SA4101天皇花車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 09:12 UTC 版)
車籍:20SA4101 車種:花車 名称:天皇花車(→蔣公専車) 自重:24.6トン 換算トン数:空車時25トン、乗車時25トン 定員: 全長:16.4m 全幅:2.7m 全高:3.6m 最高速度:75km/h SA4101は日本統治時代の1912年(明治45年)に台北鉄道工場で製造された皇室用客車である。「走る行宮」とも呼ばれた。本来は皇太子時代の大正天皇の台湾視察用として製造されたものの、明治天皇は崩御、大正天皇は即位後に利用することはなく、皇室関係者や台湾への貴賓客用として使用された。落成時は「ホトク1型(トク1型とも)」、戦後は「天皇花車」と称されている。1923年(大正12年)、皇太子時代の昭和天皇が4月16日から13日間の日程で台湾行啓を行った。縦貫線の基隆駅から台湾西部各地の名勝地視察の際に乗車した。 1935年(昭和10年)、大韓帝国最後の皇太子で李王家の一員だった李垠も台湾旅行の際に乗車し、このときは李花紋章が掲げられていた。 戦後台湾国民政府の統治下で、この車両は便所が和式から洋式になるなどの若干の改造を経て中華民国総統専用車(「蔣公専車(蔣公專車)」)として蔣介石が使用した。車体色も日本内地に準じた深紅から一旦は中国式の緑色となった。その後ほどなく台鉄の標準色の深藍色となり、窓下には白線が加えられた。菊花紋章は外され、白字で台鉄のロゴと車両番号が書き加えられて現在に至っている。 檜やチーク材による装飾は原料段階から手作業で製造されたこと、全長約17メートルの車体と狭小な便所に設置された収納式洗面、三層の遮光ガラス、網戸、カーテンやステンドグラス式の通気窓、菊花紋章のクッションやソファー、胡蝶を模った鏡、二枚羽の扇風機、世界で唯一とされる円形に「台湾の『台』」を模った客室窓などの細部に至る装飾を含めて3種の花車のうち、最も学術的に研究が進んでいる。車内には明治時代の著名な画家川端玉章による草花の彫刻作品が飾られていて、その価値は現在のものに換算すると1億ニュー台湾ドル以上に相当するという。 馬英九が選挙公約で鉄道文化保存に言及したことや、2009年ごろに交通部長毛治国が花車を視察したことで、台鉄局内部で内装を複製し、現行客車に換装、一般観光列車として旧山線などで運行する構想が浮上したものの、実現には至っていない。台北機廠には当時の図面が残っている 2018年の鐵路節では天皇花車のステンドグラスをあしらった記念切符が限定販売された。
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