V編成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 16:48 UTC 版)
「グランドひかり」も参照 JR西日本が1989年から1991年にかけて製造した。投入当初より各所で100N系と呼称され、「グランドひかり」の愛称を持つ。 JR西日本が新設計した車両のため、鉄道事業法に基づき新たに運輸省に車両確認申請書を提出している。このため書類上国鉄・JR東海100系とは別形式である。 山陽新幹線のシェア拡大を図るために到達時分短縮とアコモデーションの改善を中心に設計・投入されており、X・G編成とは異なる点が多い。また当初は国鉄・JR東海100系と先頭形状を変える案もあったが、結果的に同様の先頭形状に落ち着いている。 V編成による将来の270 km/h運転を見据え、270 km/hが可能な走行性能が与えられた。具体的には、 高速化に伴う車体負荷増加を考慮し、構体の耐圧性能を向上。 力行12ノッチを追加し、12ノッチ投入時に速度が235 km/h以上になると、主電動機が80 %弱め界磁制御を行う。主電動機が電機子の温度上昇防止対策(電機子コイル端部に通風孔を設ける。)を施した WMT202 に変更。 主制御器、主整流器と断流器は弱め界磁制御を新たに行うことから、それぞれCS60、WSR203、WLB29に変更。 主抵抗器は、発電ブレーキ用と力行界磁分路抵抗を一体化した、強制風冷式の WMR205 を新設計。 歯車比の高速化(2.41〈X・G編成〉 → 2.17)を実施。 放熱性に優れたベンチレーテッドディスクブレーキを渦電流ブレーキにも採用(WECB2)。 また、山陽新幹線区間230 km/h走行を行うため、ATCの220信号を230に読み替えるトランスポンダ車上子を搭載する。通常のATC信号はATC受電器が受信するが、220信号の時のみ、トランスポンダ地上子が230 km/h走行を許可するか否かの信号に変換してトランスポンダ車上子に送信する。 将来さらなる新型車が登場した際に短編成化して運用することを見据え、先頭車を制御電動車とした。それに伴い付随車は2階建車両4両(7 - 10号車)に充てた。 7・9・10号車の3両のうち、階上はX・G編成と共通のグリーン席とした。一般客の通り抜けをなくして静かな環境を提供し、座席ごとに液晶モニターが設置され、山陽区間ではビデオソフトの視聴ができた。階下は普通車指定席でありながら、横4列配置のゆったりとしたサイズの座席(WRK206形)が配置されており、この配置はその後の山陽新幹線向け車両でも踏襲されることとなる。7号車にはビデオスクリーンが、9・10号車には28インチのモニタディスプレイが設置され、ビデオの視聴ができた。東京駅 - 博多駅間の長距離を運転することが基本であったため、8号車は食堂車とされたが、内装は大きく変更され、階下の売店は面積が2倍に拡大された。 非常連結器の下に、空気取り入れ口が設けられた。これは、先頭車が電動車となったため、主電動機を冷却するものである。中間電動車は床下から冷却風を取り入れていたが、制御車では排障器(スカート)があり、走行風を取り込みにくいため、この部分から取り入れることになった。 出入口付近に設置してある行先表示器を字幕式から3色LED式に変更し、上部に列車名と行先を表示しながら下部での停車駅のスクロール表示などを可能にした。これは、JR西日本で新製投入された300系以外の全新幹線車両 に採用されている。
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