cholesterol
「cholesterol」の意味・「cholesterol」とは
「cholesterol」は、生物の体内で見つけることができる脂質の一種である。動物細胞の膜の主要な成分であり、ビタミンDやステロイドホルモンの生成にも関与している。しかし、血液中のコレステロールが増えると、動脈硬化の原因となり、心臓病や脳卒中のリスクが高まる。「cholesterol」の発音・読み方
「cholesterol」の発音は、IPA表記では/kəˈlɛstəˌroʊl/となる。IPAのカタカナ読みでは「カレスタロール」であり、日本人が発音するカタカナ英語では「コレステロール」と読む。発音によって意味や品詞が変わる単語ではない。「cholesterol」の定義を英語で解説
Cholesterol is a type of lipid found in the body of organisms. It is a major component of animal cell membranes and is also involved in the production of vitamin D and steroid hormones. However, an increase in cholesterol in the blood can lead to atherosclerosis, increasing the risk of heart disease and stroke.「cholesterol」の類語
「cholesterol」の類語としては、「lipid」、「fat」、「sterol」などがある。これらはいずれも生物の体内に存在する脂質に関連する単語である。「cholesterol」に関連する用語・表現
「cholesterol」に関連する用語としては、「LDL(Low-Density Lipoprotein)」や「HDL(High-Density Lipoprotein)」がある。これらはコレステロールを運搬するための脂質タンパク質であり、それぞれ「悪玉コレステロール」、「善玉コレステロール」とも呼ばれる。「cholesterol」の例文
1. Eating too much fatty food can increase your cholesterol.(脂肪分の多い食事をしすぎるとコレステロールが増える)2. High cholesterol can lead to heart disease.(高コレステロールは心臓病を引き起こす可能性がある)
3. I need to lower my cholesterol.(私は自分のコレステロールを下げる必要がある)
4. My doctor advised me to check my cholesterol level.(医師は私にコレステロール値のチェックを勧めた)
5. HDL is known as good cholesterol.(HDLは善玉コレステロールとして知られている)
6. LDL is often referred to as bad cholesterol.(LDLはしばしば悪玉コレステロールと呼ばれる)
7. Regular exercise can help reduce cholesterol.(定期的な運動はコレステロールを減らすのに役立つ)
8. A diet high in cholesterol can lead to health problems.(コレステロールが多い食事は健康問題を引き起こす可能性がある)
9. Certain foods can help lower cholesterol.(特定の食品はコレステロールを下げるのに役立つ)
10. Cholesterol is necessary for the body, but too much can be harmful.(コレステロールは体に必要だが、過剰になると有害である)
コレステロール【cholesterol】
コレステロール
コレステロール
コレステロール ( cholesterol )
コレステロール
コレステロール
(Cholesterol から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/06/20 02:24 UTC 版)
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| 物質名 | |
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(10R,13R)-10,13-dimethyl-17-(6-methylheptan-2-yl)-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-dodecahydro-1H-cyclopenta[a]phenanthren-3-ol |
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別名
(3β)-コレスタ-5-エン-3-オール |
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| 識別情報 | |
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3D model (JSmol)
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| ECHA InfoCard | 100.000.321 |
| KEGG | |
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PubChem CID
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| RTECS number |
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日化辞番号
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CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |
| C27H46O | |
| モル質量 | 386.65 g/mol |
| 外観 | 白色または微黄色固体[1] |
| 密度 | 1.052 g/cm³ |
| 融点 | 148–150 ℃[1] |
| 沸点 | 360 ℃(分解) |
| 0.095 mg/L (30 ℃) | |
| 溶解度 | アセトン、ベンゼン、 クロロホルム、エタノール、 ジエチルエーテル、ヘキサン、 ミリスチン酸イソプロピル、 メタノールに溶解 |
| 比旋光度 [α]D | −31.5° (c = 2, Et2O, 20 ℃)[2] |
コレステロール(英: cholesterol)は、ステロイドの中で、ステロールと呼ばれているサブグループに属する有機化合物の一種である。トリテルペノイドの一つでもある。1784年に胆石からコレステロールが初めて単離された。室温で単離された場合は白色もしくは微黄色の固体である。生体内ではスクアレンからプロトステロール(ラノステロールなど)を経て生合成される。
コレステロールは動物細胞にとっては生体膜の必須構成物質であり、さらに細胞内のさまざまなプロセスに関わる主要生体分子の一つである。一方、精製物は化粧品・医薬品・液晶の原材料など工業原料として広く利用されている。コレステロールを含めてステロールは脂質の主要カテゴリの一つを構成する(ステロール脂質)。
いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物質は、血管中を流れているリポタンパク粒子をあらかじめ高密度リポタンパク質(HDL)と低密度リポタンパク質(LDL)に超遠心分離法または化学的な分別剤を使って分離し、各粒子中のコレステロールを、生化学的分析法で測定したもので、HDL中のコレステロールを善玉、LDL中のコレステロ-ルを悪玉と呼称し、決してコレステロール自体に差があるというものではない。最近はコレステロールそのものの違いより、リポタンパク質の「質」の違いにより動脈硬化性疾患の治療や予防が行われるようになってきた。
名称
