交響的前奏曲とは? わかりやすく解説

交響的前奏曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 15:51 UTC 版)

ブルックナーの管弦楽曲・吹奏楽曲」の記事における「交響的前奏曲」の解説

「交響的前奏曲ハ短調」(Symphonisches Präludium c-Moll)は、近年ブルックナー学者によって、ブルックナー作品準じて論じられることがある厳密には、作品完成までの過程一部ブルックナー依る可能性があるという程度の関係であり、定説には至っていない)。以下の前半説明は、ブルックナー学者ベンヤミン=グンナー・コールス(ドイツ語版英語版)が2006年論じた内容に基づく(後述資料)。 この作品は、作曲家ハインリヒ・チュピック(Heinrich Tschuppik)が、叔父のルドルフ・クルツィザノフスキー(Rudolf Krzyzanowski)の遺品から、1946年前後発見したのであるこの手書き譜面43からなる管弦楽スコアになっており、表紙には「Rudolf Krzyzanowski cop.1876」、最終ページには「von Bruckner」と記してあった。 この曲は早速、1948年ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団によって初演されたが、ブルックナー作品とみなすべきかどうかは、結論が出なかった。チュピックは当時複数ブルックナー学者とも接触しノヴァーク意見求められていたのだが、チュピックが1950年没したことから、存在顧みられない状態が続いたノヴァークも、検証出版をしないまま没したその後、ヴォルフガング・ヒルトル(Wolfgang Hiltl)がこの作品まつわる資料を再研究した。彼は以下のような推測下した:元々、ブルックナー管弦楽法練習のために書いたスコア断章があり、クルツィザノフスキーがブルックナーよりそれを譲り受け補作完成させたものであろう、と。 2002年上記の説と共にドブリンガー社より出版されたが、現在に至るまでほとんど演奏される機会がない。曲のスタイル自体は、展開のスタイルなどから、晩年ブルックナーのものではないかとの指摘なされている。 一方、チュピックが接触した音楽家中には、クルツィザノフスキーとマーラーの関係(交響曲第3番ピアノ編曲共同作成した)から、これをマーラー習作ではないかとの推測下す者がいた。そのような意見と共に眠っていた資料を、マーラー学者ポール・バンクスPaul Banks)が再発見し、この曲をマーラー習作として広く紹介した。ただしこれは、管弦楽法が、前記チュピックが発見した手書き譜面と、全く異なってしまっている。バンクス再発見した資料には4段のパーティセル(Particell、いわゆる総譜スケッチ)しかなかったため、アルブレヒト・ギュルシング(Albrecht Gürsching)がマーラー風に管弦楽法補作したためである。この形で、ネーメ・ヤルヴィシャンドスCD録音したこともある。 以下は、別の資料(シコルスキー社スコア)に基づく意見思われるマーラー作品としては、1876年の作とされるハンブルクシコルスキーより出版された。初演1981年3月19日ベルリン・フィルハーモニーザールで、ローレンス・フォスター指揮ベルリン放送交響楽団西側)。 確かにこの曲はブルックナー風の繰り返しが多いが、マーラー初期の作品にもブルックナーから影響した思われる同じよう模倣があり、オーケストレーションハープ頻繁に使うのはブルックナーよりもマーラー頻度が高い。また強弱使い方フレージングマーラー作風に近い。半音階や弦の語法は「嘆きの歌」や「交響曲第1番」の世界最も近い

※この「交響的前奏曲」の解説は、「ブルックナーの管弦楽曲・吹奏楽曲」の解説の一部です。
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