頒布権とは? わかりやすく解説

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頒布権(はんぷけん)


頒布権

映画の著作物」(映画、アニメビデオなどの「録画されている動く影像」)の場合限り、「譲渡」と「貸与」の両方対象とする「頒布権」という権利付与されています(第26条)。

頒布」とは公衆不特定又は特定多数)向けに「譲渡」したり「貸与」したりすることですが、「映画の著作物」の「頒布権」は、譲渡貸与する相手公衆ない場合特定少数である場合であっても公衆向けの上映を目的としている場合には、権利が及ぶ「頒布」に該当することとされています。

この「頒布権」のうち譲渡に関する部分は、「譲渡権」の場合とは異なり、「いったん適法譲渡された後には消滅する」という規定がありません。この強力な権利は、ビデオなどが出現する前の「劇場用映画」の配給形態前提したものであり、「劇場用映画以外の公衆提示することを目的としない」ような映画の著作物(「ビデオDVD」や「ゲームソフト影像部分」など)については、いったん適法譲渡された後には、この「頒布権」も(「譲渡」については)消滅します(平成14年4月最高裁判決)。

著作権

(頒布権 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/26 22:57 UTC 版)

著作権[1](ちょさくけん、英語: copyrightコピーライト)は、作品を創作した者が有する権利である。また、作品がどう使われるか決めることができる権利である[2]作者思想感情が表現された文芸・学術美術音楽などを著作物といい[3]、創作した者を著作者という。知的財産権の一種[4]


注釈

  1. ^ これを審査登録主義と呼ぶ。
  2. ^ 著作権が指す「創作性」とは、高度な芸術性や独創性を要求するものではなく、たとえ幼児が書いた稚拙な絵であっても、それぞれの個性が発揮されていれば著作物として保護される[12]
  3. ^ 著作権表示
  4. ^ もっとも、この時代は著作権の対象は書籍だけで、音楽などは対象外であり、モーツァルトも盛んに盗作【既存の音楽の再利用、改変】を行っていた。
  5. ^ 電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式
  6. ^ 例として、出版社と専属出版契約の締結をした場合、著作権者(複製権者)はその契約に反して自ら出版、または他の出版社から出版させる事はできない。
  7. ^ なお、いわゆる平成26年改正法による電子出版権の新設に関して「出版社の著作隣接権」として取り沙汰されているが、著作権の法構造上、電子出版権を含む出版権は著作権たる複製権の一形態であるため、少なくとも改正法新設の電子出版権に関しては著作隣接権は何ら関係がない(例えば放送事業者の隣接権を例に取れば、訴訟等原告資格を得るのは自らの放送番組に対してだけであるし、いっぽうで出版権には第2章第8節のような裁定利用制度は規定されていない)。
  8. ^ 電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式

出典

  1. ^ 中山 2014, p. 15.
  2. ^ 福井健策 2020, p. 9.
  3. ^ 福井健策 2020, p. 20-21.
  4. ^ 知的財産権について | 経済産業省 特許庁”. www.jpo.go.jp. 2022年10月28日閲覧。
  5. ^ 茶園成樹『著作権法 第3版』有斐閣 2021年 ISBN 978-4-641-24351-4 pp.2
  6. ^ 著作権なるほど質問箱 - 著作者の権利”. 文化庁. 2019年2月2日閲覧。
  7. ^ a b 山本桂一 1973, p. 10.
  8. ^ a b c d e f g h i 半田正夫 & 紋谷暢男 1989, p. 14.
  9. ^ 著作権なるほど質問箱 - 関連用語「た行」”. 文化庁. 2019年2月2日閲覧。
  10. ^ a b 文化庁『著作権法入門 (2018-2019)』著作権情報センター、2018年、2頁。 
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  12. ^ 著作権なるほど質問箱 - Q 幼児の書いた絵は著作物ですか。”. 文化庁. 2019年2月2日閲覧。
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  34. ^ 『著作権とは何か』 131-132頁。
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  75. ^ a b 森公任、森元みのり『著作権・コンテンツビジネスの法律とトラブル解決マニュアル』2018年、98頁
  76. ^ https://www.jpaa.or.jp/old/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200910/jpaapatent200910_075-079.pdf
  77. ^ 書籍スキャン代行業者を提訴=著名作家7人が差し止め請求-東京地裁
  78. ^ 自公、出版業界と懇談 「自炊」代行業者提訴などで
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頒布権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 12:27 UTC 版)

映画の著作物」の記事における「頒布権」の解説

映画の著作物には、他の著作物と異なり支分権として頒布権に関する規定著作権法設けられている。頒布権とは、有償無償問わず映画の著作物複製物を、公衆譲渡又は貸与、あるいは公衆提示することを目的として特定人に譲渡又は貸与する権利をいう(26条、2条1項19号)。 これは、映画産業業界慣行として古くから映画館映画会社上映フィルム譲渡配給)を行うという商慣習があり、仮に頒布権を認めなければプリントされフィルム転売映画館同士での融通行為が行われてしまうおそれがあるため、上映フィルム譲渡後においても映画会社プリントフィルム中古転売賃貸等を規制できるようにすることができるよう認められ規定であったまた、映画の著作物は、他の著作物と比較して製作にかかる費用巨額であり関わる人員大勢いることから権利保護要請高かったことも別途規定設けられ要因考えられる条文上は、「著作者」が頒布権を有することになっているが、著作者多く場合映画監督)が映画製作者対し当該映画の製作参加することを約束しているときは、著作権映画製作者帰属するので(291項)、著作者たるべき者のほかに映画製作者たるべき者がいる場合は、著作権支分権たる頒布権を有するのは著作者ではなく映画製作者となる。また、映画館などにおける上映それ自体は、上映権22条)の問題であり、頒布権の問題ではない。 なお、映画以外の著作物には、頒布権の制度はないが、これに代わる支分権として譲渡権認められている(26条の2)。ただし、後述する頒布権の消尽に関する判例存在により、公衆提示することを目的としない複製物については、頒布権と譲渡権区別曖昧になっている。

※この「頒布権」の解説は、「映画の著作物」の解説の一部です。
「頒布権」を含む「映画の著作物」の記事については、「映画の著作物」の概要を参照ください。

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