名称は1784年に研究者が胆石からコレステロールの固体を初めて同定した際、ギリシア語の chole-(胆汁)と stereos(固体)からコレステリン (cholesterin) と命名されていたが、その後化学構造がアルコール体であるため、化学命名接尾辞 "-ol" が付けられて現在の名称となっている[注 1]。
生物界における分布
ヒトのあらゆる組織の細胞膜に見出される脂質である。ヒトを始めとした哺乳類においては、コレステロールの大部分は食事に由来するのではなく、体内で合成され、血漿に含まれるリポタンパク質と呼ばれる粒子を媒体として輸送される。コレステロールはそれを生産する臓器や細胞膜や小胞体のような膜組織が密集している細胞で構成される臓器、例えば肝臓、脊髄、脳に高濃度に分布している。成人の体内にはコレステロールが100〜150 g[3](約2100 mg/kg[4])存在し、そのうち約1/4が脳に集中している[5]。 動脈硬化叢に形成されるアテローム(血管の内側に詰まるカスのようなもの)にも高濃度で存在する。また、コレステロールが胆汁中で結晶化すると胆石の原因となる。
植物の細胞膜においてはわずかな量のコレステロールが認められるに過ぎず、他の種類のステロイド(フィトステロールと呼ばれる)が同様の役目を担う[6]。真核生物は、一部の例外(昆虫、繊毛虫など)を除き大部分の種が何らかのステロールを自身で生合成する。そして各真核生物はそれぞれが特有のステロール組成を有する。動物の主要ステロールがコレステロール、植物ではフィトステロール、菌類はエルゴステロールを合成することが知られている。真核生物以外では、コレステロールの合成は極めてまれである[7](ステロール自体が稀)。
| ヒト組織 | コレステロールの重量比[8] | 胆石(コレステロール結石) |
|---|---|---|
| 胆石(コレステロール結石) | 98%–99% | |
| 上皮脂肪 | 13%–24% | |
| 毛髪 | 1%–5% | |
| 脳 | 2.7% | |
| 神経 | 1.5% | |
| 血液 | 0.015%–0.025% |
資源
コレステロールは、工業製品原料として化粧品・医薬品・液晶などに利用される。これらは全て天然物から精製し原料に供される。コレステロールを多く含む高等動物の組織、あるいはイカの内臓からも抽出され、工業原料として利用される。
精製
コレステロールを多く含む天然物から抽出すると、ヒドロキシ基(OH基)の部分に脂肪酸が結合したエステル体であるアシルコレステロール、さらに他のステロイド(コレスタノールや7-デヒドロコレステロール)のアシル体などが含まれる粗精製物が得られる。この混合物から純粋なコレステロールを取り出すには、脂肪酸を鹸化して取り除いたあと、鹸化されない分画を抽出し、アセトンあるいはアルコールを用いて再結晶する。二重結合を持たないコレスタノールや7-デヒドロコレステロールなどを取り除くために、臭素付加してコレステロールの二臭素体とすることがある。二臭素体は難溶性を示すので再結晶などで容易に精製することが可能であり、そのあと二臭化物を脱臭素化してコレステロールに戻すことにより、純粋なコレステロールを得る[9]。
化学
物性
単離された純粋なコレステロールは白色ないしは微黄色の固体で味は無い。クロロホルム、ジエチルエーテルに溶けやすく、1,4-ジオキサンにやや溶けやすく、エタノール (99.5%)、石油エーテル、冷アセトンにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。含水エタノールからは一水和物が板状晶として析出する。比旋光度![]()
生化学
コレステロールは生体内の代謝過程において主要な役割を果たしている。まず多くの動物でステロイド合成の出発物質となっている。また動物細胞においては、脂質二重層構造を持つ生体膜(細胞膜)の重要な構成物質である。人間では肝臓および皮膚で生合成される。肝臓で合成されたコレステロールは脂肪酸エステル体に変換され血液中のリポタンパク質により全身に輸送される。
構造と生合成
コレステロールの存在自体は18世紀から知られていたが[15]、20世紀に入るまでその構造は長い間不明であった。1927年にコレステロールのステロイド骨格が4つの環構造6, 6, 6, 5員環が繋がっているものであると決定したのはオットー・ディールスである。彼はセレンを使った脱水素反応を利用した炭化水素の構造に関する系統的な研究を行っている。すなわち構造が未知の炭化水素を脱水素して二重結合を生成したり骨格を切断したりして既知の炭化水素に導き、元の炭化水素の構造を推定していくのである。ステロイド骨格もその一環でディールスの炭化水素と呼ばれる化学式 C16H18 の炭化水素から現在の立体配置を除くステロイド骨格の構造を決定した。この方法では構造変換の過程で立体構造に関する手掛かりが失われるため、コレステロールの立体構造は解明されないままであった。
1930年代はステロイドホルモンの単離と構造決定が相次いで研究された。この段階ではディールスの研究では立体構造が不明なため、これらのステロイドホルモンの構造はコレステロールを化学的に構造変換してステロイドホルモンへ変換しそれによって立体構造を決定している。
立体構造を最終的に決定したのはE・J・コーリーである[要検証] 。彼の天然物合成の研究方法に基づき、ほとんど立体構造が分からない状態から天然物の生成経路ならびに中間体の立体配座と反応機構からステロイド骨格の生成反応が立体特異的に進行することを見出した[16][17][18]。
コーリーの見つけ出したステロイド骨格(ラノステロール)の構築反応は、生体内で生じる生化学反応のなかでも非常にエレガントなものの一つである。動物の場合では、メバロン酸経路およびゲラニルリン酸経路を経て生合成されるスクアレンの2,3-位が酵素的にエポキシ化(オキシドスクアレン)されると、逐次閉環反応が進行するのではなく、一気にラノステロールが生成する。酵素によりエポキシ酸素がプロトネーションされるのをきっかけに、4つの二重結合のπ電子がドミノ倒しのように倒れこんでσ結合となりステロイドのA, B, C, D環が一度に形成される。それだけでなく、ステロイドの20位炭素上に発生したカルボカチオンを埋めるように、2つの水素(ヒドリド)とメチル基がそれぞれステロイド環平面を横切ることなく1つずつ隣りの炭素に転位することで、熱力学的安定配座となりラノステロールが生成する。
一方、植物の場合、ラノステロールではなく、シクロアルテノールと呼ばれる別のプロトステロールを経てコレステロールが合成される。シクロアルテノールは6, 6, 6, 5のステラン骨格に加えて3員環をもつ。スクアレンもしくはオキシドスクアレンから、ステロールと同様の環化機構により別のテルペノイドであるホパノイドやβ-アミリンを生成する生合成経路も知られている。
ラノステロールもしくはシクロアルテノールからさらに先は、リダクターゼとP450酵素によるメチル基の酸化が繰り返されて適用される。その結果、3つのメチル基が二酸化炭素として切断される酸化的脱メチル化によって(ラノステロールから17段階で)コレステロールが生成する[9][19]。
生体膜とコレステロール
リン脂質の二重膜構造(橙のリン酸部分+水色の脂肪鎖)にタンパク質(緑褐色 (4))やコレステロール(黄色 (7))が埋め込まれている
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リン脂質から人工的に製造した脂質2分子膜は電気容量、屈折率、水との界面張力が実際の生体膜とよく類似するが、生体膜と異なり相転移温度Tcを持つ。すなわちTc以上では流動性を示すが、Tc以下では硬くなり流動性を失う。
これに30–50 mol%のコレステロールを加えると流動性はさらに増し、しかもTcが消滅することが知られている。脂質2分子膜上では次のように埋め込まれる。すなわち、親水性を示すコレステロールのヒドロキシ基は外向きに配置されリン脂質の燐酸基部分と水素結合する。そして嵩高いステロイド骨格と炭化水素側鎖は内側のリン脂質の脂肪酸鎖の間に埋め込まれる。
コレステロールは細胞内膜系にも普遍的に存在するが、ミトコンドリアの脂質膜には例外的にほとんど含まれていない[注 2]。
