HDMI登場後の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 22:16 UTC 版)
D端子は日本国内のデジタル放送視聴用の標準規格として制定されたが信号の伝送がアナログで行なわれていることから「HD素材の権利保護が十分でない」とするコンテンツホルダーの意向により、徐々にHDMIに置き換わりつつある。それに伴い、HD映像の扱いにおいてD端子はHDMIに比べて制限を加えられている場合がある。 ハイビジョン対応薄型テレビなどでは、HDMIは1080p(D5相当)入力やさらに上の画質に対応しているがD端子は720p (D4) までの入力にしか対応しない機種が多い。また、再生機器側でも最大出力が720p (D4) までしか対応しない機種も多い。 DVD-Videoをハイビジョン信号にアップコンバートする機能がある再生機器ではコピー制限(CSSやCPRM)が施されたDVDのアップコンバートがHDCPで暗号化されたHDMIに限定され、D端子などのアナログコンポーネント出力ではD1かD2出力しかできない。ただしそれに該当するのは市販DVDビデオソフトの大多数やコピー・ワンスのデジタル放送をムーブしたDVDの場合であってハードディスクに直接録画した番組、自作の映像などコピーガードの無いソフトならばこのような制限は受けずアナログコンポーネントでもHD出力が可能(ただし、メーカーや機種による)であり、HDMI出力ではHDCPで暗号化されずに出力される。このためホームビデオなど過去のSD素材(ベータマックス、S-VHS、Hi8、Digital8、DV、DVD-V/VRなど。ただし、DVD以外のメディアは一旦ディスクレコーダーにダビングする必要がある)をハイビジョン化させた上で出力し、パソコンのビデオキャプチャーボードなどへ入力すれば自作BDソフト(BDMV形式)などで用いる素材として活用できる。なお民生用のDVDレコーダーやBDレコーダーでは、2008年以降ほぼすべての機種にHDMI端子が搭載されている。 また第3世代光ディスク(Blu-ray DiscやHD DVD)の場合、市販ソフトにおいてはソフト本来の画質での出力がHDMI(HDCP有)に限定され、D端子出力では多くのソフトでD1かD2出力しかできない仕様になる見通しである。これはD端子などのアナログ信号ではコピーガードを掛けると画質劣化や変質を招く恐れがあり、コピーガードが容易なデジタル出力に一本化するためである。AACS LAでは発売とともにこの仕様にする方針であったが、各方面から反対意見が続出したため、アナログでのHD出力を規制する機能は残した上で2010年(平成22年)まではアナログHD出力を認め、それ以降も出力規制は段階的に行うこととした(AACSのAACS Final Adopter Agreementで2010年12月31日以降に製造の機種からアナログ出力を480i及び576iのみに制限、2013年(平成25年)12月31日以降の製造機種ではアナログ出力自体が禁止されることが決まった)。2009年現在においてもHDMI入力端子を持たない安価なテレビやHDMI出力端子を持たない安価な地上波デジタルチューナーなどの製品(外国メーカー製など)がディスカウントストアやホームセンターやECサイトなどで販売されており、それを買い求める消費者も少なからず存在する事や、2006年(平成18年)ごろまでに生産された製品にはHDMI入力端子が装備されていない物もある事から、アナログ出力制限が始まる2011年(平成23年)の時点でHDMI入力端子付きテレビやモニターがどの程度普及しているかは未知数である。 BDレコーダー・プレーヤー・薄型テレビの中には低価格帯モデルを中心にD端子やコンポーネント端子を搭載しない機種が登場し始めている。機種によってはS端子も省略されHDMIかコンポジットでしか映像を出力できない場合もある。さらに、2011年(平成23年)に入ってから接続端子がHDMIしかない機種も登場し、アナログ出力が禁止された2014年(平成26年)以降はD端子はコンポーネント端子と共に廃止されHDMIに一本化する可能性が高い。
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