アントラキノンとは? わかりやすく解説

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アントラキノン【(ドイツ)Anthrachinon】

読み方:あんとらきのん

アントラセンから得られる黄色結晶。アリザリン・インダンスレンなどの染料合成原料分子式C14H8O2


アントラキノン

分子式C14H8O2
その他の名称モルキット、アントラキノン、Morkit、Anthraquinone、9,10-Anthraquinone、ヘライト、ホエライト、アントラジオン、Anthradione、Hoelite、9,10-Anthracenedione、Anthracene-9,10-dione、9,10-Dihydroanthracene-9,10-dione
体系名:アントラセン-9,10-ジオン、9,10-アントラセンジオン、9,10-アントラキノン、9,10-ジヒドロアントラセン-9,10-ジオン


アントラキノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/30 20:26 UTC 版)

9,10-アントラキノン
識別情報
CAS登録番号 84-65-1
ChemSpider 6522
日化辞番号 J294A
KEGG C16207
ChEMBL CHEMBL55659
特性
化学式 C14H8O2
モル質量 208.21 g mol−1
外観 黄色固体
密度 1.308 g/cm3
相対蒸気密度 7.16
融点

286 °C

沸点

379.8 °C

への溶解度 不溶
危険性
Rフレーズ R36/37/38
引火点 185°C
関連する物質
関連物質 アントラセン
1,4-ベンゾキノン
ナフトキノン
出典
国際化学物質安全性カード アントラキノン ICSC番号:1605 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, https://chemicalsafety.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=1605&p_version=2&p_lang=ja 
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アントラキノン (anthraquinone) は芳香族に属する有機化合物で、アントラセンの誘導体である。黄色から薄い灰色、もしくは緑がかった灰色をしており、結晶性の粉末である。IUPAC系統名アントラセン-9,10-ジオン anthracene-9,10-dione だが、別名として9,10-アントラセンジオンアントラジオンアントラセン-9,10-キノンなどがある。

アルコールには不溶であるが、ニトロベンゼンアニリンには可溶である。通常の条件下で、化学的に極めて安定である。

アロエセンナダイオウやカスカラといった、ある種の植物に含まれている。また藻類昆虫などにも存在しており、着色の原因となっている物質である。天然のアントラキノン誘導体は下剤として働くものが多いとされている。また、生物に依らない生成方法で産出することもあり、鉱物としてはヘール石 (Hoelite) として登録されているが、産出は珍しい[1]

化学的性質

いくつかの合成法が知られている。

アントラキノンの古典的な反応としてバリー・スコール合成 (Bally-Scholl synthesis) が知られている[2][3]。これはグリセロールとアントラキノンの反応によりベンズアントロンを生成するというものである[4]。この反応は硫酸の存在下でキノンが還元され(ケトン基の1つがメチレンになる)、次いでグリセロールが付加するというものである。

工業的な応用

多くの天然色素はアントラキノン骨格を持っているため、アリザリンなどの色素の原料として用いられている。また製紙業でパルプ製造の触媒としても用いられている。また、鳥除けに用いられたりもする。

誘導体である2-エチルアントラキノンは工業的に過酸化水素を製造するために用いられている。

脚注

  1. ^ Hoelite mindat.org
  2. ^ Bally, O. (1905). “Ueber eine neue Synthese in der Anthracenreihe und über neue Küpenfarbstoffe”. Ber. 38: 194-196. doi:10.1002/cber.19050380137. 
  3. ^ Bally, O.; Scholl, R. (1911). “Einwirkung von Glycerin und Schwefelsäure auf amidierte und auf stickstofffreie Verbindungen der Anthracen-Reihe: Benzanthron und seine Reduktionsprodukte, nebst Bemerkungen über Namenbildung und Ortsbezeichnung hochgegliederter Ringsysteme der Anthracen-Reihe”. Ber. 44: 1656. doi:10.1002/cber.19110440264. 
  4. ^ Macleod, L. C.; Allen, C. F. H. (1934). "Benzathrone". Organic Syntheses (英語). 14: 4.; Collective Volume, vol. 2, p. 62

関連項目

外部リンク


アントラキノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:52 UTC 版)

「赤」記事における「アントラキノン」の解説

「アントラキノン」も参照 赤色レーキ顔料主として用いられたのは、アントラキノン染料主成分とする赤色染料であった具体的には、ケルメス酸カルミン酸ラック酸、アリザリン、プルプリンである。特にアリザリンは、その特異な色相際立った透明性、高い耐久性着眼され、現代でも工業生産されており、例え美術家用として人気がある。 アカネ色素レーキ化したマダーレーキ真正ローズマダー真正ピンクマダー等)は天然レーキ中最も安定した色材のひとつである。カイガラムシエンジムシ色素レーキ化したものはコチニールレーキである。これらは最大顕色成分同一化学組成有する合成品レーキ顔料であるアリザリンレーキ類似した色相有機顔料存在する為、真正品が使用されることは稀である。 顔料色素型の赤色アントラキノン顔料としては、Pigment Red 168Pigment Red 177がある。Pigment Red 177アリザリンレーキ比較する幾分不透明である透明な顔料で、耐久性高く鮮明で、耐水性にも問題が無い。Pigment Red 168Pigment Red 177より随分黄味。

※この「アントラキノン」の解説は、「赤」の解説の一部です。
「アントラキノン」を含む「赤」の記事については、「赤」の概要を参照ください。

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