コレステロールは高等動物の細胞膜の必須成分であるが、植物の細胞膜には別のステロールであるフィトステロール類(シトステロール、スチグマステロール、フコステロール、スピナステロール、ブラシカステロールなど)が含まれ、真菌ではまた別のステロールであるエルゴステロールが含まれる。一方細菌の細胞膜には、通常は、コレステロールは含まれない(例外的に、マイコプラズマ、ヘリコバクター・ピロリ、ライム病Borreliaなどはコレステロールを周囲から細胞膜に取り込むことが知られている[20])[21]。代わりに一部の細菌はホパノイドと呼ばれる構造的に類似した化学物質を利用している。
生理学
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コレステロールは生体の細胞膜の必須成分であり、また動脈硬化症の危険因子として、ヒトにおけるコレステロールの生理学は注目を集めている。
まず、コレステロールが含有することでリン脂質より構成される脂質二重膜は、生体膜特有のしなやかさを発現する。そして、コレステロールから代謝産生されるステロイドホルモン類は、細胞核内の受容体タンパク質と結合して転写因子となり遺伝子の発現を制御する。
複雑な体制を持つ多細胞動物の体内では、コレステロールは胆汁酸、リポタンパク質など輸送分子と共に複合体を形成して移送される。そして、どの輸送分子と組み合わされているかによって、どの組織からどの組織へ移送されるのかが制御されている。
コレステロールに関する研究ではコンラート・ブロッホ、フェオドル・リュネンがコレステロールと脂肪酸代謝の調節機序を解明した功績で1964年のノーベル生理学・医学賞を受賞している。
機能
コレステロールは細胞膜の構築や維持に必要で、広範囲の温度帯で膜の流動性(粘性度)を安定にする働きがある。いくつかの研究によるとコレステロールは抗酸化剤としての作用を持っている[22]。
コレステロールは(脂肪の消化を助ける)胆汁酸の産生も助けている。胆汁酸は、肝臓にてチトクロムP450(CYP)の作用でコレステロールを酸化することにより産生される。胆汁酸は、タウリン、アミノ酸であるグリシンと結び付いて、あるいは硫酸塩、グルクロン酸と抱合して、脱水により塩にまで濃縮されて胆嚢に蓄えられる。人においては、コレステロール7-α-水酸化酵素(チトクロムP450のCYP7A1)により、ステロイド環の7の位置にヒドロキシ基(水酸基)が付加され 7α-ヒドロキシコレステロールが合成される反応が律速反応となっている[23]。 人体では1日あたり 800 mg のコレステロールを産生し、その半分は胆汁酸の新たな生成に使用されている。毎日、合計で20-30 gの胆汁酸が腸内に分泌されている。分泌される胆汁酸の90%は回腸で能動輸送され再吸収され再利用され、腸管から肝臓や胆嚢に抱合胆汁酸が移動することを、腸肝循環と呼んでいる。
ビタミンA、D、EおよびKなど脂溶性ビタミンの代謝にも重要な役割を果たしている。ビタミンDは、コレステロールが7-デヒドロコレステロールに変化し、これに紫外線が当たることによって生成される。
そしてコレステロールはビタミン以外にも色々なステロイドホルモン(コルチゾール、アルドステロンなど副腎皮質ホルモンやプロゲステロン、エストロゲン、テストステロンや誘導体など性ホルモン)の合成の主要な前駆体である。
最近、コレステロールが細胞シグナル伝達に関与していることが発見された。それによると、原形質膜で脂質輸送の役割を果たし、原形質膜の水素イオンやナトリウムイオンの透過性を下げる働きがあることが示唆されている[24]。
脳、神経系にコレステロール全量の1/3も多く含まれているのは、神経細胞から伸びた神経伝達を司っている軸索を覆っているミエリン鞘にコレステロールが大量に含まれているためである。コレステロールは、ミエリン鞘の絶縁性を保持する役割を果たしている。絶縁されたミエリン鞘の切れ目であるランヴィエの絞輪ごとでの跳躍伝導により高速の神経信号伝達に寄与している[25]。実際、哺乳類である豚や牛などでは脳総重量の2-3%がコレステロールで占められている。
脳の灰白質は、中枢神経系の神経組織のうち、神経細胞の細胞体が存在している部位のことである。これに対し、神経細胞体がなく、神経線維ばかりの部位を白質と呼ぶ。白質は明るく光るような白色をしているのに対し、灰白質は、白質よりも色が濃く、灰色がかって見えることによる。これは、有髄神経線維のミエリン鞘の主成分として大量に存在しているコレステロール[26][信頼性要検証] やミエリンが白い色をしているためで、白質には、灰白質に比べて、有髄神経線維が多いからと考えられている。
カベオラ依存エンドサイトーシスやクラスリン依存エンドサイトーシスにおいて、カベオラやクラスリン被覆ピットを構成したり陥入する作用にコレステロールは必須である。これらのエンドサイトーシスにおけるコレステロールの役割は、コレステロール欠損原形質膜とメチルベータシクロデキストリン (MβCD) とを使って研究されている。
生合成と吸収
コレステロールは哺乳類の細胞膜において正常な細胞機能を発現するために必要であり、コレステロールはいくつかの細胞や組織でアセチルCoAを出発原料として細胞内の小胞体で合成されるか、食事から取り込まれ、コレステロールのアシルエステルはLDLにより血流を介して輸送される。そして、受容体関与エンドサイトーシスによりクラスリン被覆ピットから細胞内に取り込まれ、リソゾームで加水分解される。
まず、コレステロールの供給については胆汁酸と複合体を形成して腸管より吸収される外因性コレステロールと、主に肝臓において、アセチルCoAからメバロン酸、スクアレンを経由して生合成される内因性コレステロールとに大別される。その生合成量は外因性コレステロール量の変動を吸収するように調節されている。
外因性コレステロールは1, 200–1, 300 mgが吸収されるが、食事由来のものは200–300 mgほどであり、他は肝臓から胆汁に分泌されたものの再吸収である。したがって、体内で循環しているコレステロールの50%ほどが血流中に存在していることになる[要説明] [要出典] 。
ヒトで体内の全コレステロール量はおよそ100〜150 gほどである[3]。殆どが細胞膜に取り込まれたものであるが一部が代謝循環している。すなわち内因性コレステロールの生産量は低コレステロール食摂取時にはおよそ800 mg/日程度[27] であることが知られており、体内を循環するコレステロールのおよそ20%–25%が肝臓で合成される。
皮膚においても肝臓に次ぐ量のコレステロールが産生されており、皮膚で 7-デヒドロコレステロールからビタミンD3 が光化学的に生成される。7-デヒドロコレステロールは、ヒトを含むほとんどの脊椎動物の皮膚中で大量に生成される[28]。ビタミンD3は、肝臓でC25の位置でヒドロキシ化の代謝を受け25-ヒドロキシコレカルシフェロール(別名 25(OH)D3、カルシジオール)へと変化し肝細胞に貯えられ、必要なときにα-グロブリンと結合しリンパ液中に放出される。
ヒトを含む哺乳類においては、皮膚以外の組織で必要とされるコレステロールあるいはステロイドホルモンなどコレステロール誘導体は生合成されるのではなく、肝臓から血漿中を輸送されるコレステロールエステルを含むリン脂質複合体を利用するデノボ合成により産生される。また体内における貯蔵について述べると、コレステロールを貯蔵するための特別な形態は存在しない。たとえばブドウ糖はグリコーゲンへ、アセチルCoAはトリグリセリドへと転換されることで蓄積される。しかし、コレステロールはそうではない。このため輸送途中のリポタンパク質(LDLコレステロール)などは体内におけるコレステロールのリザーバーとしての役割もある。末梢組織にリン脂質とともに運ばれたコレステロールエステルはリソゾームで加水分解を受けてコレステロールに戻り、さらに利用される。
このような動態を持つためコレステロールの食事からの吸収や肝臓での生合成は必須である一方、コレステロールの過剰による脂質異常症も問題となる場合も多い。
脂質異常症は、食事による外因性コレステロールの増大だけでなく、末梢組織での LDLコレステロール受容体機能の抑制も大きな因子である。家族性高コレステロール血症では遺伝的に末梢組織のLDL受容体が変成することで、結果として末梢でのコレステロール取り込みが減り、脂質異常症が発生する。また、先天的要因だけでなく後天的に脂質代謝異常も発現していると考えられ、そういった糖・脂質の複合的な代謝異常という意味でメタボリックシンドロームが注目を集めている。なお、植物油に含まれるフィトステロールがコレステロールの吸収を減少させる作用を有する(詳細はフィトステロール#コレステロールの低減を参照)。フィトステロールは小腸の粘膜細胞において一旦は吸収されるが、能動輸送によってフィトステロールが細胞外に排泄される。この時、コレステロールも一緒に排泄されるので摂取したコレステロールの吸収が減少することになる[29]。
