血液から赤血球や白血球などの血球成分を取り除いたものを血清といい、血清に含まれる脂肪が血清脂質です。血清脂質はコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸などからなります。
コレステロールは細胞をつくる重要な構成成分であるほか、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。また、中性脂肪は必要に応じて分解されてエネルギーとして利用される一方、余分なエネルギーが生じた際、その余剰分が中性脂肪につくり替えられて、皮下脂肪や内臓脂肪として貯蔵されます。細胞膜は「リン脂質の二重膜」ともいわれ、細胞はリン脂質なくしては正常な活動を営むことができません。
このように、体にとって重要な働きをしている血清脂質ですが、血液中におけるバランスが崩れると、動脈硬化の原因になります。悪玉のLDLコレステロールが多すぎると血管壁にたまって動脈硬化を進めますし、中性脂肪が多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)の増加が起こり、悪玉LDLの性質をより悪玉に変える一方、善玉のHDLコレステロールを減らすなど、これらも動脈硬化を促進する原因になります。
血清脂質
血清脂質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 05:37 UTC 版)
血清中に含まれる脂肪のことで、中性脂肪やコレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸などが含まれる。 コレステロールは細胞やホルモン、胆汁酸を作る上でも不可欠である。中性脂肪は分解されてエネルギーとなったり、皮下脂肪や内臓脂肪として体内に貯蔵されたりする仕組みになっている。また、リン脂質は細胞膜の形成上に重要な役割を果たす。その意味で血清脂質は、人体に非常に有益な働きをしているが、バランスが崩れると動脈硬化を促す恐れがある。過剰なLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が血管壁に蓄積して動脈硬化を早めるうえに、中性脂肪も多すぎると小粒子高密度LDL(スモールデンスLDL)を増加させる。このスモールデンスLDLの増加により、悪玉LDLが善玉HDLコレステロールを減らすため、さらに動脈硬化が進むことになる。 脂肪酸の組成は、多い順にリノール酸、パルミチン酸、オレイン酸、アラキドン酸であり、皮脂腺など皮膚の分泌物とは構成が異なる。 本来液体に脂分は混じらないが、血清脂質の場合は、血清中の中に溶けだした格好になっている。脂質がアポ蛋白で包まれており、脂質(リピッド)と結合してリポ蛋白となって、血清中に溶けているからである。もしこのリポ蛋白が、血清中溶け込まずに遊離したような状態にあって、マクロファージや細網内皮系で処理できない場合は脂肪塞栓が起こりやすくなる。
※この「血清脂質」の解説は、「血清」の解説の一部です。
「血清脂質」を含む「血清」の記事については、「血清」の概要を参照ください。
血清脂質と同じ種類の言葉
- 血清脂質のページへのリンク