ホテル開業や観光列車など評価” (2024年1月16日). 2024年2月11日閲覧。
  21. ^ 野澤ほか 2012, pp. 92–93.
  22. ^ 野澤ほか 2012, pp. 93–95.
  23. ^ 野澤ほか 2012, pp. 96.
  24. ^ 平成17年度県民経済計算について 九州経済産業局調査
  25. ^ 平成19年度県民経済計算 Archived 2010年12月20日, at the Wayback Machine.
  26. ^ World Economic Outlook Database






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