体内輸送
コレステロールや中性脂肪は疎水性の脂質であり、水にはほとんど溶解しないため、血中ではリポタンパク質により輸送される。 リポタンパク質は、アポリポタンパク質・コレステロール・リン脂質からなる親水性の外殻が、 主にコレステロールエステルと中性脂肪からなる疎水性の脂質コアを包む構造をとっている(リン脂質は親水性の頭部と疎水性の脂肪鎖をもち、血漿側に頭部、脂質コア側に脂肪鎖という配置になっている) [注 3] [30][31]。
リポタンパク質は、古典的には、比重超遠心法の主要分画により、カイロミクロン(chylomicron)[注 4]、超低比重リポタンパク質(very-low-density lipoprotein : VLDL)、 中間比重リポタンパク質(intermediate-density lipoprotein : IDL)、低比重リポタンパク質(low-density lipoprotein : LDL)、および、高比重リポタンパク質(high-density lipoprotein : HDL)の5種類に大別されている[注 5]。
| リポタンパク質 | 比重 | 粒子径 | アポリポタンパク質 | 中性脂肪重量比 | コレステロール重量比 (エステル体重量比[注 6]) |
補足 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| カイロミクロン | 〜0.93 | 75〜1,200 nm | B48, A, C, E | 86 % | 5 % (3 %) | 小腸粘膜で合成され、主に食事性の中性脂肪を輸送する。 |
| VLDL | 0.93〜1.006 | 30〜80 nm | B-100, C, E | 55 % | 19 % (12 %) | 肝臓で合成される。肝臓由来の脂質の輸送に関与している。分泌後、末梢において酵素リポタンパク質リパーゼの作用でトリグリセリドを失って、IDLを経由しLDLへと変化する。 |
| IDL | 1.006〜1.019 | 25〜35 nm | B-100, C, E | 23 % | 38 % (29 %) | VLDLがLDLに代謝される中間体。健常人の場合の存在量は僅か。 |
| LDL | 1.019〜1.063 | 18〜25 nm | B-100 | 6 % | 50 % (42 %) | 末梢組織へのコレステロールの輸送の主要な担い手である。 |
| HDL | 1.063〜1.210 | 5〜12 nm | A, C, E | 4 % | 20 % (15 %) | 肝臓および小腸で合成される。末梢組織のコレステロールを肝臓に輸送する(逆輸送)。 |
リポタンパク質の表面のアポリポタンパク質は、リポタンパク質の構造維持、リポタンパク質受容体への結合、脂質代謝酵素の補酵素ないし活性調整など、 さまざまな機能を果たしており、各リポタンパク質の機能の差は主にアポリポタンパク質に由来している[30][31]。
リポタンパク質の代謝経路は、外因性代謝経路、内因性代謝経路、コレステロール逆輸送系の3つに大別される[30][31]。
- 外因性代謝経路
食事のうちトリグリセリド(中性脂肪の一種)の摂取量は50–125 g/日[32] であるのに対して、コレステロールは200–300 mg/日程度である。 食事で摂取した脂質を全身組織および肝臓に輸送するのが外因性代謝経路であり、カイロミクロンにより担われている。 小腸粘膜では吸収した脂質から大量の中性脂肪を含むカイロミクロンが合成され、リンパ管経由で胸管から大循環に入る。 血中のカイロミクロンは血管内皮上のリポタンパク質リパーゼ(LPL)により中性脂肪が加水分解されて末梢組織に脂肪酸を供給しながら、より小さなカイロミクロンレムナントとなる。 カイロミクロンレムナントはLDL受容体などを介して肝細胞に取り込まれる[30][31]。
- 内因性代謝経路
肝臓で合成した脂質を末梢組織に輸送するのが内因性代謝経路であり、VLDL、IDL、LDLが担当する。 肝臓では、中性脂肪を多く含む大きな粒子であるVLDLが合成・分泌される。 VLDLは血管内皮細胞表面に結合しているリポタンパク質リパーゼ(LPL)により中性脂肪が加水分解されて末梢組織に脂肪酸を供給しながら、より小さなIDLとなる。 IDLは肝臓で一部は取り込まれ、一部はHTGL(肝性リパーゼ)により中性脂肪が加水分解されて減少し、さらに小さなLDLとなる。 LDLは主に肝臓のLDL受容体により血中から除去される。また、末梢組織の細胞もLDL受容体などが発現しており、LDLなどを細胞内に取り込む[30][31]。
LDL reseptor - LDL受容体
LDL patikula - LDL粒子
klatrin - クラスリン
lizozom - リソゾーム
- コレステロール逆輸送系
末梢組織の細胞は基本的にコレステロールを分解できないので、余剰のコレステロールは肝臓に逆輸送して処理する必要がある。これを担うのがHDLである。 HDLは肝臓および小腸で合成される。HDLは末梢組織の細胞膜のコレステロールを除去しエステル化して内部に蓄える。このエステル化を担うのが LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)である。HDLに蓄えられたコレステロールの一部は、VLDL(IDL・LDL)にCETP(コレステリルエステル転送タンパク質)の作用により中性脂肪と交換で取り込まれ、さらに、肝臓のLDL受容体を介して肝細胞に取り込まれる。また、HDL中のコレステロールエステルを直接肝細胞に取り込む経路も存在する[30][31]。
異化・排泄と腸肝循環
肝臓、右肝管、左肝管、総肝管、胆嚢管、総胆管、胆嚢、オッディ括約筋、ファーター膨大部、膵管、膵臓、十二指腸
肝臓から分泌された胆汁は一時的に胆嚢で濃縮される。食事によりCCKホルモン等が放出されると総胆管を通じて胆汁は十二指腸中に分泌される。
ヒトをはじめとする哺乳類はコレステロールの環構造を分解することはできず、主に肝臓でコレステロールを水酸化して胆汁酸に変換することにより処理している。胆汁酸は一日300〜600 mg前後合成されている[33]。胆汁酸はグリシンやタウリンなどと抱合して胆汁成分となる[33]。 胆汁は胆嚢に蓄えられ、総胆管を経由して十二指腸乳頭から消化管内に放出される。胆汁中の胆汁酸は疎水性のコレステロール環と親水性のカルボキシル基やヒドロキシル基をもち、食事中の脂質をミセル化して吸収するのに重要な役割を果たす[33][34]。
胆汁には胆汁酸、ビリルビン、の他、コレステロールそのものも含まれている。 (胆嚢胆汁には胆汁酸 12 %、リン脂質 4 %、コレステロール 0.7 %が含まれている[35]。) 胆汁の中のコレステロールは胆汁酸やリン脂質によりミセルを形成して溶解しているが、 胆嚢で胆汁が濃縮される際に何らかの原因でコレステロールが沈殿し、胆嚢あるいは胆管においてコレステロール胆石を形成することがある[35]。胆石のうち、約6割がコレステロール結石であり、残りの大部分は色素結石(ビリルビン)である。コレステロール結石は、胆汁酸のうちのウルソデオキシコール酸やケノデオキシコール酸を経口服用することにより、胆汁への溶解を促進させることができる(胆石溶解療法)[36]。
胆汁中の胆汁酸およびコレステロールは、大部分が回腸で再吸収されて肝臓に戻る。 これを腸肝循環とよぶ。胆汁酸は、約95 %が門脈経由で肝臓に戻って、再度、胆汁中に分泌される。人体内の胆汁酸総量は2〜4g程度であるが、一日あたりの胆汁酸分泌量は20〜40g程度であり、胆汁酸は一日に10回程度は腸管循環を行っていると考えられている。便中に排泄される胆汁酸は一日300 mg程度である[33]。
便中に排泄されるコレステロール、および、腸内細菌によりコレステロールが代謝されて生じるコプロスタノールは、あわせて、一日 600〜1300 mg程度である。これは食事中のコレステロールや胆汁中のコレステロールで吸収されなかったものと、脱落する腸管上皮細胞に含まれるコレステロールを合わせたものに由来する[33]。
