頒布権の消尽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/18 12:27 UTC 版)
前述のように、頒布権は劇場用映画のフィルムの配給を想定したものである。しかし、映画の著作物には前述の映画類似の著作物も含まれるので、これらの著作物にも形式的には頒布権が認められることになる。そのため、ゲームソフト(コンピュータゲーム)の中古販売をめぐって、頒布権を侵害することになるのかが問題とされた。 中古ゲームソフト販売事件(テレビゲームソフトウェア流通協会)では、「固定の要件との関係で映画の著作物であるのか否か」「映画の著作物であるとして頒布権が消尽したのか」が争点となった。この点について、最高裁判所第一小法廷は、映画の著作物であることを前提に、「配給制度という取引実態のある映画の著作物やその複製物については,これらの著作物等を公衆に提示することを目的として譲渡・貸与する権利が消尽しないと解されていたが」、著作権法26条において、頒布権の消尽の有無は定められておらず、「専ら解釈に委ねられている」として、「公衆に提示することを目的としない家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物の譲渡については、(中略)当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡されたことにより、その目的を達成したものとして消尽し、もはや著作権の効力は、当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばないものと解すべきである」と判断したことにより、「ゲームソフトの中古販売は合法」と裁判で確定判決が言い渡され、販売が認められることになった。
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