エンジンスワップが行われる背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/27 15:59 UTC 版)
「エンジンスワップ」の記事における「エンジンスワップが行われる背景」の解説
基本的には自動車の基本性能(最高出力/トルク、燃費、エミッション、耐久性等)を向上させるためにより高性能なエンジンに載せ替える、と言うパターンが多い。ただ、「なぜエンジンスワップをする必要があるのか」と言うことにはいくつかの背景がある。 基本性能の向上動力性能の向上 パワーウェイトレシオを追求し、軽量な低グレード車にホットモデルの高性能エンジンを載せる。 低公害化・低燃費化 元々のエンジンの継続使用が困難になった場合。エンジンの破損・故障・経年劣化SGホールディングスは「ボディはキレイだが、エンジン等が先に寿命を迎えてしまった」ために廃車や部品取りにせざるを得なくなった軽トラックを有効活用しようとコンバーションEVの製作を試みたことがある。(ただし車種別の開発が必要であるがゆえコスト面で断念している。) 排ガス規制で使用している車両に使用規制がかかった場合(例えばいわゆる自動車NOx・PM法)への対応(=環境性能の向上) この他、ガソリンの無鉛化が進められていた時期には、有鉛ガソリンを指定されていた車種において無鉛化対応済みのエンジンにスワップすることもあった。 旧車においては部品供給終息への不安を解消するために世代が新しいエンジンへのスワップが行われる。英語版「Automobile engine replacement」も参照。 上記事情とは逆に、高価/希少なホットモデルのモノコックが破損・老朽化した際、その交換用ボディとして同系廉価/量販グレードを安価に入手しエンジンや駆動系を移植するパターン(いわゆる「ハコ替え」)。例えば「"マークII3兄弟"の「ツアラーV」(ドリ車として需要が高い)がクラッシュした際、「グランデ(マークII)」「アバンテ(チェイサー)」「エクシード(クレスタ)」等を入手し1JZ-GTEエンジンや駆動系、足回りを移植する」、「ランエボⅤがサーキット走行会で全損してしまい、安く手に入ったミラージュを交換用ボディとしてそのすべてを移植する」・・・など。 人気グレードを「作る」例えば同一形式の車種でも市場や年式、ボディタイプなどにより高性能エンジンが設定されていない場合がある。日本仕様車がベースの場合、この例にはトヨタ・アルテッツァやE120系トヨタ・カローラセダン、E160系カローラアクシオ、H42/47系三菱・ミニカなどがある。 海外仕様車や現地生産車がベースとなる場合としては、(日本名)三菱・ランサー/ミラージュ、スズキ・アルト、ダイハツ・ミラ、トヨタ・マークII/クレスタなどがある。 また、当該市場で販売していたとしていてもそのグレードの中古車価格が他のグレードと比較して著しく高額だった場合や程度が悪い場合、希少な場合はエンジンスワップは安価または良質な車両を作ることができる手段の一つとなりうる。 特に新興国や途上国にあたる地域(ただしこれらの地域に限った話ではなく、車種によってはいわゆる先進国でも間々ある。)では以下のような事情があり、エンジンスワップによる「人気グレード制作」が行われる。自動車の国産化に力を入れる関係で、完成車輸入に高額の関税が掛けられていたり中古車の輸入が規制されたりしている。 一方、国によっては現地ブランドはもとより、海外ブランドであっても自国の工場で生産していれば国産車と見なされ関税が免除される。 そのため、以下の事例のように中古エンジンを輸入し載せ替える例がある。ランエボのドライブトレーンを東南汽車・リオンセル(ランサーの中国現地生産車)に移植した「リオンセル・エボリューション」 オーストラリア仕様クレシーダに日本仕様チェイサーの1JZ-GTEツインターボを換装した「クレシーダ2.5GTツインターボ」 日本の解体屋がスワップ用部品取りにされることを前提にハーフカットにしたDC2インテRとミラターボの輸出用中古車の例 日産・シルビア/180SXの場合、アメリカ仕様車(240SX)にはSR20ではなくKA24が搭載されているためSR20を輸入して載せ替える場合がある。
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