他の抗アンドロゲン薬との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 01:15 UTC 版)
「ビカルタミド」の記事における「他の抗アンドロゲン薬との比較」の解説
男女におけるビカルタミドの副作用プロファイルは、他の抗アンドロゲン薬とは異なり、比較的に良好であると考えられている。GnRHアナログ薬や、ステロイド系抗アンドロゲン薬(SAA)である酢酸シプロテロン(CPA)と比較して、ビカルタミド単剤療法は、火照りや性機能障害の発生率および重症度が遥かに低い。また、GnRHアナログ製剤やCPAとは異なり、ビカルタミド単剤療法は骨密度の低下や骨粗鬆症とは無縁である。逆に、ビカルタミド単剤療法は、GnRHアナログ製剤やCPAと比較して、男性における乳房圧痛、女性化乳房 、女性化の発生率が非常に高いとされている。しかし、ビカルタミドによる女性化は重度であることは稀であり、この副作用による中止率はかなり低いとされている。こうしたビカルタミド単剤、GnRHアナログ、CPAの副作用の違いは、GnRHアナログやCPAがエストロゲンの産生を抑制するのに対し、ビカルタミド単剤はエストロゲンレベルを低下させず、むしろ増加させるという事実に起因する。 ビカルタミドは、CPAと関連している抑うつや疲労などの精神神経系の副作用や、凝固変化、血栓、体液貯留、虚血性心筋症、有害な血清脂質変化などの心血管系の副作用のリスクを共有していない。ビカルタミドは、フルタミドやCPAよりも肝毒性が、ニルタミド(英語版)よりも間質性肺炎のリスクが遥かに低いまた、フルタミドの下痢、ニルタミドの悪心・嘔吐・視覚障害・アルコール不耐性といった特有のリスクも無い。エンザルタミドとは異なり、ビカルタミドは痙攣発作や、不安や不眠といった中枢性の副作用とは無縁である。しかし、ビカルタミドによる肝臓の有害な変化のリスクは低いが、エンザルタミドはビカルタミドと異なり、肝酵素の上昇や肝毒性のリスクが知られていない。ステロイド系抗アンドロゲン薬であるスピロノラクトンとは対照的に、ビカルタミドは抗鉱質コルチコイド作用を有さず、その為高カリウム血症、頻尿、脱水、低血圧、その他の関連する副作用とは無縁である。女性では、CPAやスピロノラクトンと異なり、ビカルタミドは月経不順や無月経を起こさず、排卵や受胎能力を妨げない。
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