エンジントラブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:22 UTC 版)
2016年8月25日、ANAはボーイング787型機で運用しているロールスロイス製トレント1000エンジンの中圧タービンブレードに大気中の汚染物質に起因する硫化腐食が表面に発生し、フライトを重ねるにつれて腐蝕点を起点とする疲労亀裂が進行、通常整備サイクルでは発見することができない短期間のうちに破断することがあることが公表された。 2018年4月17日、米国連邦航空局 (FAA)と欧州航空安全機関 (EASA)は同エンジンを搭載した787-8, 9型機について長時間運航した際、エンジンの劣化が進む可能性があるとして、エンジンが1基停止しても洋上飛行が一定時間可能な「ETOPS(イートップス)」で許容する飛行時間を、最大140分(2時間20分)に制限する耐空性改善命令 (AD)を発出、これを受け国土交通省航空局 (JCAB)も耐空性改善通報 (TCD)を発行。ANAによると一部便で使用機材を変更するものの、座席変更などで済む見通しとしたが、同様のエンジンを使用する他社の多くはこの時点で他機種のリースなどをして運用制限のある787は地上待機などの対応を行い部品交換を優先させたがANAは前述対応で運航継続、同年7月4日になり、6月12日にEASAが対象拡大し、6日 - 12日までの7日間に、国内線113便が欠航すると発表。4月から他社は対応していた交換部品の供給が逼迫していることで交換に時間がかかっていることも、欠航につながった要因だとした。 メーカー対応 問題のエンジンメーカーであるロールスロイス社は2016年9月になってANA幹部社員と面会し、この問題でより緊密に協力していくことを確認したと発表し、不具合が起きた中圧タービンブレードの改良型を、2017年初頭から供給するとの声明を発表。2017年1月にも対策を施した改良型タービンブレードの供給を開始。ANAが当時保有していた全50機の787用エンジン100基については、3年後の2019年末までにすべて改良型に交換する計画で、改良型の供給が始まるまでは新品や飛行回数が少ない現行品に規定より早く交換することで、トラブル発生を防ぐとした。また、同様の問題は、ロイヤルブルネイ航空の787-8で2015年10月に発生以降、再度同社で同様の事象が発生し、原因調査の結果タービンブレードに亀裂が生じやすい不具合がある事が判明しているとした。ANAは一連のトラブルに関して補償請求も検討しているとも報道された。 2018年7月17日、ロールス・ロイスの民間航空部門プレジデントがANAにおける一連の欠航や遅延について謝罪と内部の耐久性を高めたエンジン部品を年内に提供するとの声明を発表し、11月30日には2021年までに全世界で作業を終えられるとの見通しを示し、最大顧客ANAに対し東京オリンピックが開催される2020年までに終えられるように進めるとした。 運航影響 ANAは国内線で2017年8月26日に9便、27日に3便、28日に4便、31日に2便の計18便が欠航及び遅延が計画され、以降は余剰機材を投入するなど機材繰りで調整し、全便を運航するとしている。但し、ANA全運用機材およそ200機中4分の1に当たる50機以上、該当機材で交換対応済み機材と未対応機材の内訳が一般利用者への公表は無く、未対応機材は通常交換サイクル前の交換をするので安全として運航しているのを不安に感じる利用者も有り該当期間中該当便を避ける風評が発生やすい状況でのANAの対応に疑問を呈する報道もある。
※この「エンジントラブル」の解説は、「全日本空輸」の解説の一部です。
「エンジントラブル」を含む「全日本空輸」の記事については、「全日本空輸」の概要を参照ください。
「エンジントラブル」の例文・使い方・用例・文例
- エンジン・トラブルのページへのリンク