社会正義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/20 17:00 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2017年5月) |
進歩主義 |
---|
学 派 |
進歩主義 モダンリベラリズム (en) 進歩主義教育 |
理 念 |
啓蒙主義 近代主義 自由権 経済進歩主義 (en) 積極的自由 社会正義 技術進歩主義 (en) 社会福祉 ウィスコンシン理念 (en) 女性参政権 |
政 策 |
スクエア・ディール (en) ネオ・ナショナリズム ニュー・フリーダム (en) ニュー・ディール 第二の権利章典 (en) フェア・ディール ニュー・フロンティア 偉大なる社会 |
![]() |
社会正義(しゃかいせいぎ、英: social justice)とは、社会の常識から考えて正しい道理のことである[1]。社会的公正(しゃかいてきこうせい)とも訳される[2]。例としては法の下の平等や同一労働同一賃金などがあげられる[1]。
概要
騎士道にも登場するなど古くからある発想であるが、近代になって具体的な概念として明確化した。18世紀末の『ザ・フェデラリスト』やエドワード・ギボンの『ローマ帝国衰亡史』に、その表れを見ることが出来る。19世紀末、ローマ教皇レオ13世がカトリック教会に人道の精神から社会問題への取り組みを指示した回勅『レールム・ノヴァールム』を発表し、労働者の権利を擁護して搾取や資本主義の権謀に警告を行う。
また、社会的に公正な世界を目指す運動の概念としても使用される。具体的には、人権や平等主義(公平)、累進課税などを通した収入や財産の富の再分配などが挙げられる。正義の観点から、汚職や金権政治をも強く非難する。最近では、自由主義の思想家であるジョン・ロールズ(『正義論』の著者)によって概念が大きく拡張され、グローバルグリーンズを構成する各国・各地域の緑の党や、その基盤たるみどりの政治の概念にも多大な影響を与えた。国際労働機関は『普遍的にして恒久的な平和』に不可欠な基本理念として『社会正義』を掲げており、 ウィーン宣言及び行動計画の第2部に於いても『社会正義』は人権教育の目標の一つに掲げられている。
現実の社会における展開
資本主義に批判的な視点を含むなど福祉や社会保障を裏付ける思想の一つで、社会主義や社会民主主義の基礎にある発想と重なる部分もあるが、社会主義と異なり、必ずしも大きな政府(福祉国家)を肯定するものでもなく、より幅の広い概念である。社会自由主義に与えた影響も有るが自由主義に限られるものでもない。上で挙げられた例や宗教左派など、社会問題への宗教からのアプローチも含まれる。保守主義、特に道徳を重視する社会保守主義にも通じる点が有る。一例としては、ラジオの活用で知られる反ユダヤ主義や反共主義の右派カトリック説教師であるチャールズ・カフリンも、社会正義を前面に掲げた。このように、単純に左派や右派の軸で捉えられるものでなく、その曖昧さからアルゼンチンのペロン党などのポピュリズム政権が称する例もある。
日本では、弁護士法第1条に「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とあり、法曹分野において重要な用語となっている。
日本社会福祉士会も加入する国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク教育学校連盟が採択した「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」(2014年7月)の中には「社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。」と規定されており、ソーシャルワークの分野でも重要な用語となっている。
インドネシアは、国是であるパンチャシラ5原則の一つに「社会正義」(社会的公正)[注 1]を掲げている。
国際連合総会は2007年の決議で、毎年2月20日を国際デーの「世界社会正義の日」に制定し、貧困削減や、男女同権、国際労働機関の定める労働者の権利といった社会正義の尊重の向上を確認した。この国際デーは2009年から実施されている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 「社会正義」 - 精選版 日本国語大辞典、小学館。
- ^ 大門 2010.
参考文献
- 大門実紀史『ルールある経済って、なに?―社会的公正(ソーシャル・ジャスティス)と日本国憲法』新日本出版社、2010年4月。ISBN 978-4406053471。
関連項目
- ソーシャル・ジャスティス・ウォリアー
- 反社会的勢力 - 社会正義に反する勢力
外部リンク
社会正義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 09:37 UTC 版)
第1中間期初頭の混乱は国家との結びつきの強い官吏や神官にも強い衝撃を与えた。彼らは文字を操ることのできる知識階級でもあり、創造神によって定められた宇宙の秩序(マート)の体現者たる王に仕えてマートの維持に貢献するならば、現世における成功が与えられるという理念を古くより持っていた。しかし第1中間期に入り、もはや旧来のような安定した地位の維持や俸給、供物の確保が不可能となり、また彼らが信奉した倫理、道徳的価値観も失われていく中で、彼らの価値観も変容を迫られた。上述の『イプエルの訓戒』においても批判の矛先は従来絶対的存在として扱われていた王やその上にいる神々にさえ向けられることもあった。 一方で、神々に対する崇拝はなお思想の根幹でありつづけ、神は正義の規定者であり続けた。神を正義とする前提のもと、秩序を維持する責任は人間にあるとして、神の定めた正義の下に秩序を確立する最高責任者としての王の役割を強調されるようになっていった。それを反映して従来神の化身であるとされた王のための「教訓」を述べる文学も成立した。第10王朝の王メリカラーに対する『メリカラー王への教訓』がそれである。 更に王はマートを維持する義務を負うが、王によって統治される人々の側にもマートの実現を要求する権利があり、むしろ自ら進んで要求しなければならないという主張も成立した。不当に財産を奪われた農夫が雄弁を振るってそれを取り返す『雄弁な農夫の物語』はまさにこうした考えを全面に出した作品である。
※この「社会正義」の解説は、「エジプト第1中間期」の解説の一部です。
「社会正義」を含む「エジプト第1中間期」の記事については、「エジプト第1中間期」の概要を参照ください。
「社会正義」の例文・使い方・用例・文例
社会正義と同じ種類の言葉
- 社会正義のページへのリンク