食物繊維を多く含む食事は食物繊維が胆汁酸の吸収を抑制することにより、コレステロールや他の脂質の吸収も抑制すると考えられている[37]。また、植物由来のフィトステロールはコレステロールのミセル溶解を阻害すると考えられている[38]。
上記の胆汁酸への異化以外にコレステロールが代謝される経路としては、ステロイドホルモンの合成経路もあるが、一日50 mg前後で、胆汁酸と比較するとごく少量である[33]。) また、皮膚あるいは髪の毛など上皮細胞が脱落するとその細胞膜のコレステロールも失われることになるが、皮膚から失われるコレステロールは一日約 80 mg程度で僅かである[39]。
調節
食事由来コレステロールの吸収量が増大すると一般に内因性コレステロールの合成は抑制され、吸収量が減ると反対に作用する。コレステロールの生合成量は主として細胞内コレステロール量(特に小胞体膜中のコレステロール)により調節されている。主要な調節機構は次の通りである[40][41]。
- 細胞内のコレステロール量は小胞体上のSCAP (SREBP切断活性化タンパク質、SREBP-cleavage activating protein)により検出される。コレステロールが十分あると、SCAPとステロール調節配列結合タンパク質 (SREBP; sterol regulatory element-binding protein、コレステロール恒常性には主にSREBP-2が関与) の複合体に 小胞体膜タンパク質 INSIG(insulin-induced gene protein)が結合して小胞体内に留まる。
- コレステロールレベルが減少すると、INSIGが遊離することでSREBP-SCAP複合体はゴルジ体へと移動する。
- ゴルジ体に移行したSREBPは二種類のプロテアーゼ、S1P (site 1 protease) とS2P (site 2 protease)により切断され、SREBPは活性型となる。
- 活性型SREBPは核へ移動しSRE (sterol regulatory element) と結合して転写因子として作用し、幾つかの遺伝子を発現させる。これらの遺伝子の中にLDL受容体遺伝子とHMG-CoAレダクターゼ遺伝子が含まれる。
- LDL受容体は血流中を循環するLDLの細胞内取り込みを増加させる。同時に、コレステロール生合成の律速酵素であるHMG-CoAレダクターゼの発現増加によりコレステロール生合成が促進される[42]。
- 細胞内のステロール量が増加すると、小胞体膜上のHMG-CoAレダクターゼとINSIGが結合し、HMG-CoAレダクターゼのユビキチン化が促進される。その結果、HMG-CoAレダクターゼはプロテアソームによる分解を受ける。すなわち、HMG-CoAレダクターゼは分解と遺伝子の転写の二重の制御を受けている。
コレステロール恒常性の研究はマイケル・ブラウンとジョーゼフ・ゴールドスタインによって推進された。彼らは主にLDL受容体に関する業績により1985年のノーベル生理学・医学賞を受賞し、その後もさらにSCAP、SREBP、INSIGなどによるコレステロール恒常性維持機構を解明していった[42]。
昆虫におけるコレステロール代謝
昆虫では体内で必要とするコレステロール合成ができないため、肉食性の昆虫では食物からすべてのコレステロールを得ている。草食性の昆虫では食物となる植物細胞の構成要素となるステロールの主体がシトステロールなどであり、コレステロールの量がわずかであるため必要量を満たせない。そのためシトステロールを体内でコレステロールに変換していることが知られている。
植物におけるコレステロール
(教科書を含む)多くの書籍では植物にはコレステロールが含まれないという誤った記述が見られる。この誤解の多くは、米国の食品医薬品局が食品中のコレステロール含有量が一回の食事当り2 mg以下の場合にラベル表示をしなくても良いとしていることに起因する。植物性食品にも多少のコレステロールは含まれる(ベールマン (Behrman) とゴパラン (Gopalan) によると動物性食品では5 g/kgなのに対し、植物性食品では総脂質のうち50 mg/kg がコレステロールであると指摘している)[43]。植物によるコレステロールの合成経路も解明されている[44]。
健康とコレステロール
コレステロールが生命維持に必須な役割を果たす物質であるという事実は、科学者以外にはあまり知られていない。むしろ、一般社会には健康を蝕む物質として認知されていることが多い。すなわち、脂質異常症を介して循環器疾患の一因になるとの認識が強い。
血液検査におけるコレステロール
血液検査で脂質代謝の評価をする場合、よく用いられる項目としては、コレステロール関連では、総コレステロール(TC、または、T-Cho)、HDLコレステロール(HDL-C)、LDLコレステロール(LDL-C)の3項目がある。これに、さらに中性脂肪(TG)を加えた4項目が、標準的な脂質代謝のスクリーニング検査となる。 なお、LDL-Cはリポタンパク質LDLに含まれるコレステロール(俗称「悪玉コレステロール」)、HDL-Cはリポタンパク質HDLに含まれるコレステロール(俗称「善玉コレステロール」)を意味する。コレステロール分子自体の違いではない。 その他、TC値からHDL-C値を引いたnon-HDLコレステロール(non-HDL-C)も指標として用いられることがある。non-HDL-Cは、動脈硬化惹起性リポタンパク質全般(LDLに加え、IDL、VLDL、レムナントリポタンパク質[注 7]、Lp(a)[注 8])を反映すると考えられている[45][46]。
検査法
TCは、通常、酵素法で定量される。HDL-CはHDL以外のリポタンパク質との反応を抑制した上で、酵素法で測定する。 LDL-Cについては、他のリポタンパク質との反応を抑制した上で酵素法で測定する方法(直接法)もあるが、 TC、HDL-C、TGから計算によって求めることも多い。伝統的に用いられてきたのはフリードワルド(Friedewald)式である[46][45] [注 9]。
フリードワルド式:
アテローム動脈硬化
動脈を切り開いたところ。内面一面は黄色のアテロームに覆われ正常な内膜(通常は無色)は見られない
動脈のアテローム硬化の顕微鏡像:白く抜けているのはコレステロール結晶が存在した跡(標本作成時にコレステロールが溶出したため)
動脈構造の模式図
内側から動脈基底膜(basement membrane;黄緑)
動脈内膜(Tunica intima;緑)
動脈中膜(Tunica media;黄橙)
動脈外膜(Tunica externa;褐色)
アテローマは内膜中で増大する
冠動脈疾患
閉塞 (1) した先の心筋 (2) が障害される
血液中のコレステロール値 (TC) は動脈硬化症と単純に結び付けて語られることが多かったが、現在はTC値そのものよりも、LDL-CやHDL-Cなどリポタンパク質に関連するコレステロール値が危険因子(リスクファクター)として重視されている。
アテローム性動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患など様々な疾患を引き起こし、主要な死因の要因となっている。
リポタンパク質LDL(コレステロールそのものではない)が動脈内膜に入り滞留するのがアテローム性動脈硬化の最初の段階であると考えられている。内膜に滞留したLDLは酸化・変性して炎症を惹起するとともにマクロファージに貪食されて泡沫細胞やアテローム性プラークの形成に関与する。逆にリポタンパク質HDL(コレステロールそのものではない)は、動脈硬化巣を含む末梢組織からコレステロールを除去する作用があると考えられている[51]。
詳細は、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、アテローム、脂質異常症、体内輸送およびリポタンパク質、変性LDL、血中コレステロールを参照のこと。
冠動脈疾患 (CHD) とコレステロール
総コレステロール(TC)が冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞など)の危険因子であることは確立されている。 約100万人のデータを対象としてメタ解析で、総コレステロール 1 mmol/L(約38.7 mg/dL)上昇による冠動脈疾患のリスク比[注 11]は、男性で 1.24、女性で 1.20 と報告されている[52]。日本人を対象とした研究においても、総コレステロールが220 mg/dL以上では、冠動脈疾患死亡のハザード比は 1.55 倍とされている[45][注 11][53]。 しかし、近年の日本および海外のガイドラインでは、総コレステロールではなく、 LDLコレステロール(LDL-C)、HDLコレステロール(HDL-C)、non-HDLコレステロール(non-HDL-C)などのコレステロール分画を 動脈硬化性疾患のリスク評価や管理目標に用いるのが一般的である[45][54]。
