畠山氏 畠山金吾家

畠山氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 00:38 UTC 版)

畠山金吾家

代々、衛門督や衛門佐に任じられたため金吾家(金吾は衛門府唐名)とも称された。本来の嫡流である奥州畠山家が冷遇されたのとは対照的に、庶流である畠山国清は知勇に優れていたため重用され、紀伊国および和泉国の守護となり、後に河内国の守護にも任命された。これが河内畠山家の始まりである。

観応の擾乱においては国清は当初は直義派であったが、嫡流で尊氏派であった高国・国氏父子の敗北した後まもなく尊氏派に鞍替えし、没落した奥州畠山家に代わって畠山家の惣領格となる。鎌倉の足利基氏を補佐する関東執事(関東管領)として活躍し、さらに将軍足利義詮執事細川清氏と共に仁木義長を追放して一時中央の政務を壟断したが、のちに義詮や基氏と対立し失脚し、河内畠山家は畠山国清の弟・畠山義深の系統によって受け継がれる。

義深の子の畠山基国は当初は鎌倉公方に仕えていたが、足利義満の側近として京の室町幕府を中心に活動するようになり、管領家の細川京兆家と斯波武衛家が対立する中で第三勢力として台頭、能登国の守護職を獲得し、のちに畠山家の人物として初めての管領職に任命される。これ以降、河内畠山家は代々管領を輩出する家柄となった。ちなみに現在の京都市上京区畠山町は、この付近一帯に管領畠山氏の邸宅があったことに由来する地名である。

畠山満家畠山持国は管領として幕政において重きをなしたが、持国の後継を巡り畠山政長畠山義就の子孫が互いに争い、応仁の乱後も両家が分裂し、内紛を続けた。西軍であった義就流畠山家は官途の上総介から総州家、東軍であった政長流畠山家は官途の尾張守から尾州家をそれぞれ称した。

歴代当主(源姓畠山本宗家:金吾家)
  1. 畠山貞国
  2. 畠山家国
  3. 畠山国清 - 関東執事
  4. 畠山義深 - (国清の弟)
  5. 畠山基国 - 管領紀伊国守護、能登国守護、越中国守護、河内国守護。
  6. 畠山満慶 - 河内国守護などの守護、後、能登畠山家初代。基国の次男。
  7. 畠山満家 - 管領、紀伊国守護、河内国守護、越中国守護。基国の長男
  8. 畠山持国 - 管領、紀伊国守護、河内国守護、越中国守護。満家の長男。
  9. 畠山持永 - 河内国守護。満家の次男。持国の弟。
  10. 畠山義就 - 持国の子、河内国守護、紀伊国守護、越中国守護。
  11. 畠山政長 - 持富(満家の三男)の子、管領、紀伊国守護、河内国守護、越中国守護、山城国守護。

家臣団

応仁の乱前後に、畠山氏の家臣団はそれぞれ政長方、義就方に分かれるなど混沌とした。戦国時代になり畠山氏の当主の権力が弱くなるにつれて、在地勢力でもあった「国人衆」・「大和衆」が力を有するようになったが、守護代として権力を掌握した遊佐氏・神保氏は「鎌倉衆」「鎌倉以来」の家柄であった。畠山家の家臣団は大きく分けて、出身により「武蔵衆」、「足利衆」、「鎌倉衆」、「国人衆」、「大和衆」の五系統に分かれる。


注釈

  1. ^ 異説として、時政女を所生とする畠山重忠の娘[4]
  2. ^ ただし、重忠の所領は後家(一説に岳母)から直接息子泰国に継承され[5]、さらに一部は新田義兼の娘の子孫である岩松氏に流れた可能性がある[6]など、義純の畠山氏継承には不明点も多い。

出典

  1. ^ a b c d 日本大百科全書(ニッポニカ)『畠山氏』 - コトバンク
  2. ^ a b c 松田敬之 2015, p. 53.
  3. ^ a b c 松田敬之 2015, p. 573.
  4. ^ 竹村 2009, p. 23.
  5. ^ 渡 2012, p. [要ページ番号].
  6. ^ 彦由 2012, p. [要ページ番号].
  7. ^ 松田敬之 2015, p. 54/573.
  8. ^ 畠山氏を称したという史実は、横山昭男『上杉鷹山』(吉川弘文館、1987年)の4ページに『勝煕(のちに畠山氏を名乗る)』との記述があることより確認できる。治憲との関わりが薄いこともあり、同書でも上記以外の説明はない。
  9. ^ 萩尾俊章(『沖縄県立博物館紀要』20号、1994年)114頁






固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「畠山氏」の関連用語

畠山氏のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



畠山氏のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの畠山氏 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS