配糖体 配糖体の概要

配糖体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/03 10:19 UTC 版)

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サリシンヤナギ樹皮に含まれる配糖体である。

分類

配糖体はアノマー炭素と結合しているアグリコンの原子元素記号 X に応じて X-グリコシドと呼ばれる。天然には O-グリコシドS-グリコシドC-グリコシドN-グリコシドが知られている。また、アグリコンがアノマー位のα位を占めているグリコシドはα-グリコシド、β位を占めているグリコシドはβ-グリコシドと呼ばれる。

配糖体はそのアグリコンの種類やその有する性質によって細分されている。以下のその例を示す。

名称について

なお配糖体という言葉には二次代謝産物天然物というニュアンスが強い。そのため核酸塩基をアグリコンとするヌクレオシドおよびヌクレオチド糖鎖で修飾されたタンパク質である糖タンパク質、糖が結合した脂質である糖脂質などは一次代謝産物として分類されることから配糖体には含めないことがある。また、アルキルグリコシドのように人工的に合成されたものも配糖体には含めないことがある。

なお、グルコシドはグルコースの配糖体に限定した呼び方であるので混同しないように注意する必要がある。

酵素

配糖体のアノマー炭素とアグリコン部との結合(グリコシド結合)を加水分解して遊離のアグリコンを生成する酵素グリコシダーゼという。 α-グリコシドもしくはβ-グリコシドを選択的に加水分解するグリコシダーゼはそれぞれα-グリコシダーゼ、β-グリコシダーゼと呼ばれる。 またグリコシダーゼの中には加水分解で生じた糖をそのまま別のアグリコンに付加させるものもあり、これは糖転移酵素、グリコシルトランスフェラーゼと呼ばれる。

O-グリコシド

O-グリコシド(狭義の配糖体)は、環状の糖のヘミアセタール性ヒドロキシ基にアグリコンのヒドロキシ基が縮合してできた配糖体である。あらゆる植物に多く存在しており、結晶性の固体として単離される。種類は多様であり一般に苦味を持つものが多く、薬理作用を持つもの、天然色素、有毒なものなどが知られている。植物界にあるO-配糖体はほとんどすべてがβ-D-グリコシド結合しており左旋性を示す。また、アグリコンの種類によって、フェノール配糖体、クマリン配糖体、フラボノイド配糖体、カルコン配糖体、アントシアニジン配糖体、アントラキノン配糖体、インドール配糖体、青酸配糖体(ニトリル配糖体)、ステロイド系配糖体、アルカロイド配糖体に分類される。

分類 配糖体 アグリコン 存在
フェノール配糖体 アルブチン ヒドロキノン グルコース ナシウワウルシ
サリシン サリチルアルコール ヤナギ樹皮
ポプリン サリチルアルコール
安息香酸
ポプラの樹皮
フロリジン フロレチン リンゴナシサクラの樹皮
クマリン配糖体 エスクリン エスクレチン セイヨウトチノキの樹皮
フラボノイド配糖体 フラボン配糖体 アピイン アピゲニン アピオース、グルコース パセリの葉と種子
イソフラボン配糖体 ダイジン ダイゼイン グルコース ダイズクズ
フラボノール配糖体 ケルシトリン ケルセチン L-ラムノース ブナ科カシ属の樹皮
ルチン ルチノース ソバエンジュの葉
フラバノン配糖体 ヘスペリジン ヘスペレチン 柑橘類の樹皮
ナリンギン ナリンゲニン ザボン夏ミカン
カルコン配糖体 カルタミン カルタミニジン グルコース ベニバナ
アントシアニジン配糖体 ペラルゴニン ペラルゴニジン 2グルコース ゼラニウムダリアアサガオ
シアニン シアニジン ヤグルマギクバラの花、クロマメシソの葉
デルフィン デルフィニジン ツユクサヒヤシンスの花、ナスの果皮
アントラキノン配糖体 ルベリトリン酸 アリザリン プリメベロース アカネの根
インドール配糖体 インジカン インドキシル グルコース アイの葉
青酸配糖体 アミグダリン マンデロニトリル ゲンチオビオース 苦扁桃アンズウメの種子
ステロイド系配糖体 強心配糖体 ジギトキシン ジギトキシゲニン 3ジギトキソース ジギタリスの葉
ステロイドサポニン サルササポニン サルササポニゲン L-ラムノース、2グルコース サルサの根
ジギトニン ジギトゲニン 2ガラクトース、キシロース、2グルコース ジギタリスの葉
アルカロイド配糖体 ソラニン ソラニジン グルコース、ガラクトース、L-ラムノース ジャガイモの芽

S-グリコシド

S-グリコシド(チオグリコシド)には、クロガラシの種子や西洋ワサビの根に含まれるシニグリンシロガラシの種子に含まれるシナルビンが知られている。辛味成分を成すためカラシ油配糖体とも言われる。






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