LDL-C(俗称「悪玉コレステロール」)は、動脈硬化性疾患を引き起こす最も重要な危険因子である[54]。 日本人では、LDL-C 30 mg/dL上昇の冠動脈疾患発症のハザード比は、男性で 1.3 倍、女性で 1.25 倍と報告されている[45][55]。 また、治療によるLDL-C低下が動脈硬化性疾患のリスクを低減させることは確立されており[54]、 日本(2022年)および米国(2026年)のガイドラインではLDL-C値が管理目標値として設定されている[54][45]。
non-HDL-Cは、LDL-Cに加えて、レムナントリポタンパク質[注 7]などその他の動脈硬化惹起性リポタンパク質(アポB[注 12]を含むリポタンパク質)のコレステロールを含む指標であり、日本人において、心筋梗塞発症予測能はLDL-Cと同等であり、総コレステロールより優れていたと報告されている[45]。また、高中性脂肪血症のある例や糖尿病において、LDL-Cをコントロールした後の残余リスクの評価に有用とされる[45]。non-HDL-CもLDL-Cに準じて、管理目標値が設定されている[54][45]。
HDL-C(俗称「善玉コレステロール」)は、観察研究において[注 13]、低値は冠動脈疾患のリスクと関連するとされている。 日本人においても、HDL-C 40 mg/dL未満では冠動脈疾患発症リスクが上昇することが報告されている[45]。 ただし、HDL-Cについては、単純に「高ければ高いほど良い」とは言えず、 HDL-C 90 mg/dL以上の著しい高値では、逆に、冠動脈疾患や脳梗塞の死亡リスクが上昇することが報告されている[45][56]。 (HDL-Cの著高値は飲酒者でよく見られることから、飲酒による動脈硬化リスクの上昇を反映している可能性も指摘されている[45]。) また、総コレステロール高値または中性脂肪高値を伴わないHDL-C低値単独では冠動脈疾患や脳卒中のリスク因子にならないとの報告もあり[23][45]、 HDL-CとHDLの抗動脈硬化作用の関係は単純ではない[45]。
| リスク区分 | LDL-C目標値(mg/dL) | non-HDL-C目標値(mg/dL) | 中性脂肪目標値(mg/dL) | HDL-C目標値(mg/dL) |
|---|---|---|---|---|
| 一次予防(低リスク) | 160未満 | 190未満 | 空腹時150未満 (随時175未満) |
40以上 |
| 一次予防(中リスク) | 140未満 | 170未満 | ||
| 一次予防(高リスク) | 120未満 | 150未満 | ||
| 一次予防(特に高いリスク) | 100未満 | 130未満 | ||
| 二次予防(既往あり) | 100未満 | 130未満 | ||
| 二次予防(特に高いリスク) | 70未満 | 100未満 |
-
- まずLDL-Cの管理目標値を達成し、次いでnon-HDL-Cの管理目標値達成を目指すとされる。HDL-C低値については、薬物治療ではなく、基本的に生活習慣の改善で対処するものとされている。
- リスク評価は「久山町研究によるスコア」(年齢・性別・収縮期血圧・糖代謝異常(糖尿病以外)・LDL-C・HDL-C・喫煙有無から算出)などによる。詳細は文献[45]および日本動脈硬化学会の計算サイト参照。
- 一次予防の「特に高いリスク」は糖尿病に末梢動脈疾患、細小血管症(網膜症など)合併、または喫煙ありの場合を指す。二次予防の「特に高いリスク」は、急性冠症候群、家族性高コレステロール血症、糖尿病、冠動脈疾患とアテローム血栓性脳梗塞合併の4病態の何れかを合併する場合[45]。
| リスク区分 | LDL-C<100 mg/dL non-HDL-C<130 mg/dL |
LDL-C<70 mg/dL non-HDL-C<100 mg/dL |
LDL-C<55 mg/dL non-HDL-C<85 mg/dL |
|---|---|---|---|
| 一次予防 | 中等度リスク以下 | 高リスク | 該当せず |
| 糖尿病 | リスク因子なし | リスク因子あり | 該当せず |
| 二次予防(既往あり) | 該当せず | 特に高いリスク以外 | 特に高いリスク |
がんとコレステロール
コレステロール摂取量と卵巣がんや子宮内膜がんに正の関連が認められている。肺がん、膵臓がん、大腸がん、直腸がんにおいても、正の関連を認めた報告が多くある[58]。
1990年と1993年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内在住の、40~69歳の男女約3万人を2004年まで追跡した調査結果にもとづき総コレステロール値とがん発生との関連を調べたコホート研究では、臓器別では、男女の肝がん、男性の胃がんで強く認められた。さらに開始3年以内に発生したがん及び進行がんを除いたところ、胃がんとの関連は弱くなったが、肝がんとの関連はほとんど変化はなかった。男性の前立腺がんでは、総コレステロール値との正の関連を認めた。男女の肝がんと男性の胃がんを除き、血中の総コレステロール値とがんの発生との間に関連は認められなかった[59]。
2020年、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された論文では、デンマークの10万人以上の国民を対象とした大規模なコホート研究によると、LDLコレステロールとがんによる死亡率との関係ではグラフ上でU字型の関係が認められ、最も死亡率が低かったのはLDLコレステロール値が132-154mg/dlの群であった。低くても高くても死亡率は上がり、特に低いグループでリスクはより高くなっていた。がん以外のすべての死亡リスクも同様の傾向が見られた。最も死亡リスクが低かったグループは140mg/dlであった。これは脂質異常の診断基準となるボーダーライン(140mg/dl)とほぼ同等であった。総コレステロールとがんとの関係でも、総コレステロール値が低い人の方ががんに罹患しやすい傾向があり、特に日本人では肝臓がんのリスクは男女ともに5倍以上である[60]。
低コレステロール血症と副腎、生殖腺
血中での正常値を下回るコレステロール値を示す症状を低コレステロール血症(低脂血症)と呼ぶ。この病態の研究は比較的限られたものであり、いくつかの研究によりうつ病、がん、神経ホルモンと関連が示唆されている。
コレステロールは副腎や生殖腺でステロイドホルモン(副腎皮質ホルモンと性ホルモン)に合成される。体内で合成される副腎皮質ホルモンにはアルドステロン、コルチゾン、コルチゾール、デスオキシコルチコステロン等がある。体内で合成される性ホルモンには、テストステロン、AMH、インヒビン、エストラジオール、エストリオール、エストロン、ゲスターゲン、プロゲステロン等がある。これらすべての原料がコレステロールである。LDLコレステロール異常低値では家族性低コレステロール血症、低βリポ蛋白血症、無βリポ蛋白血症、甲状腺機能亢進症、慢性肝炎、肝硬変、腎疾患、アジソン病、肝実質細胞障害、消化吸収不良症候群などが疑われる。
リポタンパク質は細胞の生命維持に必須のコレステロールがアポタンパク質と結合したものである。無βリポ蛋白血症は常染色体劣性遺伝疾患で、コレステロールが低下し、LDLコレステロールは検出できず、超低比重リポタンパク (VLDL) とLDLを介して抹消組織に送られるビタミンEにも重度の欠損が起こる。血漿中にアポBがないことで確定診断される。治療には高用量 (100–300 mg/kg) のビタミンE、食物脂肪、その他の脂溶性ビタミン補充を行う。低βリポ蛋白血症は常染色体優性遺伝疾患あるいは相互優性遺伝疾患である。LDLコレステロール欠損の病態には無βリポ蛋白血症と同様の治療を行う。低アルファリポタンパク血症の治療も同様である。カイロミクロン停滞病は常染色体劣性遺伝疾患である。治療は脂肪、脂溶性ビタミン(ビタミンE)補充を行う[61]。
コレステロールを原料にした副腎皮質ホルモンおよび性ホルモンの異常値で疑われるのは、先天性副腎低形成(原発性副腎低形成)、下垂体機能低下症、副腎酵素欠損症、クッシング病、偽性低アルドステロン症、原発性アルドステロン症、グルココルチコイド抵抗症などである。リポイド過形成症ではProtein (Steroidogenic acute regualtory protein、StAR) 蛋白の異常とコレステロール側鎖切断酵素に欠損がみられる。副腎酵素欠損症の一つであるP450オキシドレダクターゼ欠損症では、P450オキシドレダクターゼ (POR) の異常によって、細胞内のコレステロールの低下と様々な骨奇形、Antley-Bixler症候群、ステロイドの異常値が起きる。
寿命とコレステロール
一般に血中コレステロール量は加齢により変動し、通常は60歳代まで徐々に増大する。またヒトにおいてはコレステロールレベルの季節変動が認められ、冬季には平均よりも高くなる[62]。また、脂質異常症が循環器疾患を引き起こす危険因子であるので、血中コレステロール値の大小で寿命が影響を受けると考えられてきた。それゆえ、寿命とコレステロールの関係については注目されてきており、すでに米国で大規模な疫学調査 MRFIT (multi risk factor intervention) が実施されている。
その結果は予想に反して、コレステロール値は高すぎても、低すぎても寿命を短縮するというものである。MRFITの解析結果によると、血中総コレステロールが200 mg/dL以上では冠動脈疾患による死亡率が急速に増大し、180 mg/dL以下では冠動脈疾患による死亡率は低減せずほぼ一定になることが判明している。一方、血中総コレステロールが180 mg/dL以下では冠動脈疾患以外による死亡率が増えるため、結果として血中総コレステロールが180–200 mg/dLが最も死亡率が低下することが判明した。
米国でのMRFIT以外にもヨーロッパや他の地域でも同様な疫学調査がなされており、同様な結果が得られている[63]。
コレステロールの値が高いほど心筋梗塞のリスクが高まり、コレステロールの値が低いほど脳卒中のリスクが高まり、血中総コレステロールが180–200 mg/dLが最も死亡率が低下し、長寿であることが指摘されている[64]。この結果や前述の説明のように血中コレステロールの総量よりはその種類(LDLコレステロールとHDLコレステロールあるいは酸化型リポタンパク質の存在)などコレステロールの質が寿命と深く関わっていると考えられている。
コレステロール低値で死亡率が上昇
日本での疫学調査としては、1986年度から1989年度までの福井市で行われた調査がある。26,000人を対象に住民検診の結果を福井保健所長であった白崎昭一郎医師がまとめた結果、男性ではコレステロール値が低い人ほどガンなどで死亡した人が多く、女性でもコレステロール値が低い群が死亡率が高かった[65]。感染症、がん、肝疾患、気管支炎、胃潰瘍および貧血の基礎疾患をもった人は血清総コレステロール値が低くなるので、死亡率が高くなるためと考えられている[58]。
低コレステロールは、脳卒中のリスク要因でもある[66]。
食事中コレステロールと健康
コレステロールは必須栄養素ではなく、体内のコレステロールの過半は肝臓で合成されており、食事から摂取するコレステロール量は肝臓で合成する量の三分の一から七分の一程度とされる。また、生体には恒常性を保つ調節機構があり、コレステロールの経口摂取量が増えても、肝臓でのコレステロール合成がフィードバック機構により抑制されるため、健康な人間であれば体内におけるコレステロール量は著しくは増えないのが通常である(個人差はある)[67]。逆に、食事からコレステロールを取らなかったとしても脂肪や炭水化物を摂取すれば体内でアセチルCoAからスクアレンを経てコレステロールに転換されることになる[68][45]。
食物由来コレステロール
食物由来コレステロールのほとんどは動物性食品に由来する。たとえば、卵黄(約1400 mg/100 g)、するめ(乾物; 約980 mg/100 g)、エビ類(約 170 mg/100 g)[69]。卵黄に多量に含まれるため、卵の摂取量はしばしば研究の対象となる[70][71][72][73]。
植物性食品(亜麻仁種子やピーナッツ)では、コレステロール類似化合物のフィトステロールが含まれ、血漿中のコレステロール量を下げるとされている[74]。
| 食品名 | エネルギー (kcal) |
コレステロール (mg) |
飽和 脂肪酸 (g) |
一価 不飽和 脂肪酸 (g) |
多価 不飽和 脂肪酸 (g) |
|---|---|---|---|---|---|
| 卵黄 | 387 | 1400 | 9.22 | 11.99 | 5.39 |
| するめ(乾物) | 334 | 980 | 0.6 | 0.12 | 0.89 |
| たたみいわし | 372 | 710 | 1.53 | 1.41 | 1.35 |
| ピータン | 214 | 680 | 3.06 | 8.19 | 1.64 |
| あんこうきも | 445 | 560 | 8.3 | 18.44 | 8.38 |
| すじこ | 282 | 510 | 2.7 | 4.02 | 6.18 |
| うずら卵 | 182 | 490 | 4.24 | 5.36 | 1.79 |
| 鶏全卵 | 151 | 420 | 2.64 | 3.72 | 1.44 |
| 豚レバー | 128 | 250 | 0.78 | 0.24 | 0.75 |
| バター | 745 | 210 | 51.44 | 20.9 | 2.43 |
| えび | 83 | 170 | 0.06 | 0.04 | 0.08 |
| マヨネーズ 卵黄型 | 670 | 150 | 6.85 | 36.5 | 22.99 |
| 鶏肉(皮を含む) | 200 | 98 | 3.9 | 5.83 | 1.97 |
| 豚肉 | 225 | 71 | 5.06 | 6.42 | 1.41 |
| 牛肉 | 182 | 67 | 3.34 | 3.87 | 0.41 |
食事中コレステロールの摂取目標量
2003年の世界保健機関による生活習慣病予防に関する報告書では、1日のコレステロールの摂取目標を300 mg未満と設定している[75]。アメリカ合衆国農務省・保健社会福祉省の"Dietary Guidelines for Americans 2010"によると、健康な人の場合 300 mg であった。また、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、コレステロールの摂取目標量の上限は、成人男性で1日当たり750 mg、成人女性で600 mgと設定されていた。
しかし、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食事で摂取するコレステロールは「200 mg/日未満に留めることが望ましい」とされた[76]。2015年の「アメリカ人のための食生活指針2015-2020年版」では、食事中コレステロールの摂取目標量は撤廃され、できるだけ少量にするべきとなった[77]。
2015年時点で、アメリカ心臓財団と米国心臓病学会も同様に撤廃しているが、全米脂質協会の『脂質異常症のためのガイドライン』は、200mg未満としている[78]。こうした違いは、健康な集団と、特定の疾患に関連した集団という違いに由来する[78]。
食事中コレステロールと疾患リスク
このようにして食事生活指針からのコレステロールの摂取基準は2015年を境になくなったが、議論は続いている。
2019年の論文では、平均17年半の追跡調査を行ったアメリカ国内の複数のデータを調査したもので、過去の研究と異なり喫煙や運動不足やほかの食品成分の関係を考慮に入れて包括的に分析し、結果は、食事からのコレステロールの摂取が1日に300mgに増えると、心疾血管系疾患のリスクは3.2%、早死にのリスクが4.4%増加し、卵が半個ごとにそれぞれ1.1%、1.9%増加というものであった[79]。
2010年の文献調査は、1日に卵を1個摂取している場合、週に1個未満のものと比較して糖尿病のリスクが2倍以上であり、心臓血管疾患のリスクがある患者はコレステロールの摂取を制限すべきであり、脳卒中や心筋梗塞後の卵黄の消費を止めるべきであるとしている[80] としている。この見解などを根拠としてアメリカ合衆国などでは、食事性コレステロールを1日300 mg未満に抑えるよう推奨している[81]。
オーストラリアシドニー大学のNicholas Fullerにより、第50回欧州糖尿病学会で発表された[81] 研究は、3カ月後の比較であり、成人の糖尿病状態および2型糖尿病患者140人を対象とした調査で、朝食時に2個 × 6日 = 12個の卵を食べる高卵食群と、週に卵を2個未満の低卵食群に振り分けた。なお、両群のタンパク質の摂取量を一致させるため低卵食群は赤身の動物性タンパク質を摂取し、主要栄養素と熱量を一致させ試験期間中の体重を維持した。結果は、卵の摂取量が多くても、2型糖尿病患者の脂質プロファイルには悪影響を及ぼさないとしている[81]。
年表
- 1769年 François Poulletier de la Salle が胆石からコレステロールを発見。
- 1784年 コレステロールが単離される。
- 1815年 ミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールが「コレステリン」と命名[82]。
- 1848年 アドルフ・ストレッカーがコラン酸(胆汁酸の基本骨格)の組成式を C24H40O5 と決定する。
- 1888年 フリードリッヒ・ライニッツァー (Friedrich Reinitzer) がコレステロールの組成式を C27H40O と決定する。ヒドロキシ基が含まれることが分かったため「コレステロール」と呼ばれるようになる。
- 1910年 アドルフ・ヴィンダウスとオットー・ディールスが血管のアテローム中に高濃度のコレステロールが含まれることを発見した。
- 1913年 アニチコフ (Nikolai Nikolaevich Anitschkow) がコレステロールはアテローム硬化(動脈硬化)の原因物質であることを発見した。
- 1919年 ヴィンダウスが胆汁酸とコレステロールが共通の骨格(ステロイド骨格)を持つことを示した。
- 1927年
- ハインリッヒ・ヴィーラントが胆汁酸とその類縁物質の構造研究によりノーベル化学賞を受賞した。
- ディールスがコレステロールから「ディールスの炭化水素 (Diels' hydrocarbon, 3'-methyl-1,2-cyclopentenophenanthrene; C18H16)」へと化学変換して、ステロイド骨格の構造を決定する。
- 1928年
- 1931年 アドルフ・ブーテナントらが男性ホルモンのアンドロステロンを発見。
- 1932年
- 1934年
- ブーテナント、スロッタ (K. H. Slotta)、アレン (W. M.Allen)、ハルトマン (M. Hartmann) らが個別に黄体ホルモンのプロゲステロンを発見する。
- レオポルト・ルジチカによりコレステロールからアンドロステロンが合成される。これによりアンドロステロンの立体構造が決定する。
- 1935年
- ラクール (Laqueur) らがテストステロンを発見。
- ルジチカによりコレステロールからテストステロンが合成される。これによりテストステロンの立体構造が決定する。
- 1936年 ウィンターシュタイナー (O. Wintersteiner) とプフィッフナー (J. Pfiffner) がコルチゾンを発見・単離する[84]。
- 1939年 ブーテナントがコレステロールから産生される性ホルモンの研究、ルジチカがコレステロールを含むステロイド類(およびテルペノイド)の研究によりノーベル化学賞を受賞した。
- 1948年 エストロンが全合成される[84]。
- 1951年 ロバート・ロビンソンのグループとロバート・ウッドワードのグループ(発表は1952年)がほぼ同時にコレステロールの全合成達成[85](英語版Cholesterol total synthesisも参照)。
- 1953年 シンプソン (S. A. Simpson) とライヒシュタイン (T. Reichstein) が男性ホルモンのアルドステロンを単離した。
- 1964年 コンラート・ブロッホ、フェオドル・リュネンらがコレステロールと脂肪酸の生合成機構と調節に関する研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞。
- 1973年 HMG-CoA還元酵素阻害剤メバスタチンが発見される(報告は1976年)。
- 1978年 酵母から精製した P450 である CYP51 (P45014DM) がラノステロールからコレステロールを生合成する酵素反応の14脱メチル化を触媒することが発見された[86]。
- 1985年 マイケル・ブラウン、ヨセフ・ゴールドスタインらはコレステロール代謝の詳細とその関与する疾患の研究によりノーベル生理学・医学賞を受賞。彼等により LDL受容体とその機能が発見される。
- 1989年 HMG-CoA還元酵素阻害剤プラバスタチン(メバロチン)が上市される。
- 1994年 ヒトCYP51 の cDNAクローニングによりステロール14-脱メチル化酵素CYP51 の染色体上での位置を決定した[86]。
脚注
注釈
- ↑ ただし言語によっては現在も旧称のほうが一般的である。例: ドイツ語: Cholesterin、ハンガリー語: koleszterin、ロシア語: холестерин
- ↑ 真核生物のミトコンドリアは原核生物であるアルファプロテオバクテリアの細胞内共生に由来すると考えられている。
- ↑ リポタンパク質はリン脂質の単分子層に包まれているという意味ではミセルに似ているが、 外殻にアポリポタンパク質をもっており、コアは疎水性が強い。 また、自然に生成するのではなく生体が構築する複合粒子であるという点で、通常のミセルとは異なる
- ↑ かつてはキロミクロンと呼ぶこともあったが、近年は、日本医学会医学用語辞典等も含め、カイロミクロンと表記することが多い。
- ↑ 「ー比重リポタンパク質」を「ー密度リポタンパク質」と呼ぶこともある。
- ↑ リポタンパク質のコレステロールのうち、遊離コレステロールはリポタンパク質の外殻、コレステロールエステルは脂質コアに存在する。
- 1 2 レムナントリポタンパク質とは、中性脂肪の多いカイロミクロンやVLDLのようなリポタンパク質が部分的に中性脂肪を除去されて小さくなったものである。リポタンパク質参照。
- ↑ Lp(a)(リポタンパク質(a))とは、動脈硬化惹起作用が強いとされる特殊なリポタンパク質で、その血中濃度には遺伝の影響が強い。
- ↑ LDL-C測定法のゴールドスタンダードはアメリカ疾病予防管理センターが組織する脂質基準分析室ネットワーク(CRMLN)のベータ定量法であるが、測定過程に超遠心を用いており、費用と時間がかかるため、日常的な検査では用いられない。
- ↑ フリードワルド式よりTG高値やLDL-C低値の状況でLDL-C予測の精度が高いとして米国で近年推奨されている計算式としては、マーチン・ホプキンス式やサンプソン・NIH式がある。詳細は血中コレステロール参照。
- 1 2 リスク比(相対危険度)とは、一定期間内の累積発症率を比較したもの、ハザード比は単位時間あたりの発症確率を比較したものである。
- ↑ アポリポタンパク質B(アポB)をもつリポタンパク質である、LDL、VLDLレムナント、IDL、カイロミクロンレムナントは、動脈内膜に入り込んで滞留し、アテローム性動脈硬化を発症させると考えられている。アポBはリポタンパク質ごとに1個あることから、動脈硬化惹起性リポタンパク質数を反映するマーカーと考えられている。
- ↑ HDL-Cを薬剤で増加させる治療の研究では、必ずしも一貫した効果が得られていない。
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関連項目
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- 日本動脈硬化学会
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- Cholesterol Detection and Treatment - Animations and Graphics
- Cholesterol content in food
- The Cholesterol Myths - ウェイバックマシン(2001年4月5日アーカイブ分)
- Cholesterolのページへのリンク



